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30 minutes  作者: 緋絽
6/11

起点


長らくお待たせしました、秋雨です

今日は学校が休みだから久々に家でだらだら過ごそうと思う。

――――えー、つまんねーよー。外行こーぜ、外。

――――嫌だ。今日は家でゆっくりする。はい決定!

――――ブーブー!!

ブーイングする空を無視してベッドに転がる。

空がうるさくするのも慣れたよなー、俺。

……そういえば、空っていつから俺の中にいるんだっけ…?

あー、思い出せそうで思い出せない……。

まあいいや、寝よう。

相当疲れがたまってたみたいで、俺はすぐに眠りについた。


俺が、小学四年生のころ。

このころから正義感の強かった俺は、帰り道にある公園で捨て猫を見つけた。

どうしても通り過ぎることができなくて、毎日公園に寄っては猫に餌をあげていた。

その日もいつも通り猫に餌をあげようと公園によると、小学六年の男子三人が輪を作ってあの捨て猫を蹴っていた。

「やめろっ!!」

弱った猫の姿を見た俺は、後先考えずに飛び込んだ。

「あ?なんだ、こいつ」

「しらね」

男子の足が止まった。

今だ!

猫を抱き抱えて駆けた。

「あっ、逃げたぞ!」

「待て!!」

男子も追いかけてくる。

もうちょっと、もうちょっとで公園から出れる……っ!

そう思った矢先、俺は石に躓いてこけた。

「うわっ……!」

こけた拍子に猫が腕から飛び出し、そのまま逃げて行った。

「ちっ、逃げちまったじゃねーか」

「どうしてくれんだよ!」

「責任、取ってもらおうか?」

そこからは蹴る殴るのオンパレード。

喧嘩が弱い俺は、体を丸めて耐えるしかなかった。

そろそろ意識が遠のき始めたころ、声が聞こえた。

――――助けてやろうか?

耳から聞こえた、というより、脳に直接響いている感じがする。

――――だれ……?

――――オレ?オレは空だ。

――――空………。

――――って、そんなことはどうでもいいんだよ。助けてほしいか?

――――助けてくれるのか…………?

――――もっちろん!オレにまかせな!!

その言葉に、凄く安心した。

――――じゃあ、オレの言うとおりにしてくれ。

――――わかった。

空の指示に従い、起き上がる。

「なんだ?」

「まだ起き上がれたのか、こいつ」

「しぶてぇな」

満身創痍だった俺が起き上がったから、男子が警戒している。

――――そいつらの中の誰でもいい。とにかく目線を合わせろ。

目線………。

一番身長が近い男子に目を向ける。

「な、なんだよ」

黙って、じっと見続ける。

――――10

カウントダウンが始まった。

「何だって言ってんだよ!!」

――――8……7……

「なんだ、こいつ。気味悪ぃ」

周りの声も気にしない。

――――5……4……

「なんとか言えよ!!」

しびれを切らした男子が拳を振り上げる。

――――2……1……

「ナイスタイミング」

拳を振りかぶっていた男子が吹き飛んだ。

「あー、いてー。ったく、さんざんやりやがって……」

ぐるんぐるんと肩を回す。

「覚悟はできてんだろうなぁ?」

このとき、俺の中に“空”という人格が誕生した。


――――……い、おい、大地ー。そろそろ起きろよー。

「ん………」

頭に響く空の声で目が覚めた。

あー、ずいぶん懐かしい夢を見たなー。

――――お前寝すぎ。何時間寝る気だよ。

――――そんなに寝てないだろ。

――――いーや、二時間は長いほうだね。

ああ、そんなに寝てたのか。

――――………なあ、空。

――――なんだ?

――――これからもよろしくな。

どうして急にそんなことを言ったのかわからないけど、今言いたい気分だった。

――――……おうっ!

空の、照れた笑みが見えた気がした。



――――ところで大地、カナ呼ばないか?

――――入れ替わる気満々だろ。


書くのに苦労しました……



次は緋絽さん!

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