第二話・17歳〜再会〜
ついに訪れてしまった、この日。
前の日の寝不足で少し荒れ気味の肌に、薄くファンデーションなんか、乗せてみる。買っただけでほとんど使ってない。
これ、いつ買ったんだっけ。ふと、中学の頃の会話を思い出す。
「新星は、化粧なんてしたことないだろ」
「うっさいなぁ、そんなのあんたには関係ないでしょ」
「うわ、図星だろ。ま、でも、新星は、そんなのしなくて良いんだよな。そのままで充分可愛いから」
「ば、ばっかじゃないの。冗談も良い加減にしなよ」
「なぁに赤くなってんの、ミサちゃん?冗談なんだろ?でも、化粧はしろよ?いつか」
よくあんな歯の浮くような台詞冗談でも言えるよ。あの人の気取った顔を思い出してちょっと笑った。
でも 、その日の放課後、私はこれを買った。それは紛れもない事実。私も馬鹿だ。
タカミと学校帰りにそこへ行くと、駐車場には2、 3人がすでに来ていた。皆、新しい生活があるようで、10人も集まらなかったらしい。
ふと、隣にいるタカミが堅くなるのがわかる。憧れのS君、シンジがいたからだ。
「二人とも、久しぶりだね。元気だった?」
自称フェミニストのシンジは、女の子なら誰にでも優しい。そんなシンジに憧れるタカミは、けっこう単純だ。
しばらくして人数が集まったので店に入る。食事も始まり、皆は思い出話に花を咲かせている。
でも、私は気が気じゃなかった。
あの人が来ていないから。お祭り好き、目立ちたがり。絶対来そうなのに。
気になるけど、変に思われそうで、訊けない。
と、あの人と仲の良かった男子が幹事であるシンジに話しかけた。
「そういや、ヒロは?あいつが一番来そうだろ」
「あぁ。ちょっと遅れそうって言ってたよ。あいつ、学校遠いし。あ、メール来てる。『どこ?』だって。お前見て」
「ヒロ!こっち、こっち。おせぇよ、お前」
「わりぃ、わりぃ。…おぉ、思ったより少ない。」
…ついに来てしまった、あの人が。私が一番恐れてて、一番待ってた人。
長い間更新せず申し訳こ゛ざいませんでした。