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おばあちゃん、大好き!  作者: 真矢裕美
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思いがけないアクシデント

中学校に入ってありさはブラスバンド部に入りました。

理由はひとみが誘ったからです。

秀樹くんは宣言通りテニス部に入りました。

秀樹くんの練習は毎日夜の7時までなので家に帰るのが7時半になるそうです。

そんな不安もあってか美津子さんは

「美沙子さん。秀樹遅いけど大丈夫かい?」

と心配していましたが、美沙子さんは

「お義母さん、大丈夫ですよ」

と答えていました。

そんな心配を美津子さんは私に話してくれました。

「すずちゃん、秀樹大丈夫かしら。美沙子さんは心配しなくていいからと

言っていたけど、もしものことあったらって心配なんだよ」

「おみっちゃんは昔から心配性だね。中学になれば大人に近づいていくんだから

そんなに心配することないわよ」

「そういうものかしら」

「そういうものよ。子供ってものはだんだん大人になっていくものだから

そんなに心配していたらキリがないわよ」

「すずちゃんのように孫さんが二人だと自信がついてくるのかしら」

「そんなことないわよ。うちだって女の子二人クラブ活動入れてみたけど

帰り道まで無事に帰ってくるか心配になることあるのよ」

本当にそうです。

女の子二人、暗い道を無事に帰ってこれるか心配になることあります。

そんなこともあるのか正也が心配して学校まで迎えに行くことがあります。

今日は無事に帰ってくるのか。

事故に遭っていないか心配になりますからね。

「ただいま」

「お帰り、お夕飯できているよ」

「今日はパパが迎えに来たよ」

「そうかい、よかったね」

「ただいま」

「正也、お帰り。夕飯できているよ」

「母さん、いつもすまないな」

「なに言ってんだい。こんなこと朝飯前だよ。

今日も二人が無事に帰ってきてよかったよ」

「ほんとだな、女の子は危険なことがあるからな」

「ほらっ、冷めないうちにいただきましょう」

「いただきます」

本当にこういう平和が来てくれることがない寄りの幸せでした。

ところがある日のこと、ひとみが風邪をひいていて学校を休んでいたため

ありさがクラブ活動に1人で出でいました。

その帰り道、見知らぬ人がありさについていこうとするではありませんか。

ちょうどその時、秀樹くんが部活を終わってスマートフォンで

美沙子さんに電話をかけようとしていました。

ありさの様子がおかしいと思った秀樹くんは、そのままついていきました。

そして人気のない工事現場にありさを連れていこうとした時、

秀樹くんが来てありさを助けました。

「こらっ、くそガキ邪魔するな」

男は秀樹くんにナイフをかざして脅しましたが

秀樹くんは怯みませんでした。

そして自分の持っていたスマートフォンから110番をして

「僕たちを助けてください。怪しい男にナイフで脅されてます」

と言いました。

そしてお巡りさんが駆けつけて男は逮捕されました。

秀樹くんは男との格闘で左腕をケガをしました。

ありさは昔のことを思い出したのでしょう。

その場で泣いてしまいました。

あとでお巡りさんの連絡で正也が交番に迎えに来ました。

そして当直だった信吾先生も来てくれました。

秀樹くんのケガは男との格闘した時に起こった打撲でした。

「父ちゃん、オレ大丈夫だよ。ありさちゃんを怒らないでね」

「秀樹、おまえは勇敢な子だ。偉いぞ」

「秀樹くん、ありがとう。本当に勇敢な子になったね。

おじさんは嬉しいよ」

この日のありさは正也と一緒に帰ってきました。

「おばあちゃん、秀樹くんがありさを庇ってケガしたの。

明日、練習試合があるのに出られないよ」

「おやおや、そうだったのかい。

もう泣かないのよ、今日はぐっすり寝て今夜のこと忘れてしまいなさい」

ありさは一歩間違えば恐ろしい目に遭っていたでしょう。

それを秀樹くんが機転を利かせて助けてくれたことで

無事に帰ってこれてよかったと思いました。

翌日、私は美津子さんを訪ねてみました。

「おみっちゃん、夕べはごめんなさいね」

「いいのよ、すずちゃん。息子から事情は聞いたから」

「ありがとう、おみっちゃん」

「すずちゃん、大人の男と戦ってきたんだからケガして当たり前だよ。

うちのじいちゃんが怖くなかったかって秀樹に聞いたら怖くなかったって

言ったんだよ。そしたら、よくやったなって秀樹を褒めたんだよ」

「そうだったの、こういう時嫁が生きていたらどうしていただろうね。

無傷で帰れたとはいえ、怖い思いをしてきたからね。

どうしたら、ありさが立ち直るのかね」

「心配しなくても時間が解決してくれるよ。しばらく様子を見てやりなさい」

「わかったわ、おみっちゃん。そうしてみるよ」

それから帰りがけに尾崎家のお墓に墓参りをしました。

「夏美さん、あなたがいたらありさに何をしてあげていたかしら。

今の私ではありさが立ち直るのを待つしかないのかしら」

そう言って私はお墓に手を合わせていました。

「美沙子なら今日から東京に行ったよ。帰るのは明後日になると思うよ」

夏美さん、私ね美沙子さんに謝りたかったの。

前にも秀樹くんにケガをさせたから怒っていないかって思ったの。

夏美さん、私どうしたらいいかしら?

今度ばかりはあなたに助けてほしいわ。

美沙子さんに一言でいいから謝りたい。

お願い、あなたの力を貸してちょうだい。

待っているから。







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