母ちゃんの入院
冬休みに入ってお正月の準備に忙しくしていたある日のこと、
尾崎家では毎年恒例の餅つきを開いていました。
いつもなら美津子さん家族を呼んでいたのですが、
美沙子さんが病気で倒れたので来てくれませんでした。
「おばあちゃん、秀樹くんどうしてきてくれないの?」
「お母さんが病気なんだよ。病気が治ったら遊びに来るよ」
ありさは秀樹くんが来てくれなかったのことが淋しかったようです。
私も気になったので次の日に美津子さんを訪ねていきました。
「いらっしゃい、すずちゃん」
「おみっちゃん、お嫁さんの具合はどうなんだい?」
「それなんだけどね、風邪だと思って市販の薬を飲んでいたんだよ。
そしたら翌日に熱が上がって西有家の内山病院に行ったんだよ。
そしたら肺炎が見つかって即入院になって治療を受けているよ」
「入院はどれくらいかかるんだい?」
「1週間か10日は安静にしなさいと言われたそうだよ。
しかたないよね、熱があるんじゃ仕事に集中できないからね」
「お嫁さん、疲れているんだよ。締め切りで追い詰められてなかったかい?」
「そうなんだよ、なにしろ連載を二つ掛け持ちしているからね。
いつかは体壊すんじゃないかって思っていたんだよ。
でもね、ファンからケーキとかシュークリームのプレゼントが来た時は
一番喜んでいてね、これからももっと頑張らばなきゃって言っていたよ」
「そうかい、お嫁さんよく頑張っているよ。
おみっちゃん、いいお嫁さんがいて幸せだね」
「ありがとう、すずちゃん。やっぱりすずちゃんと話していると楽しいよ」
「あたしだって、おみっちゃんと話せて楽しいよ。お互いに長生きして
仲良くやりましょうね」
本当にそうです。
私はまだまだ長生きして二人の孫の成長を見届けないといけないですからね。
「おやっ、武志」
「おみっちゃんの孫さんかい?」
「そうなんだよ、今年成人式だったんだよ」
「スーツ姿がカッコイイね」
「小さい頃は秀樹と同じで体が弱くてね。一時は心配していたんだよ。
だけど、大きくなってから体力ついてきてね。本当によかったよ」
「おばあちゃん、こんにちは」
「武志、スーツ姿よく似合っているよ。これから大学での勉強頑張るんだよ」
「はいっ」
私は思いました。
いつか、ひとみとありさも成人式で振袖を着る日が来ることを・・・。
この日まで長生きして頑張っていこうと思いました。
それから翌日に美津子さんと一緒に入院している美沙子さんを訪ねました。
看護婦さんから感染防止のためのマスクをもらって病室に行きました。
「お見舞いいただきありがとうございます」
「美沙子さん、今は体を治してゆっくり養生してちょうだいね。
これは気持ちだけど食べてちょうだい」
そう言って私が美沙子さんに簡単なおせち料理を渡しました。
尾崎家の独特の味付けではありますが、お正月を病院で過ごすことになった
美沙子さんにささやかでもいいからお正月を迎えてほしかったのです。
「ありがとうございます」
「すずちゃん、ありがとう。美沙子は早く元気になってちょうだいね」
夏美さん、美沙子さんが元気になるように見守ってちょうだいね。
今年はひとみの宝塚音楽学校合格とよい年になりましたよ。
来年はどんな年になるかわからないけど、
今年以上に充実した年になったらいいなと思っていますよ。
どうか家族仲良く暮らせますように見守ってくださいね。




