ホームステッド。
入り口前のポーチでこの日の為に少しずつ集めていた植物の種が入った保管容器をそれぞれ取り出していく。私が書いた下手なイラストでちゃんと分けてある。
ムギは外で白く輝く蝶達を追って遊んでいた。
アルコン! そこは色が違う。
先に言ってよ。
さっき言っただろ。
にしてもこの作業結構癖になるよ♪ ユリアスもやってみる。
こっちが終わったら手伝うよ。
中ではアルコンはハケで壁に色を塗ってくれていて、ユリアスは持ち前の腕で窓を新しく直してくれている。前線ではよく工兵を手伝っていたとかで窓ぐらい余裕らしい。いつも頼りになるユリアスの姿に思わず胸がキュンとしてしまう。それにして……。目を細める。平和だね〜♪
馬鹿みたいに和むのをやめて立ち上がる。
まずは栽培に適してるかどうか土壌を調べないと。
〜移動〜
う〜ん。植えるならこの辺かな〜。丁度窓からも見えるし。さてと。道具を取り出す。この銅色でバイ◯リフトみたいな機械の中央のボタンを押し、先端で土を掬いそのまま傾けボタンを離して閉じる。後はこの機械の結果を待つだけ。
ここって雨降るのかな。植物があるんだからきっと降るよね。でもここは現実の認識や論理的制約を超えたファンタジックな世界。私の常識はあまり通用しない。
その時、白く輝く綺麗な蝶が目の前に現れ、赤く咲いている野花に止まった。
屈んで膝を抱え、羽根をゆっくりと羽ばたきながら花の蜜を吸う幻想的な蝶を眺める。蝶の白く輝く半透明の体の中には、キラキラと光る胞子が、まるでスノードームのように舞っていた。
なんだか時の流れがゆっくりに感じる。こういうのを眺めていると、この世界もいいなって思えてく……。
蝶が花の蜜を吸うと花がしぼみ、そして枯れ、花は黒く腐ってしまった。
蜜を吸い終えた蝶がお腹を張り、どこかへ飛んでいく。
…………。
そんな蝶をムギがパクリと一呑みにしてしまった。
……私はリーシャ。この辺境の地で安らぎを育くむ者。
ピー!(機械音)
頭が壊れる前に結果が出た機械を確かめる。
結果は赤。緑は最高! 青は大丈夫だよ。赤はダメ。黒は最悪。
というわけで、こんなところで育てた野菜や果物を食べたらもれなく病気になってしまう。
幸先悪いな。でも当然かな。人が住めるような所ならとっくに誰か住んでるよね。
ここはリーレイとネレジアの国境間に広がる無駄に広い森。木々や植物は綺麗なのに、死の森って言われていた。私は正直信じていなかった。この目で確かめる今の今までは。
何とか良い栽培場所を見つけないと、このままじゃ私とユリアスが干物になっちゃう。
飲み物はドワーフのろ過装置があるから、今すぐ大事になる事はないと思うけど、植物は育てなきゃいけないから飲料と勝手が違って無理。
参ったな〜。




