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おばあちゃん、大好き!  作者: 真矢裕美
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楽しい茶話会

年が明けて夏美さんの七回忌が終わりました。

そんな時でした。

三学期の卒業式前に親子で茶話会をしようということになりました。

ありさは今年で小学校を卒業して中学に入学します。

卒業前にクラスのみんなとお楽しみパーティーをしようと思ったのでしょうか。

ありさは制服の採寸も終わって自分の制服ができるのが楽しみのようです。

「おばあちゃん、パーティー来てね。

秀樹くんのママがチーズケーキをつくってくれるんだって」

「そうかい、楽しみだね」

「朝から来て家庭科室使ってケーキをつくるんだって。

秀樹くんが教えてくれたんだ。でもこれ内緒だよ」

「わかったよ、おばあちゃんとありさの秘密だね」

「うん、早くパーティーの日にならないかな?」

おやおや、ありさは茶話会が楽しみのようですね。

しかし、美沙子さんもチーズーケーキを焼くと言いますが、

大丈夫でしょうか?

なにしろ茶話会に間に合うようにケーキをつくると聞きましたから

他のお母さんの助けが必要でしょう。

だけど、その心配はありませんでした。

美沙子さんと江口さんを含めた何人かのお母さんが

美沙子さんのケーキ作りに参加していました。

ケーキに必要な材料をボールに入れてケーキの型に流し込んだら

オーブンで焼いて出来上がり。

私も参加しましたが。自分で作ったケーキが子供たちに喜んでくれるか

ワクワクしてきました。

そして茶話会が始まりました。

「今日はお母さんたちがチーズケーキをつくってくれました。

たくさんつくりましたからおかわり自由です」

先生の言葉で子供たちの緊張がほぐれたようです。

「いただきます」

そう言って茶話会が始まりました。

子供たちはチーズケーキを美味しそうに食べていました。

それから子供たちの出し物をみんなで見ました。

どれもみんな楽しかったです。

そして、先生が言いました。

「今日は子供たちからお母さんにお手紙を書きました。

今から呼んでいきますので聞いてあげてください」

それから一人ずつ母さんへのお手紙を読んでいきました。

なかには歓喜あまって涙を流す子がいましたが一生懸命頑張って読んでました。

そして、ありさの番が来ました。

ありさの手紙にはこう書いていました。

「おばあちゃん、雨の時傘を持って迎えにきてくれてありがとう。

私も中学に入ったら人に優しくなれるようになりたいです。

お母さんがいなくなってから学校に行かないっておばあちゃんを

困らせてごめんなさい。これからは私がおばあちゃんを大切にして

いくからね。おばあちゃん、いつもありがとう」

涙を見せまいと一生懸命呼んで歓喜あまったのでしょう。

ありさは手紙を読み終わってから涙を流していました。

そして、秀樹くんの番が来ました。

秀樹くんの手紙にはこう書いてありました。

「お母さんのお話は多くの人に読まれています。読者からのプレゼントも

もらってすごいなと思っています。仕事できついのに毎日朝5時に起きて

僕たちの朝ごはんをつくってくれています。

お母さんに心配かけたことが一つありましたね。

僕が2年生の時、工事現場に入って大ケガをした時涙を流して

「生きていてよかった」と言ってくれましたね。

ケガが治るまでお仕事を休んで僕の看病をしてくれましたね。

僕が「お仕事はいいの?」と聞いたら

お母さんは「仕事より秀樹が大事だよ」と言ってくれましたね。

僕はここまで心配していたんだって思いました。

僕のために一所懸命に頑張ってくれるお母さんにありがとうと言いたいです」

いつもは涙を見せない秀樹くんが涙を流しながら手紙を読んでいました。

美沙子さんも読んでいた時涙を流していました。

今日の茶話会は子供たちにとって有意義なひと時になったでしょう。

みんな、お母さんにありがとうと感謝の言葉がつづられていました。

私も孫たちをここまで育ててきてよかったです。

ひとみもありさもすっかり大きくなりました。

いつも優しい子になりたい。

それはひとみも同じでした。

私は孫たちを育ててきて本当によかったです。

できれば大人になるまで長生きしたいです。

欲を言えば二人の花嫁姿を見るまで長生きしたいです。

花嫁姿を見るのは先の話ですが、まだまだお迎えは来ないようです。

お迎えが来るまでは長生きをして孫たちの成長を見守っていきたいです。



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