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食材踊る、幸せの舞台

軽く炒めた野菜達を煮込んでいる鍋へ入れていく。

そろそろお米はいいかな〜。おお! 結構それっぽくなってる。スンスン、確かに無味無臭。水も若干青くなってるけど。お焦げができない内に取り出す。う〜ん、お米っていうより山芋に近いかな。結構粘々してる。でも丁度良い♪

炊いたお米を少量の水を張ったボウルに移し、錬金用のすりこぎ棒で潰しながら、手でこねていく。これが! 意外と! 重労働!

手伝ってあげようか?

ホント?

それぐらいなら僕にでもできそうだから。

ありがとうアルコン♪ じゃあ、お願いしようかな。あそこで手を洗ってね。

オッケー。

熱いから気を付け……。

熱っ!

ンフフ♪ 大丈夫? 水を手につけながらこうして、やるのよ。

ふぅ〜、任せて。

慣れない手つきとは裏腹に、真剣な表情のアルコン。

可愛い♪ あとこれをほんの少し加えるのよ。青い粉を投入していく。

これは?

増粘剤よ。

た、食べれるんだよね?

ンフフ♪

リーシャッ。アルコンの目がムギのようにまん丸と。

もちろん食べれるわよ♪

も〜。怒ってるのに怖くない。寧ろ愛おしい。

滋養系のポーションでよく使われている増粘剤。つまり片栗粉。アルコンの反応曰く、当然食用としては全く認知されていない。

僕を翻弄して楽しい?

ンフフ♪ 少し。ごめんね。

でもリーシャの笑顔が見られるなら、悪くないかな。

うっ! 不意打ちの魔法に、世界が一秒だけ止まった。は、反則だよ……。その笑顔が私の心を塗り替えていく。


煮込んでいる鍋の火を弱め、トマトを彩りよく全体に散らすように入れていく。

アルコンを待つ間にバターとコカトリスのもも肉を必要な分だけ切っていく。

これはムギの分っと。実はこれがムギの大好物。これを差し出せば、どんな気分の時でも一目散にかけ寄ってきちゃう。そしてしっぽがぴーんと踊り出す魔法の笏杖に早変わり。ムギの魂を揺さぶる魅惑の食べ物。


ねえ、リーシャ。これってどれくらいこうしていけばいいの?

う〜ん。ふわりと立ちのぼらない香ばしくない米の蒸気。粗めについたそこそこ艷のある餅肌。少しつつく。あっ♡ ただのモチモチ感ではない。見た目とは裏腹にかなり極上のモチトロ感が私の指から固有掌側指神経に伝わり、体に染み渡っていく。ほろほろと心がほどけて私の細胞が踊り出しそう。

んっ! もういいかな。

餅に似た物体を鋼鉄皿へ移し、切った鶏肉、バター、チーズを加えて、ソルトと貴重な胡椒を少し。

それって胡椒?

うーん、うーん、違うよ。ロングペッパーだよ。

…………。アルコンの知識溢れる純粋な眼差しが私の頭の奥まで届く。

そう胡椒。

わお。贅沢だね。

ユリアスには言わないでね。遠慮しちゃうから。

両眉を上げて静かに数回頷くアルコン。

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