表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

転移の誤差

遅れてすいません。二日酔いの挙句に、訂正していたら本来ここで戦闘の予定はなかったのですが、戦闘シーンを入れたかったために大幅の改編していたら投稿時間が予定よりも大幅に遅れてしまいました。

お待たせして申し訳ないです。

目を開くと、目の前に広がるのは一面に広がる森だった。


「へ?」


思わず、間抜けな声がでた。それもそのはず、何処にも町なんて見当たらない。ディアの話だと町の見える範囲に移動させてくれるとの事だったはずだったのだが・・・


「考えても仕方ないよな。それよりも、ほんと身体軽いなー。何年ぶりだろ。いや、何十年ぶりか。歳の衰えって怖いな。」


慎は、身体をあちこち触って若返った身体の具合を確かめた。どうやら洋服は、地球で着ていたときのもので、刺された箇所は治っており、どうやら服も修復されていた。ただ、体中に残る数多の傷は残ったままだった。


あぁ、よかった。と心の中で思いながら、これからのことを考える。とりあえず、町を目指さなければ何も始まらないのだが、どっちに向かえば良いのか思案するも、結局最初に向いていた方向にとにかく突き進むことにした。



「とりあえず、町目指しながらいろいろ確かめていくか。とは言ったものの、気を引き締めないとな。襲われたらまずいもんな。何がいるかもまだ分からないし。あっ、そういえば武器もらったんだっけ確か思うだけで良いって言っていたっけ。。。」


慎の思うことは最もで、現在いる森には慎の世界には存在しなかった魔物たちが跋扈している。


武器よ来いっ!という感じで思うも、手にはなんの感触も得ることは出来なかった。


「ん?でない。なんでだ?」


何故なのか考えてみるもとりあえず片っ端から試すことにした。後でいいかとも思ったのだが、試してみなければ今後の対策も立てられない以前に、慎自体が自身の能力や現状を把握しろと元の世界で教え子達に口酸っぱく言ってきていたため、尻込みする事に後ろめたさがあった。


「まったくもって、情けねぇな。俺は。」


口調が崩れていることに慎は気付かなかった。普段は、丁寧な言葉を使ってはいるが慎の言葉遣いはかなり悪い。


色々試していると、手に光が纏うと、そこにはサバイバルナイフさながらの小型の短剣が現れた。


「おぉ・・・。」


思わず感嘆の声を漏らした。

どうやら頭で想像した武器を呼び寄せることが出来るみたいだった。他にも、ナイフだけではなく槍やら両手剣、実際は存在しない形の剣なんかも出すことが出来た。

もちろん、消えるように思えば陽炎のように消えていった。


「これは、かなりの便利能力でしょうに・・・」


武器が消耗する心配が無い。これは、戦場において一番の憂いがなくなることだったからだ。

ディアは、たいしたことができないとか言っていたがなんてものを与えてくれたんだと慎は思う。

実際には、ディアが与えようとした能力とは違い、慎が使っている力はそれを遥かに凌駕した能力なのだが、ディアが秘密にしたこともあいまって、本人にはそのことを知るすべはなかった。




それから周りに警戒しつつ歩き続けた。途中こちらを伺う気配が無数にあったが、身体を確かめると言う名の全力疾走で撒くことが出来た。

移動すること2時間ほどだろうか。別に正確に時間を計るものはなく、単に自分の中の感覚に過ぎないが。しかし、日はすでに傾き始めていた。慎であれば、3日間までは動き続けてもまったく問題はないのだが、あくまでも機能的にと言うことであり、床で寝たい、仮眠でいいからとりたいというのは万人変わらずであり、慎は走る歩に力を込める。


走りながら、自らの疲労のなさと脚力の強さに具合に正直内心驚いていた。脚力で言えば間違いなく、若い頃の全速力を凌駕どころか、瞬間速度で言えばもはや人の出せる領域ではないからだ。今なら、車とタイマン張れるとくだらないことを思いながら、自分の歳を考えて思わず苦笑する。


“何処に車と速さを競う老人がいるんだよ”と自身に突っ込むのを抑えた所で、自身に迫る一層強い殺気が飛んでくる。



思わず、歩を止めて殺気の方向を目を向ける。ズンズンと大地が踏まれて軋む音と共に2mを超えるぐらいの人と言うにはお粗末。もとい、とても醜い顔の人型の“何か”だった。醜いと言うか言葉で表すなら、顔が豚なのだった。

手には、これもまた慎の身長に匹敵する血や油が固まった色の変色し、石を粗削りしたような剣が握られていた。



これが“魔物”と言うやつなのかと胸に手を当て、動揺する心を落ち着ける。


「言葉......分かります?」


一応、魔物に対してコミュニケーションをとってみるも、“ヴゴォォォォォウォォッ”という言葉とは思えない雄叫びと共に手にしている獲物を振りかざしてきた。

見事に、初の魔物との邂逅は戦闘と言う名の殺し合いが幕を開けた。


チッと舌打ちをかまして横になぎ払われた剣を地面すれすれまで屈む事で避け、一呼吸で懐まで潜り込みこんだ。そのまま、右側に半身を取ると、左足と左手を出し俗に言われる“寸勁”のような突きを全力で放った。


肉を突き破るような感触が手に張り付くと同時に、轟音を発して魔物が吹っ飛んでいた。木を2・3本粉々にしながらやっと止まる。

魔物に目を向ければ、大砲でも打ち込まれたんじゃないかと思うような大穴を身体に空けた無残な姿がそこにあった。


打ち据えた拳が震える。確かに、自身の打てる全力最大の力を持って放った一撃だった。

だが、言い訳をするわけではないがここまで無残に捻り殺すようなつもりはなかった。ただ、行動不能にする程度の心積もりであったのだ。

ここにきて、自らの膂力とこの世界での自らの力の強大さに気付く。幸いなことは向けたのが言葉の通じない魔物だったことだろうか。

これの知らずに力の向ける相手が人であったらと思うと背筋が凍る思いだった。


魔物は、まだ息があるようで“こひゅー”と、か細い呼吸が抜ける音がする。明らかに虫の息であり、苦しみに顔が滲んでいた。


自らの手にディアからもらった能力で日本刀を顕現させて魔物の目の前へと近づく。未だに魔物の目はギラギラとした殺気がこめられていた。純粋な殺気。こんなものを向けられるのはいつ以来だろうかと昔に一瞬想いを馳せる。思えば、ある時を境に憎悪の視線しか向けられていないなと言うことを思い出した。

そして、魔物が死を直前にしても尚殺気を放つことに、武人のような研ぎ澄まされたもの見出す。それと共に、自身の決心も固める。


「すまない。」


その言葉と共に、気合一閃で一刀の元に首を飛ばした。介錯。自分勝手な考えだが、苦しみを止めてやりたかった。別に殺めるということ自体初めてと言うことではないので震えや動揺はなかったが、世界が変わってもまた殺めるのかと顔に憂愁の影が差した。


とは言え、ここ一帯の強者だったのかこの魔物を倒した瞬間に探っていた気配が明らかに離れていった。ここで夜を明かすことにした。目を閉じれば肉体的には疲れを感じてはいないが、先ほどのこともあり精神的疲れかすぐに眠りにつけた。







日が出だすと共に、目が覚める。背筋を伸ばして伸びをすると、周囲を見渡す。昨日の魔物の死骸を目にすると両手を合わせ一礼すると、森を抜け町を目指すため疾走する。


今日中には町に着いておきたかった。お腹がなる音が歩を進める音と重なって聞こえる。重大な問題の一つである食糧問題によるものだった。

転移されてから一日半と言うもの飲み水すら口にしていない。正直、全力を尽くせるのは今日が最後だろうと腹を括る。今日着かねばサバイバル生活に入ろうとそう決めていたのだった。


そこでふと自身が、町に行っても泊まる路銀どころか一銭すらないことに気付く。


「おいおい。前途多難どころか、そこまで頭回らないとか・・・はぁ。どうするかな。」


自身の考えのなさにため息をつく。


「それにしても、昨日よりも身体が軽くなっているような気がする・・・な。」


自身の身体能力に疑問を感じるが、ちょっと前まで老人だった慎はそこまでは深く考えなかった。実際は火は見るよりも明らかで、身体能力の変化は訪れていた。

これが、魔素の吸収による身体能力の強化なのだが、この世界に着たばかりで仕組みを理解していない慎がこのことに気付くのはまだ先のことだった。






全力疾走で森を抜け草原やへ一直線で駆け抜けること5時間程。天井に太陽がさしかかる頃、それは起こった。


やっと、獣道から整備されていると思われる道に到達し、安心している矢先の事だった。

遠くに、馬車と人らしきものを発見する。

本来であれば、この世界で初めての人に会うので喜ぶべきところなのだが、様子が変だった。念のために、スピードを落としゆっくり近づく。

近くに、より近くに近づくにつれ嫌な予感が高まる。それを裏付けるように、鼻には血の独特の匂いが張り付き始めた。

馬車の目の前にたどり着く。

目の前に広がるのは、血に濡れた馬車・首と胴体が離れた亡骸・無残に犯されて放置された女性の亡骸と言う三点セットの惨状だった。加えて、亡骸は原型を留めていなかった。


「うっ。これはひどいな...そんなに時間は経ってないか。」


女性の亡骸と男性の亡骸から遺品になりそうな物を回収し、簡易に土に埋葬して目印を立てる。


手を合わせることも忘れない。


「はぁ...この世界にきてはじめて見る人が亡骸とは・・・。ん?」


馬車から立ち去り、馬車の先頭が向いているほうが町だろうと算段を着け、町に向かおうとした慎だったが一瞬だけ馬車の中から人の気配を感じた。一瞬だったため気のせいかと思ったのだが、生き残りが居るかも知れないと思い、乱雑に散らばった荷物の残骸を入念に調べることにした。


この勘による行動によって、慎の運命の歯車が回り始めるのだが、当の本人が気付くはずもなかった。


次回は、ヒロインというか・・・そんなようなのが登場します。


投稿時間は、朝までにと行きたい所なのですがここでの改変のために修正と見直しが時間掛かるかもしれないので遅れる可能性があります。活動報告にて状況は随時発信しますのでそちらを見ていただければと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ