平和な日
「それで、これからどうするの?」
兄ちゃんと結雅の喧嘩がとりあえず収まったところで私は話を始めようとした。
「どうするって...どうする?」「いや知るかよ。」「そんなことより結雅退院できるの?」「あー。できるんじゃね?」
...なんて自由な会話なんだ。流石五十嵐家。自由だ。
「とりあえずは俺が退院しなきゃ話になんないよな。」「まあ、そうだね。」「そういえば結、お前どこに進学した?」「青城学園高等部にそのまま。なんか高等部だけ校舎が凄かった。」「あー。中等部はボロかったからな。」
五十嵐家と椎名家と本郷家は小学校から私立青城学園に通ってた。小学生と中等部は同じ校舎だったけど、高等部からは校舎が変わって凄い校舎になる。
「言っとくが、お前も青城学園高等部に行くんだからな?」「え、マジ?俊。俺受かってんの?」「万年一位だったやつが受からないとかおかしいだろ。」「え、何。遊夜嫉妬?毎回俺の下にいたからなあ。」「..なんでこんな奴が一位なんだろ。」「頭ん中はチート並みに狂ってるからね。」「結!?お兄ちゃんに向かって狂ってるって!!」「うるさい、死ね。」「生き返ったのに死ねって!!」
結雅は馬鹿そうに見えてめちゃくちゃ頭がいい。それこそチート並みに。幼稚園の頃から中学の勉強をしだし、小一で既に大学の問題を完璧にこなしていた。見た目と性格だけ見たら馬鹿そうなのに。なんで、こんなやつが頭いいんだろ。才能の持ち腐れだろって毎回思う。
「双子のくせになんで、こんなに頭の良さが違うんだろうな。なあ結?」「...私は別に頭悪くないし。」「いや、悪いだろ?」「万年最下位だもんな。このまえのテスト見た時俺びっくりしたわ。全教科0点だもんな。」「は?俺それ見てないんだけど。おい結。帰ったら...覚悟しろよ?」「..てめえら死ねよ。」「俺はまだ生きたい。」「同じく。」「知るか、死ね。てか、なんでよりにもよって兄ちゃんに言うんだよ!私を殺す気か!」「最初からそんな点数取らなきゃいいだろーが!!」「できたらやってる!!」
勉強は、苦手なんだよ..。体育なら得意だけど。体育っていうか、喧嘩の方が得意。元神楽総長だし。通称桜龍だったし。桜龍の由来は、私の神楽に入って初めて暴れた時の季節が桜散る季節で、その中で龍のように戦っていたからという理由らしい。まあ、異名なんて勝手に周りが付けるもんだし関係ないけど。結雅はなんだっけ?あ、紅龍だ。返り血をいっぱいに浴びてたから。こう見えてもこいつ戦闘狂だったからな。
「で、結と結雅は神楽に戻って来るの?」
冷が唐突に言ったその言葉に私は驚いた。なぜなら私は二年前のあの事件の時から神楽を抜けたから。総長という名を捨てたから。
「私は..!!」
___戻りたいよ。でも、私は戻る価値なんて..。
「よーし、今から総長任命するぞー。」「「「「は?」」」」「神楽5五代目総長は、五十嵐結に任命する。」「え、ちょ、ちょっと待て。兄ちゃん私は..。」「神楽の掟忘れたか?総長に任命された奴は絶対に総長にならなければいけないってのを。」「いや覚えてるけど!!」「それに、お前と結雅神楽に脱退書出してないだろ。」「「あ」」「だから、総長な?頑張れよ。」「...分ったよ。関東トップの族神楽の総長にまたなってやるよ。」「じゃあ俺はまた副総長か。」「ようやく我らの双子トップが帰ってきたか。」「こいつらがいねーと喧嘩が早く終わらねーからな。」「いや嘘つけ!?」
30人相手なら拳一つで片付けるくせに。
「俺が30人相手に拳一つで片付けるんだったら結の場合100人相手に拳一つで片付けるだろ?」「うん。余裕。」「ほらな?」「俺妹に怪物を持った覚えは無いんだが。」「俺も姉ちゃんにゴジラ持った覚えはない。」「お前ら二人酷いな!仮にも妹と姉ちゃんだろ!?」「まあ、確かに化け物なみに強いからな..。」「うんうん。」「てめえは頷くな結雅。」「んー?なんのことかな?」
本日も平和な日でした。