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零桜-桜龍-  作者: 夏歌
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病院

「あら、結ちゃん!結雅くんのお見舞い?」「おばさん。はい、まあ。」「あら、うちのバカ息子もいるじゃない。」「うっせ。」冷のお母さん、本郷梨香子さん。年と比べると若く見える綺麗な人。冷と結構似てるんだよなぁ。「おばさんは、なんでここに?」「私も今結雅くんのお見舞いに行ってきたところなのよ。」「わざわざ、いつもありがとうございます。」「いいのよ。結雅くんと結ちゃんには昔からこのバカ息子が世話になってるからね。」「おいババア!余計な事言うな(ゴンッ!ってぇ〜!」「いつから、こんな悪い言葉言うようになったのかしら?」「さ、さあ。」流石冷のお母さん。おそるべし。あの冷を一発で黙らせたよ。「じゃあ、またね。」「はい。」「結!早く行くぞ!」「分かった分かった。」私と冷はおばさんと別れて結雅の病室へ行った。


ガララッ「失礼します。」って、言っても返事なんか無いんだけど。「よお、結雅。久しぶりだな。今日はお前の大事な結と見舞いに来てやったぜ、感謝しろよ。」「結雅、私高校生になったよ。青城学園に進学した。受験の時は兄ちゃんと冷に勉強見てもらってギリギリ合格できたよ。結雅も早く目を覚まして、私と同じ学校来なよ。待ってるから..。」私の目からは涙が出てきた。「やっぱ、何回来ても、結雅見ると泣いちゃうんだよな..。自分の弱さに腹立つ..。」あの事件から何回ここに来たんだろ。なのに、いつも来る度あの光景が鮮明に思い出されて自分が守れなかったものを叩きつけられるんだ。できることなら、結雅と変わってあげたいのに..。私より結雅の方が生きてる意味があるのに..。「結。」いつも、冷と来ると名前を呼んでただ黙って抱きしめてくれる。甘えちゃいけないのに、誰にも頼っちゃいけないのに、この時だけは許されている感じがして安心するんだ..。どんなに泣いても、どんなに抗っても、結雅は目を覚まさない。


私の声はいつ君に届く?


「...お取り込み中悪いんだけどよ。入っていいか?」「しゅ、俊さん!?」「あ、兄ちゃん。」「いや、なんでお前はそんなに冷静なんだよ!?俊さん、これはそのー..。」「あー、いいよいいよ。こんな男勝りな妹ですが宜しくお願いします、弟よ。」「俊さん!?あんた人の話聞く気ないよな!?」「冷うるさい。黙れよ。」「って、凛斗までいんのかよ!あと敬語使え!!」「お前に敬語使いたくねぇよ。」「五十嵐家にはまともなやつはいねーのか!?」めっちゃ突っ込みしてんな。お笑い芸人でも目指してんのか?「それより冷。俺の姉ちゃんに何してくれてんの?何?死にたいの?」「お前と結雅は本当にシスコンだな!!」「この馬鹿と一緒にしないでくれる?俺の方がイケメンだし、モテるから。」いや、凛斗。結雅もモテたんだぞ..。確かに兄ちゃんと凛斗イケメンだけどな?「お前らはちったぁ静かにしろ!」兄ちゃんの鉄拳が二人の頭に直撃した。これ喰らうとマジで死にそうになる。凛斗と冷メッチャ痛そうにうずくまってるよ。「ったく。で、もういいのか?」「うん。今日はもういいよ。」「そっか。じゃあ帰るぞ。そこの馬鹿達もな。」「「うぃーす..。」」じゃあな結雅。また来る。

私たちは病院を後にした。


「ゆ..い...。」


小さく呟かれたその声は誰も知らない。

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