表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はとてつもなく運が悪いのに、それでも彼女は僕を愛してくれている!  作者: Riv Sansty


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/10

世界で最も不運な男

私の名前は山口和希…うまく説明できるかな?とにかく、俺はとことん運が悪い人間なんだ。具体的に言うと、運の数値が「-5」。そう、この世には運が悪い奴もいるんだよ。そして俺はその世界チャンピオンってわけだ!


いつも通り一日中家に引きこもってるつもりだったけど、どうしても腹が減った。カップ麺が切らしてたから、買いに出かけることにした。でも、家の門をくぐる前に、五秒ほど立ち止まった。「うーん」と考えた。「まあ、何も起きないだろ」。五歩目を踏み出したその時――


ガシャーン!!


振り返ると、植木鉢が、さっきまで俺が立ってた場所に見事に落ちていた。「やっぱりな」、苛立ちながら思い、そのまま歩き続けた。幸い、それ以上のことは起きなかった。今のところは、もちろんだけど。


歩いていると、高校の横を通りかかった。ボールが床に落ちる音、アタック、サーブの音が聞こえてくる。思わず物悲しい笑みが漏れて、そのまま足を進めた。


昔は、俺もバレーをやってたんだ。もう少しだけ、世の中が寛容だった頃にな。今じゃ? 挑戦することすらできない。元々、正直言ってそんなに上手くもなかったしな。


小さな商店に着き、カップ麺を探した。ふと、チラシに目が止まった。求人広告だ。条件は全部満たしてた、一つ以外は――運レベル2以上。カップ麺と、パンを二つ手に取り、レジに向かった。店主は顔なじみで、正直なところ、隣人の春香さんを除けば、話しかけてくれるのは彼だけだ。


「和希さん!」店主が言った。「ようやく巣穴から出てきましたね!」

「食わなきゃ生きていけねえんでね」と、皮肉っぽく笑いながら返した。


代金を払い、店を出る。家に帰る途中、小さな、毛がぼさぼさで痩せこけた子犬を見つけた。見ると、胸が痛んだ。手にしたパンを、その犬に差し出した。小さな雑種犬は尻尾を振って、ありがたく受け取った。目の前で必死に食べる犬を見ていると、俺の腹も盛大に鳴った。でも、仕方ない。こんな子犬の方が、俺より価値があるんだろう。


……まあ、今に始まったことじゃないけどな。


帰り道、またあの高校の前を通りかかると、どうやら揉め事が起きているようだった。足を止めて、耳を澄ました。


「出てけよ!」生徒の一人が叫んだ。「お前がいるせいでチームが崩れるんだ!」

「でも、俺は上手いんだ!」別の声が言う。「毎日練習してる!」

「看板、見えねえのかよ、バカ!」また別の者が怒鳴る。「『運レベル3以上』って書いてあるだろ! お前、プラスですらないじゃねえか! 消えろ!」


足音が、重く引きずるように遠ざかっていくのが聞こえた。ため息をつき、あの少年に胸を痛めながら、再び歩き出した。あの気持ちは、よくわかってた。嫌ってほどな。


家に戻り、カップ麺を電子レンジに入れて、自室へ向かった。少し散らかったクローゼットを見上げると、その上に、しぼんだバレーボールが置いてある。重いため息をつき、電子レンジの知らせる音が聞こえて、部屋を出た。


その日は、その後これといったトラブルもなく過ぎた……まあ、テレビがちょっとだけ調子悪くなったけど、あれはたまになることで、もう直し方はわかってる。いつものことだ。


夜になると、誰かがドアを叩いた。開けると、春香さんが立っていた。彼女の顔には、いつもはあまり見せない、弾んだような笑顔が浮かんでいた。


春香さんとは、この団地に引っ越してきた時からの長い付き合いだ。俺の極度の不運を知っていても、彼女は距離を取ろうとしなかった。今でもその理由はわからない。もしかしたら、俺たち二人とも、不運な者同士だからかもしれない。


「春香さん?」尋ねた。「なんか、いつもよりテンション高くない?」

「聞いてよ、和希くん!」彼女は叫び、一枚のチラシを掲げた。「バレーのコート、予約できたんだよ! 行こうよ!」

「春香さん」と、顔に手をやりながら囁いた。「俺がこれっぽっちも上手くないの、知ってるだろ」

「もう、いいじゃん!」彼女は唇をとがらせて言った。「ただ楽しもうよ!」


目を回した。春香さんは時々うるさいけど、一緒にいるのは悪くない。はっきりとは言えないけど、彼女には何か、説明できない魅力があるんだ。肩をすくめて、言った。


「わかったよ、しつこいな。行こう」

「やった!」彼女は喜んだ。「じゃあ着替えてきてよ。その服、ホームレスみたいだから」

「あんたねぇ……」


部屋に戻り、ハーフパンツとタンクトップに着替え、スニーカーを履いた。外に出て、彼女に導かれるまま歩いた。歩きながら、バレーの話や、俺たちがどれだけ下手くそかという話をした。


「和希くん」と彼女が呼びかけた。「君、バレーの選手になりたかったんじゃなかったの?」

「今でもなりたいよ」と答えた。「昔ほどじゃないけど」

「なんで?」と、彼女は首をかしげて尋ねた。

「俺みたいな不運な奴を、誰が受け入れてくれるんだよ、春香さん」


春香さんは何か言いかけたが、結局何も言わなかった。彼女も、俺の言っていることが間違ってないとわかっていたんだろう。俺はろくに仕事すら見つけられないんだ。バレーチームの枠なんて、なおさらだ。


しかし、歩いていると、ふと嗚咽が聞こえた。


かすかな、泣き声だ。


足を止めて、顔を見合わせた。耳を澄ませると、再びその音が聞こえる。音がした方へ目を向けると、そこには――。


小さな女の子が、縮こまって、びしょ濡れになっていた。彼女は、いったい誰なんだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ