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おばあちゃん、大好き!  作者: 真矢裕美
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母ちゃんの手作りケーキ

美沙子さんのお母さんが亡くなってから三か月が過ぎました。

季節も冬から春に変わろうとしていました。

「おばあちゃん、秀樹くんのおうちに遊びに行っていい?」

「いいわよ。でもよそのお家ではきちんとお行儀よくしないとダメだよ」

「はいっ」

「他にもお友達が行くのかい?」

「うん、今日は秀樹くんのお誕生日なの。他のお友達も来るよ」

「そうかい、それじゃ今度ありさの誕生日の時もパーティーしようかね」

「ほんと?ありがとう、おばあちゃん」

ありさは嬉しそうにはしゃいでいました。

「ありさ、秀樹くんのお家に行くならこれ持って行きなさい」

「うん、わかった」

私は出かけるありさに昨日ケーキ屋さんで買ったワッフルを渡しました。

本当は今日のおやつに出すつもりでしたが、

この子に恥をかくようなことがあっては大変ですからね。

そして、ありさが秀樹くんの家につきました。

「こんにちは」

「こんにちは、ありさちゃん」

「これ、うちからです」

とありさはきちんと手土産を手渡しました。

「どうもありがとう。あとでみんなでいただきしょうね」

そしてパーティーは始まりました。

着てくれたお友達の人数分のお菓子とジュースがテーブルに並んでいました。

「お待たせ、チーズケーキが焼けたわよ」

美沙子さんが子供たちに焼きたてのチーズケーキを振舞ってくれました。

このチーズケーキが子供たちに大好評でした。

「母ちゃんのつくるケーキは最高だぜ。

なにしろ神戸のおばあちゃんから教わった味なんだぜ」

「美味しい」

「秀樹の自慢の味だな」

子供たちの喜ぶ顔を見て美沙子さんは嬉しそうでした。

それから家に帰ってきてからありさが言いました。

「おばあちゃん、チーズケーキのつくり方知っている?」

「チーズケーキかい?おばあちゃんはつくったことないからね。

今度作り方調べてみようかね」

「秀樹くんのチーズケーキ美味しかったよ。

ありさも作ってみたいと思ったんだ」

「そうかい、それじゃレシピを出して作ってみようかね」

そう言ってはみたものの、自分で作ったこともなければ食べたこともないから

どうやってつくっていけばいいのか試行錯誤していました。

無い知恵を絞って考えた末、炊飯器でつくる簡単ケーキのレシピが

あったのを思い出したのです。

確か、新しく買った炊飯器にケーキの作り方の載っていたレシピがあったはず。

私は急いで炊飯器の説明書を持ってきて読んでみました。

「これだ!」と私はひらめきました。

これでさっそく明日のおやつにつくってみよう。

問題が解決したのは夜中の12時をまわっていました。

そして翌日、炊飯器で聴けられた分量の材料を炊飯器に入れて

ケーキをつくりました、

出来上がりは大成功でした。

これで孫たちが喜んでくれると言いですが・・・。

「ただいま」

「お帰り、おやつができたから手を洗っておいで」

「はーい」

私は早速二人の孫にケーキを出しました。

「おばあちゃん、美味しいよ」

「これ、チーズケーキでしょ?どうやってつくったの?」

「これでつくったんだよ。今の炊飯器は便利になったね」

「えーっ、信じられない。すごいね、おばあちゃん」

「これがケーキ作りに役に立つとは思わなかったよ。

それに喜んでくれて嬉しいよ」

「おばあちゃん、今度ケーキ作り教えてね」

「そうだね、これなら簡単にチーズケーキがつくれるよ。

今度教えてあげるからね」

孫たちが喜んでくれて嬉しかったです。

この頃は料理もお菓子づくりも二人で仲良くつくっていますから

私は大助かりです。

家族仲良く夕食を囲んで毎日暮らしていると幸せです。

本当に毎日が充実しています。

「こんにちは、おみっちゃん。昨日はありさがお世話になりました」

「いいわよ、すずちゃん。久しぶりに賑やかになって嬉しかったわ。

嫁も元気を取り戻したし、仕事も頑張ってくれると思うよ」

「それはよかったわ。元気に仕事ができるのが一番ですものね」

「秀樹のためにも泣き言は言わないって言っていたわ。

でもね、辛いことあったらいつでも言いなさいって言ったわ。

だって美沙子は嫁でもあるけど今では大事な娘でもあるからね」

「そうよ、おみっちゃんが守ってくれたらお嫁さんも安心するわ」

「あたしもね、お迎えが来るまでは嫁を守ろうと思っているわ」

「おみっちゃんがお姑さんで美沙子さんは幸せ者ね」

「そんなことないわ、すずちゃん。

私のほうが美沙子から幸せをもらっているわ。

あの子が一生懸命頑張ってくれて感謝しているわ」

よかった、美沙子さんが元気になってくれて。

きっと、夏美さんが静かに見守ってくれていたおかげね。

夏美さん、あなたと暮らしてからいろんなことがあったわね。

今はとても懐かしいわ。

あなたに甘えていたありさも春になったら6年生になるわ。

私もよくここまで孫たちが育ってくれたと思っているのよ。

私もいつお迎えが来るかわからないけど、それまでは

孫たちを育てていきますからね。

だから、ゆっくり空から見守っていてちょうだいね。







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