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零桜-桜龍-  作者: 夏歌
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真実と涙

次の日、私は一人で病院に行った。いつも通り結雅の病室の前で返事もないのにノックをしようとしたとき中から声が聞こえた。「..結雅...ごめん...俺が失敗したせいで...ごめん..」この声は...!私はいても立ってもいられなくなりドアを思いっきり開けた。「..遊夜?」「...結。」私が最も憎んだ奴がいた。「なんで..なんで、泣いてんだよ?」「あ...別に泣いてねーよ。じゃあ、俺帰るわ。俺の顔なんか見たくねーだろ。」「あぁ。見たくねーよ。でも、そんな奴でも泣いてたら不思議に思うだろーが。」私は遊夜の背中を見ながら言った。なんで、泣いているのか。私がこの部屋に入る前に聞いた声はなんだったのか。気になったんだ。「...流石俺らの総長だな。やっぱ適わねーな..。」「当たり前だろーが。お前と冷は幼稚園の時から一緒にいたんだからな。そんくらい分かるっつーの。」「...そうだったな。昔から俺の考えてることは全部お前にバレるんだよな。本当に昔から変わんねぇな。」「なんで、泣いてたんだ?それに私がこの部屋に入る前に聞いた声はなに?」「それまで聞いてたのかよ..。じゃあ全部言うしかねーな。あーあ。せっかく2年間隠してきたのによー..。」「隠してきた?」「うん。今から言うことはお前以外は知ってることだ。冷や結雅は知ってる。どうしてもお前には教えられなかったんだ。」「私に?」何を隠してきたんだよ。「あぁ。まず2年前のあの事件から1ヶ月前の話をしようか..。」


2年前のあの事件から1ヶ月前


「遊夜。」「なんだよ、結雅。俺今から寝ようとしてたのに。」俺たちはいつも通り神楽のアジトにいた。その時結はテストで赤点を取りまくってたから補習に行ってた。いやー、あの赤点の山を見た時の驚き。凄かったな..。「お前に頼みがある。それと話しておきたいことがある。」「なんか、珍しく真剣な顔してやがんな..。なんだよ。」「まず、頼みから言う。死鬼の潜入捜査に行ってくれ。できれば総長に成りすまして。」「は?いや潜入捜査ぐらいならいいけどよ、総長に成りすましてってのは無理じゃね?」「いや、死鬼は総長の顔は総長の周りにいる奴らしか知らないらしい。おまけに今総長は不在中だ。だから総長に成りすますことが出来る。演技力が高いお前なら出来るだろ?」「まあな。で、なんで死鬼なんかの潜入捜査に行くんだよ。」「..それは今から話すことに関係ある。」「なんだよ。」結雅のこんな真剣な顔、俺は今までに数回しか見たことねぇ。それだけ大事な話なのかよ。「まず、最初に言っておく。お前は零歌の存在を知ってるか?」「零歌か。確か妖刀だったよな。切った者の存在をはじめからなかったことにするんだっけ?でも都市伝説だろ?」「いや、存在する。」「は?」「零歌は俺たちの母親が創って、俺と結の体の中に宿っている。」「お前何言ってんだよ?とうとう妹に相手されなくなって、中二病にでも目覚めたか?」「じゃあ、見るか?」そう言うと結雅の腕が突然光そこからは日本刀が出てきた。「マジかよ。で?これがなんで死鬼に関係あるんだ?」「驚かねーのか。」「十分驚いてるよ。お前が言った俺の自慢の演技力で誤魔化してんの。」「流石だな。じゃあ、話戻すぜ。死鬼と関係ある理由は、死鬼の奴らが零歌を狙っている。」「は?いや、あいつらは零歌の存在を知ってても、都市伝説としか認識してねーだろ?」「あいつらの総長、藍川要は知ってたんだよ。俺たち双子の体の中に零歌が宿っていることを。なんで知ったかは知らねーが。そしてあいつは零歌をつかって何かをしようとしている。」「その情報はどこから入った?」「あいつから直々に手紙が来たよ。」結雅は手紙を俺に投げてきた。..なるほど。確かにこいつは存在を知ってやがるな。「つまり、総長のふりをして何故零歌を狙っているのか、零歌をどうするつもりかを調べればいいんだな?」「あぁ。頼む。」「わかったよ。とりあえず頑張るわ。」「それと、この事は結には言うな。結はまだ零歌の存在を知らない。それこそ都市伝説レベルにしかな。もし知ったらあいつまで利用される。それだけは避けたいんだ。」「分かってるよ。俺らの大事な総長だからな。れーい?」「は?冷いんのかよ。」「ち、ちーす..。バレてた?」「バレバレだっつーの。」「冷、この事は..。」「分かってるって。結には言わねーよ。安心しな。」「..ありがとな。お前ら。」


「で、俺はこの任務を失敗し、総長ではないことがバレて、俺を庇おうとした結雅がこんな目にあったんだよ...。」まさか結雅がそんなこと考えていたなんて..。私はなにも知らなかった。それに零歌のことも...。「だから俺はお前らに会わせる顔なんて無いんだよ..。だから...。」「遊夜に問題。私は今怒ってるでしょうか、怒ってないでしょうか。二択な。」「...怒ってる。」「正解。なんで、お前は今の今までそのことを一人で抱え込んでいた!!」「え?」「私が利用されるから?ふざけんなよ。私が利用なんかされるかよ!むしろ利用してやるわ!」「お、おう?」「お前は昔っから一人で何もかも抱え込みすぎなんだよ..。甘えていいんだよ?」「あぁ...。...悪いちょっとだけだから...。」遊夜はそう言って私に抱きついてきた。「いいよ。いくらでも抱きつかせてやるよ。だから今は泣いていいよ。」「うん..。ありがとな..。」「こっちこそ今まで守ってきてくれてありがとう。」


こうして私たちの中の確執は無くなった。

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