言葉は剣より鋭い。傷口は見えないのに、一生化膿し続ける
まさに料理の美学ですね。
ユリアスは戦いの美学を知ってるもんね。
私は真ん中で、オリジナルティーの入ったコップを口にずっと当て、静かにユリアス、アルコンと話す相手を目線で追っていく。
美学とは…程遠い。戦いとは、血と泥に塗れた、生死の闘争なんだ。
でも避けられない。必ず起こる。だからこそ、そこに何かの価値を見い出そうとする。傷だらけの騎士は、泥濘の中でこそ輝くってね。
実戦経験がないんだろう、アルコン。
まあね。
別に貶してるわけじゃない。それは素晴らしい事さ。あの苦痛は……誰も味わうべきものじゃない。悲しげな目をして、遠くを見つめるようなユリアス。
お酒、いりそう…。確か…それっぽいのあったような。探しにいく。
そうだね。当たり前だけど、できれば味わいたくないよ。でも僕だって、必要に迫られれば、覚悟はできてる。
尚、素晴らしいな。
何か詩人になったつもりで、戦いの経験を語ってみてよ。後世に戦いの悲惨さを実体験から伝えるのは、良い事でしょ?
ふ〜ん、それには反論はしないが。私には君のように詩人の才はない。
とにかく、なんでも思ったこと言ってみてよ。戦いも、経験からでしょ?
やれやれ。そうだな……。死の恐怖こそ、戦場の真実。
う〜ん♪ 全然良いじゃん。
ここは喜ぶべきところなのか?
戦場に花は咲かない。あるのは冷え切った叫びのみ。
ここはレトリック大会なのか?
弁論術、しいては説得力が個人の権力を左右するんだよ。故に、主君を守る術にもなる。言葉は剣よりも強しだよ。
ふむ。そう言われれば、この愉快な訓練も続けられるかもな。
その皮肉も最高だよ。剣は肉体を殺すけど、言葉は冗談という一言を添えるだけで、相手の心を殺しながら笑顔を強要できるからね。
言い得て妙だな……。しかし、リーシャ様を守る為ならば、どんな試練でも受けよう。
それでこそ騎士だね! 皮肉を続けてみよう。
皮肉は……あまり好きじゃないな。敵だとしても、相手を軽んじるのは、根本的に私の精神に反する。必要な訓練なのか?
ユリアス、君には本当に騎士道精神があるんだね。騎士になってみたらどうだい?
有難い事に、もう騎士なんだ。騎士を知らない君には、分からないだろうけど。こんな感じでいいのか?
良い、いいよ! 凄く斬れ味がある。さすが本物の騎士だ。
これをどうぞ。液体が入ったコップを2つ、テーブルへ。
リーシャ様……これは?
ブクブクしてる……。
あーん……。これは……オイシイ…オイシイ……飲み物? 二人の友情への希望を漬け込んだ、一杯なの。
なる、ほど……。
ブクブクしてる。




