味覚の探求
辺境の追放ハウスに帰る途中。
辺りはすっかり薄暗くなってきてしまった。
先導してくれるのはユリアス、最後尾はすぐに誘惑に駆られるムギが務めている。
植物の匂いを嗅いだり、よく分からない飛んでる生き物を鋭い眼光で追ったりと、気が付くと離れていて、さっと走り寄ってくる。そしてまた……その繰り返しなムギ。
その時、私に何か見たことのある植物が目に入る。小さな粒が密集して垂れ下がっている。
これって。
実を一粒取り、割ってみる。
やっぱり。これお米だ。
でもなんでこんな所に? 周囲を見渡すと、あちこちになっていた。どうして行きは気付かなかったんだろう? よく見ると行きは木で隠れて見えない場所ばかりだった。
これは〜良い物を見つけた! 後は土壌さえ良ければ。
バイ◯リフトで土壌をチェック!
リーシャ、何してるの?
これを食材にしたいと思って、望みが薄いんだけど、一応念の為に汚染を調べとこうかと。
まさか……これを食べるの?
アルコンはこれを知ってるの?
まあ……ね。これは接着剤の材料だよ。食べる物じゃないよ。
アハン♪ つまり糊ね。食べられる、食べられる♪
稲の穂を摘み取っていく。
ユリアス!!
どうしました?
辺りにこれ同じのが咲いてるから、実を摘み取るのを手伝って。
分かりました。
アルコンも手伝ってくれると嬉しいな。
いいけど……本当に食べるの?
うん♪ どんどん摘み取っていく。う〜♪ 大漁ですね〜♪ 思わず笑顔が溢れてしまう。
だってこれ……無味無臭だし。粘々としていて、歯や歯茎にまとわりつくんだよ? 飲み込んだから胃にくっついて取れなくなるかも。
そうか。そんな心配の仕方もあるんだ。初めて聞いた。そうだよ〜。私は美味しい食べ方を沢っ山知ってるからね♪
アルコンは引き気味にだけど、手伝ってくれた。
ムギが興味ありげにじっと稲を見てくる。稲を少し取り、ムギの鼻に近づけて嗅がせてあげる。
鼻をひくつかながらムギは興味津々に稲を嗅いでいる。
そして嗅ぎ終わると、嘘のように興味を失い離れていく。
私が前世で身に着けた猫とのストレスフリーな共同生活の知恵の1つ。
猫の関心を否定せず満足させる。
周囲の稲の穂を大方採取し終わり、帰りながらも少しずつ採取しながら帰路についていく。
採取しながら色々な料理のアイディアを張り巡らせていく。
シンプルなのもいいけど、脳内に溜まっているアレンジレシピを色々と試していきたい。
あれをこうして。それとも……。
今日は帰るのが遅くなりそう♪




