デカマッチョ!
1人の男が部屋に入ってくる。
「た、大変です!実験体、コードSが暴れて手がつけられません!」
「ナイトが三人いたじゃろ?」
「三人とも殺られました。」
「なに⁈」
科学者のお爺さんのひたいに汗が滲む。
「仕方ない、ここを爆破する。」
「え?しかし、」
「奴が仮に表に出てみろ、確実にワシ達は消される。ワシ達だけじゃない下手したら家族にまで、、、。とにかくさっさと準備をするんじゃ!」
「は、はい!」
そう言って、男とお爺さんがへやを出て行こうとする。
「ちょっ、ちょっと待って、俺はどうなるの?おい!」
二人ともマサキを無視して出て行く。
「な、なにこれ。こんな格好で死ぬなんてメッチャ恥ずいんだけど。」
…
それから一時間いや二時間はたっただろうか、一行に爆発する気配はない。人の気配は全くなく、ただただサイレンが鳴り響ている。すると、サイレンの音がスッと止まった。建物は静まり返っていた。
「⁉」
マサキは何者かの気配を感じた。その気配はだんだん近づいて来る。ガチャッとドアを開け、二mはあるんじゃないかと思われる男が入ってきた。男はマサキに近づいて来る。男の片手は血で真っ赤に染まっていた。マサキは生唾を飲む。
「おまえ、じはよめるか?」
「え?あ、まあ読めるけど、日本語なら。」
男は鍵を使いマサキの手錠を離す。
「あ、ありがとう。」
「?なんだそれ。」
「て、手錠外してくれたから、ありがとうって。」
「これをはずしたら、ありがとうっていわなきゃいかんのか?」
「いや、そういう意味じゃなくて、感謝の気持ちだよ。」
「かんしゃ?きもち?」
「そう、感謝の気持ち。誰かに何かして貰ってありがたいなって思った時に、自分の気持ちを伝える為の言葉。」
「そんな、ことばがあったのか。」
マサキは失笑してしまう。
「⁇」
「面白い奴だな、名前は何って言うんだ?俺は正貴。」
「なまえ、、、コードSって呼ばれてた。」
「⁈コードS。」
マサキは手錠と鍵をお尻のポケットに二つしまう。
「それはお前の名前じゃねぇ。実験No.だ。」
「じっけんなんばー、おまえもいっしょか!」
男は握り拳を作りマサキに殴りかかる。男の拳は壁に当たる。壁にはヒビが入り男の拳の後が残る。
「落ち着け!俺は奴らとは一緒じゃない。俺もお前と一緒だ。」
男の動きが止まる。
「でも、お前のおかげで何もされずにすんだんだ。だから礼を言う、ありがとう。」
「ありがとう、、、かんしゃのことば。」
「なあ、お前に俺が名前つけてやるよ。」
「なまえ、」
「嫌か?」
男は首を横に降振る。
「ほしい、なまえ。」
「プルトでどうだ?」
「プルト。」
「うん、死と再生の星冥王星のプルートから取った名前だ。」
「プルト、きにいった。」
「そうか、良かった。じゃあ、さっさとここ出ようぜ。なんか爆破するらしいから。」
マサキは部屋を出ようとすると、
「お、おい!」
マサキは振り向く。
「どうかした?」
「そその、ありがとう。」
「はは、やっぱ、面白い奴だな。どういたしまして。」
プルトは産まれて初めて、心が温かくなったような気がした。