曇
マサキと男は、物凄いボロボロのアパートにいた。
「俺の名前は弦ヨロシクな。」
「え、あ、はい。よろしくお願いします。」
ゲンとマサキは握手する。
「弦さん、あなたはいったい。」
「まあ驚くな、俺もさっきの奴と同様ノーベラーだ。上の奴に言われてお前を守る事になった。」
「なんですか?ノーベラーってのは。」
「そっか、まだ何も知らなかったんだっけ?まあ、簡単に言うと、ノーベラーってのは特殊な能力を持った人の事だな。さっきのビリビリ野郎もそうだ。」
「へー」
「今の俺の血液にはノーベル菌という物が赤血球に感染しノーベル細胞となっているんだ。ノーベル細胞が血液の半分以上に達した時に、10人に1人という確率で覚醒し能力を使う事が出来るんだ。」
「へー」
「ノーベル菌は接触感染に近い感じで感染するらしい。」
「へー」
「ちゃんと聞いてるのか?」
ゲンは少しイラつき貧乏ゆすりをする。
「聞いてますよ。あなたにあまり触れなければいいんでしょ?」
「まあな。ちなみに俺は敵の能力を無効にする能力だ。すごいだろ?」
「あんまり強そうじゃないですね。」
「うっ!まあそうなんだが。奴らとの闘い方を教えてやるよ。」
「なぜ?」
「その方が俺が守りやすいからな。」
「別に守らなくてもいいですよ。俺には生きてる理由が無いので。」
ゲンはマサキの発言に鼻で笑う。
「生きてるだけで丸儲け。」
「何ですか、それ?」
「ある人の名言だ。死んだら損するぞ?過去は変えられないが、未来なら変えられる。変えられない未来もあるがな。」
「・・・」
マサキの表情が緩む。
「俺いい事言うだろ?」
「あなたを見てると、ある人を思い出します。」
「それは大切な人か?」
「はい、今はもういませんが、俺の一番尊敬する人です。あの人も今の俺を見たら似たような事を言うと思うんです。」
「そうか、でもな俺とは親しくならないでくれ。」
「はあ。」
「よし、じゃあノーベラーとの闘い方を教えてやる。まずノーベラーはボールを作らなきゃ能力を使えない。つまり普通の人間が闘うには一瞬で決めなきゃならない。でも、勝負が一瞬でつく可能性はかなり低いだろう。」
「その時の対処法は?」
「逃げ回る事かな。」
「マジで言ってるんですか?」
「ああ、ボールを出している間や能力を使うとエネルギーをノーベラーは消費するから、エネルギー切れを狙うしかないな。量的にいえば、ボールを十分間出し続けると200mのグラウンドを一週一分ペースで、五分走った時と同じ量のエネルギーを消費するらしい。」
「わかんねーよ!」
「まあ、熱くなんなよ。」
「なってないわ!とりあえず闘い方はなんとなくわかりました。」
「それなら良しとしよう。晩飯はまだか?」
「少ししか食べて無いんでお腹は減ってますが。」
「駅前に新しくインドカレー屋がオープンしから行こうや。」
「いいですね。行きましょう。」