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おばあちゃん、大好き!  作者: 真矢裕美
19/91

おばあちゃん、ダウン。

ありさの事件から一週間が過ぎました。

ありさは未だに立ち直っていません。

「おばあちゃん、大丈夫?最近元気ないよ」

「ありがとう、ひとみ。心配しないで学校に行きなさい」

ひとみが心配するのは無理ありません。

この一週間、食事がとれなくなっていた私に代わって

食事をつくっていました。

「さて、掃除と洗濯をしようかね」

そう言って私は家の掃除を始めようとしました。

するとめまいがするではありませんか。

最初は疲れたんだろうだろうと思い、

正也が飲んでいる栄養ドリンクを飲みました。

しかし、それでも体のだるさはおさまりませんでした。

「すずちゃん、いる?」

玄関で美津子さんが来ました。

「すずちゃん、すずちゃん、どうしたんだろうね?

すずちゃん、あがるよ」

長い付き合いで家のことを知っている美津子さんは玄関から上がってきました。

「すずちゃん!しっかりして!」

美津子さんが私を見つけた時、私は意識を失って倒れていました。

美津子さんは急いで救急車を呼び、病院に運んでくれました。

それから救急隊員からの連絡で正也がすぐに来てくれました。

「おばさん、ありがとうございました」

「意識が戻ってよかったよ。倒れた時は本当にびっくりしたよ」

私は病院の先生から過労と診断されました。

そして、一カ月は絶対安静にということで入院することになりました。

「正也、すまないね。私が倒れてしまって」

「母さんは働きすぎなんだよ。ありさのことで神経まいっていただろう?

今度ばかりは無理しないでゆっくり休んでくれよ」

「母さんね、夏美さんのところに行けたらって思ったよ。

孫たちも大きくなって独り立ちしても心配なくなったからね」

「縁起でもないこと言うなよ!母さんが気が弱くなってしまったら

子供たちはどうなるんだよ!子供たちにはまだ母さんが必要なんだよ!

子供たちが大人になるまで見守るのが母さんの生きがいじゃなかったのか?

夏美がいなくなって母さんまでいなくなったら困るんだよ。

頼むから元の母さんに戻ってくれよ。

気の弱いこと言わないで元気になってくれよ」

「正也、ごめんよ。気の弱いこと言って。

母さん、元気になるよ。ひとみとありさのために元気になるよ」

その時の私は涙がボロボロ出て止まりませんでした。

息子の本音を聞いて生きていかなければいけないんだと確信したからです。

正也、ごめんよ。

母さん、元気になるよ。

夏美さん、怒っているわよね。

こんなに気の弱いこと言って・・・。

許してね、正也のおかげで立ち直れそうだから安心してちょうだい。

もう気の弱いことは言わないわ。

お迎えが来るまで孫たちをも守っていくわ。

あなたは私にゆっくり休みなさいと言いたかったのね。

それだったら感謝するわ。

ありがとう、生きる気力をもう一度取り戻していくわ。

ひとみとありさのためにもまだ空の上には行けないわ。

体を治して元気になるわ。

元気になって前を向いて頑張るわ。



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