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内なる庭の散策

先にお風呂を済ませた私は夕食の準備。髪の汚れを取るのには少し苦労してしまった。逆に乾かすのは簡単。そこは流石ファンタジー。ドワーフの風術の道具と炎石の組み合わせで快適に。でも魔法に精通しているエルフは魔法で体を洗ってると聞いた事がある。う〜ん。今でも気になる。

今はユリアスがお風呂に入っている。ユリアスは湯船に浸かる体の開放感を覚えてくれたのか…う〜ん、上がったら聞いてみよう♪

ユリアスが剣だけでなく盾までお風呂に持っていく物々しさは、いま自分のいる世界を鮮明に思い出させてくれる。正直、マイお風呂を失ったのは少しだけ悔しい。何故なら長年じっくりとカスタマイズしてきたから。ありふれた寛ぎの景色を私だけの特別な景色に塗り替えてきたから…。でも持ってこられる物は全て持って来た。悔いは…ない!

特に拘ったのは言うまでもなく洗浄料類。この秘伝のポーションをあんな義母に渡したりしたら……生物は死に絶え、魔力は狂い、明日という概念がこの世界から永遠に消滅してしまう…それぐらいの後悔に押しつぶされていたはず。

創薬には義父の愛用していた錬金術の専用部屋を使い、素材の収集も私の内なる力の1つである、ハイボーンで事なきを得た。偶に密猟者と出会う事もあった。殆どが生きる為に必死だった。いま思えば私が貴族としてしっかりとしていれば、大勢を救えたかもしれない。でも当時の私はこの世界の環境に慣れる為に半ば錯乱気味でそれどころではなかった…。嫌な思い出も蘇ってくる……。

嫌な思い出といえば、仮面舞踏会で蜜としても毒としても注目を浴びたのは今でも鮮明に覚えている。外国の貴族や王族でもにおう人がいたのは……ある種のカルチャーショックだった。でもエルフの貴族は何故かみんな甘酸っぱく焦げた匂い……ラズベリーの焦げた香りがした。当時ユリアスにその話をしたら…意外にもユリアスは特別驚いてはいなかった。ユリアスの経験上、魔法のにおいらしい。でもこうして思いふけていると、リーレイには蒸し風呂の文化があって本当に良かったと、つくづく思う。

何はともあれ、ここでそれなりの形にはなったお風呂。お風呂に入れるだけで十分。ユリアスがいれば、細かい事はどうでも良くなる。

でももし、もし危険な魔物とかが突然襲ってきたら……ユリアスは裸のまま駆けつけてくれるのかな。もしそうなったら……絶対笑ってしまう。

いや、私は魔物の恐怖でパニックになてそれどころじゃないかな。

う〜ん……。お風呂の方を見て目を細める。実際どうなるんだろう。少し気になるけど……やっぱ何も起きないのが一番かな♪

けど一番気になるのはユリアスの素顔。何だかんだで見る機会はなかった。いつも見えるのは兜の隙間からの両目と口元だけ。バラクラバのように意外と素顔が想像できない。

なぜか私の昔の記憶は靄が掛かったようにユリアスの顔が潰れてしまっている。

幼少期は鮮明だったはずのユリアスの表情。今は靄の向こう側へ静かに沈んでしまっている。

忘れ去ってしまったはずの記憶がいつか……ふとした瞬間に思い出す事があるのかな……。

この世界に来てからというもの、疑問が絶えた事はない。なのに得られる答えはいつも僅か。まるで終わりのない迷宮の地図を描いているみたい。


はぁ〜、思いふけるのをやめる。

ユリアスが出る前にさっさと夕食の準備を進めよう。ムギも待っているだろうし。

でもムギは丸まって気持ちよさそうに寝ていた。もしかして食材を集めている間に結構摘み食いしていたとか?

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