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プロローグ

「確か、このあたりだったはず」


 横なぐりの風に吹かれながら岸を歩く。

ここ数日の激しい嵐で、海はすっかり荒れていた。


「あ、殿下……あそこ!」


 私が指をさした先に、何かがうずくまっているような影があった。


 かけ寄ると、それは女性だった。

衰弱しきっているけど、まだ息はあるようだ。


「大丈夫? しっかりして」


 助けおこしたとき、その顔を見てぞっとした。

ひどくやつれた彼女は、暗闇でもよくわかる、凄まじいまでの美しさをたたえていた。


「名前は?」


 いつのまにか横に来ていた殿下が、静かに言った。


「サーモン……ベーリング」


 彼女はにらみつけるような強い目で私たちを見た。

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