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追放先と若男爵②。

結構アルコンの荷物が多かったので一緒に運んであげたよ。

よくある座って飲み物でもね的な事に。


建物は植物が栽培された手入れの行き届いた庭園に、中は茶系使いの少しクラシックモダンな感じの内装だった。


「と、いうわけでここへ着いたの。本当にさっきはごめんなさい」

「気にしないで。ん~」

何か考えている様子のアルコン。

「もしかして私の事知ってる?」

アルコンはデスクの引き出しをガサゴソと探り「もしかしてこの署名」

最後まで聞いて欲しいんだけど。

「そ、そう」カキカキ、同じ署名を手書きで披露。

「や、やっぱり!!」アルコンは驚きと喜びに満ち溢れた表情で立ち上がり両手で私の手をギュッとしてくる。そして書類はヒラヒラと舞っていく「やぱり、アドレド卿の御息女のリーシャ様ですよね? あなたの母君の援助のおかげで僕の母は助かったんです! あぁ! 本当になんとお礼を言っていいのか」

「あー……あはは。私は大した事はしていないわよ。うん。それというのも父がお世話になったとかなんとかで」

「アドレド卿の事はよく存じていますよ。あなたのように突然こちらに来ては不思議で奇妙な道具を探していましたから。あの頃は…ああ、僕で良ければなんでも力になりますよ。遠慮なく言ってください」

「んっ!!」ユリアスの大きな咳払い「アルコン殿。リーシャ様は国は違えど公爵令嬢の身。少しは礼をわきまえて頂きたいかと」

「おっ」アルコンはキョトンした表情で手の方に視線を落とす「あぁ! これは失礼。なにせ、こんな辺境に地にいると自分が貴族ということすら忘れてしまうもんで」アルコンは笑いながら後ろ頭をかく。

「まあ、分からなくもない。事情も事情だし。そんなに気にしなくてもいいわよ。ユリアスも、ね?」

「リーシャ様が構わないのであれば」

ユリアスのあの感じ……やきもち?

ユリアスったら、可愛い。

そういえば、食事の時もムギと並んで律儀に私を待っててくれるし。

いつも嬉しそうに食事を一心不乱に食べてくれる。

ん~♪ 普段は優しく頼もしく礼儀正しい。でも時より見せるあの感じがとてもグッと来てしまう。


妄想で一人盛り上がり、両手で頬を抑え照れてる私をアルコンとユリアスの視線が刺さる。


「コホン! は、話の続きをしましょ」



>>



「こんなところに住むって? アッハッハ、面白い!」私もユリアスも真顔「あー……まさか。ここはとても住めるようなところじゃないと思うけど?」

「そうなの? 現に貴方はここに住んでいるんじゃなくて?」

今の季節ならそう危険はないですけど、普段はとても。

ここに住むしかないの。お願い。居住許可をくれない?

許可を差し上げたいのは山々ですけど、あなたの身に何か会ったときは、その…面倒な事に。

私が野垂れ死ぬより?

許可しましょう。


>>


アルコンの後について向かう途中。


「ユリアス、なんだか上機嫌ね」

「さっきの書類に目を通していて……こちらを」

いつの間に? どれどれふむふむ。

「これは」

「あの男爵、少しは信頼できるかもしれませんね」

「う~ん。人の本性ってわからないものね」


書類には統治者の伯爵から建物の取り壊しについての記述が。

アルコンは取り壊しを拒否し続けてくれていたみたい。

意外と義理堅いタイプなのかしら。それとも。


「二人とも着いたよ」

「ん!? 本当にここか?」

アルコンは肩をすくめながら「本当だよ。騎士さん」

「ま、まあユリアス、中は結構良かったり……」


ギィィィ…バタンッ!!

腐った扉が勢いよく倒れ、私の手には取れたドアノブ。

よく分からない得体の知れない生き物達が音に驚き暗闇へと逃げ消えていく。そして見事なまでのクモの巣天国だった。


わー、すてきー。


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