香りと色彩のアルケミー
マルスダレガイの出汁のみでいくのがドレ味噌〜♪
でもブラックソルト少々。どの服を買うか決める前に、季節が過ぎていく私はこうしてソルトを加えてしまう。臭みはないけどアクセントに。
スンスン。火をつけたばかりだけど、湯気とともに解き放たれる研ぎ澄まされたミネラルの香り。う〜ん♪ マルスダレガイ特有の深く濃厚な旨味の粒子が私の鼻を抜けていく。
私の意識は今、深海へ。
海から上がり食材を切っていく。食用というより儀式に多用されるパセリ。それからブロッコリー。ブロッコリーはアピシウスという料理本に載る前は食用と思われていなかったみたい。それもそのはず、ブロッコリーらしからぬその見た目は少し躊躇する外見。しかも毒々しいほどの紫色。主に大きな花蕾の実を使う。清冽な緑の束と紫の束を木板に置き、適度な大きさに切っていく。爽やかな香りが目の前に広がる。切り終えたパセリ、ブロッコリー半分を煮込んでいる鍋へ。もう半分をドワーフの鋼鉄皿へ。鋼鉄皿にはよく使うオーロックスの生乳から作ったホールチーズを。チーズを3人分切り、たっぷりめに入れる。後は鋼鉄の心臓炉と呼ばれる鍛冶用の大きな道具をオーブン代わりに使い、じっくりとローストしていくだけ。まだ火は付けない。見た目より軽いとはいえ、これを楽々と運ぶムギ。そして設置してくれたユリアス。以前ユリアスの盾を持たせてもらった事があったけど……あれは重すぎた。完全に。
次に真っ赤なトマトを切っていく。悪魔の実と言われ、昔は猛毒の果実として戦争の時に使用する毒矢の材料としてよく錬金術師達が使っていたらしい。常識を疑う哲学者兼、錬金術の凄い人が否定して徐々に食用として広まっていったらしい。でもまだ不完全。まるでエルフの魔法かドワーフの機械かで迷っている人達のように。
まな板の上で包丁が奏でる軽快なリズム。切り分けたトマトを儀式用のボウルに移す。
次はズッキーニ。というより歪で大きなカボチャ。メロンみたく切り、実だけ取り出す。淡白ながらもジューシーな肉質のズッキーニ。この世界では皮に魔力の胞子が残っている事があるので使わない。煮込んでいる鍋へ。
次にパプリカと錬金術の定番フェンネルを切っていく。フェンネルは甘く、少しピリッとしたスパイス感と爽やかがある不思議な食材。
切った食材達を煮込んでいる鍋へ投入……ではなく敢えての炒め。
カスタム錬金鍋 (フライパン) に魔法の油を引いていく。でもこれはそういう物ではなく、この世界の人達の一種の表現。




