追放先での新生活①。
フフフンフンフンフッフフ〜ン〜♪ 神の国で好きだった曲の鼻歌。ようやく夢が叶ったわ♪ テーブルを拭き掃除。それにしてもこのロココテーブル凄いわね。一流のドワーフ職人が作っただけはある。ここなんて細部まで無駄にこだわりが。これ絶対良い値段するね〜。ピストル顎押し。でもなんで置いていったのかな。テーブルの脚を拭く。
こうやって掃除してると、レリアナの事を思い出す。元気でいるかな〜。
う〜ん。いま思えばずっと窮屈だっのよね。貴族って想像以上に自由がなかった。私が女だからかな。男だったら、もう少し自由があったのかも。どっちにしろ贅沢な悩みだったかな。
!? 赤い汚れ…。まさか……ね。錆…なわけ。きっと…塗装よね。そう。それかそういう木材なのかも。あれじゃない。自分に言い聞かせる。
気分よく掃除をしていると後ろから突然「リーシャ、ご機嫌だね」
私は声に驚き、とっさに振り返る。
なんだアルコン。驚かさないでよ。
こんな光景を見ている自分が何だか信じられなくてさ。
貴族がボロ屋敷で掃除してるって事?
あはは…まあね。
私の隣に来て屈み、一緒に掃除を手伝ってくれるアルコン。
でも貴族って意外と使用人が多いじゃん。
そうだね。でも君は公爵家でしょ。僕みたいな普通の貴族とは違うよ。だから何だか現実味がなくってさ。
それは私も常々感じている事。このファンタジーな世界は私にとって非日常的過ぎて時々訳が分からくなる。特に独特な神話的言い回しとか。
気持ちは分かるよ。私も同じ事思うことあるから。
意外、でもないかな。ねえリーシャ。少し思い詰めてる様子のアルコン。貴族じゃなくなるって事、怖いと感じる事はない?
う〜ん。ないかな。恵まれた生まれを否定する訳じゃないけど、私って元々貴族って柄じゃないから。そんなに気にした事はない。アルコンは怖いの?
貴族ってだけで何でも許されてきたから。逆に貴族じゃないだけで、酷い光景を沢山見てきたから。
貴族って処刑されないもんね。
うん…。ネレジアは古い慣習に囚われていないんだ。利用できない敵は皆処刑しているって話。
それは…怖いわね。相変わらず世の中は乱れている。義母みたいなのが多い。戦争の話が何だか大きくなってきている。嫌だな〜。せっかくここで静かに暮らせると思ったのに。えーっと…パクス様(この世界で平和を司る女神) どうか戦争を無事に終わらせて下さい。拝み、手をスリスリ。
アルコンが不思議そうに私を見ていた。
平和になりますようにっておまじないかな。
キョトンとしているアルコン。テーブルに祈ってるの?
違う違う!
ゴミを運び出し終えたユリアスが戻ってきた。リーシャ様、大方終わりました。
ありがとう。ユリアス。わお、もう運び終えちゃった。しかも全然疲れてなさそう。やっぱり頼もしい♪
アルコンが立ち上がり側に来る。こんなに広かったんだ。
確かに広い。いや、広すぎるぐらいだ。




