森の遺跡。
「う、旨い!!」ユリアスの声が森に響く「リーシャ様の作る料理はいつも美味しいですが、こういった創意工夫もとても素晴らしい」
「ニャ~ニャ~」
あんまりハンバーガー食べながら熱弁するっていうのには違和感があるんだけど。やっぱりみんなハンバーガーって好きみたい。私はサンドイッチ派だけど。
ムギはハンバーガーにする必要あったのかしら……でも料理は見た目も大事よね。
「ほら前にも少し言ったでしょ? 以前の記憶というか世界というか」
「ええ、神の国の話ですね」
「あーう、うん。そうそう。そこで暮らしてた時のアイディアも真似ているから、別にそこまで私が凄いわけでもないのよ」
「いえ。そういった知識を授かっているのもリーシャ様だけ。きっと特別な理由があるのでしょう。それにしても本当に美味しいです」
「ニャ~」
二人とも頬張りが止まらない。
料理は考えても調理していても楽しい。そしてなによりこうして笑顔で食べてくれる人がいるだけで幸せにさせてくれる。
この背徳高カロリーに二人ともはまっちゃったわね。
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近くの小川。
「どうしてもしないとダメですか?」
「ダメよ♪ 昔の貴族みたいに歯を抜くことになるわよ?」
「この球体を舐めるだけでは不十分なのですか?」
「そっ。早く」
兜のバイザーを上げ歯磨きをするユリアス。
そーーっとユリアスの顔を覗き込む。
なっ!?
リーシャ様? どうしました?
思わず顔を背け背中で語る。
「ははは歯の病気って死ぬこともあるのよ。ユリアスがいなくなったら悲しいもの」
あれ、何も言ってくれない。
ちらっとユリアスを見る。ユリアスは頷いていた。
歯磨き中は喋れないよね。
でも文献だと魔法が発見されてから病気を治せるようになったから、わざわざこんな原始的な事しなくていいのかな。
これは検証が必要ね。
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歩きながら印された場所へ向かう途中。
「ムギは平気なんですか?」
「うん、平気だよ。というよりこのスースーが私と同じで気に入ってるみたい。ユリアスはやっぱまだ苦手?」
「ええ……。でも慣れますので大丈夫です。心配は掛けません。それに確かに眠気覚ましになります」
「今度はもう少し刺激が少ないのを作ってみるわ」
「待ってください。錬金術もできるんですか!?」
「少しね。料理に関わる事と、虫歯は特別気にしてた事だから。でも魔法があればいらない感じがしているけど」
「何か神に捧げる儀式かと思っていました」
なんて非日常的なセリフなの。
「そんな大層なことではないかな」
魔法で歯磨きってできるのかしら。もしかして知らなかったのは私だけ?
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そしてついに地図の印の場所へと着いた。
なんかの遺跡みたい。
「こんな深い森の中に本当にあるとは」
「ユリアス、信じてなかったのね」
「正直に申しますと、そうです」
「分かってる、分かってる。私も半信半疑だったんだけどね」地図をペラっと広げ眺める「ん~」
「あの建物の影から出ているものでは?」
「おぉ~! さすがユリアス目が良い。あっちまで行ってみよ」
はい。
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近くまで来たよ。
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「なんか建物の中の方は薄暗くて不気味ね……」カサカサ「イッ!? なんだ~芋虫が葉っぱに当たった音だったのね」
「少し前まで、誰かいたような感じですね」
「ユ、ユリアス……そんなこと言っちゃダメよ」
「でも実際手入れが結構いき届いて……リーシャ様、もしかしてこういうのは苦手なのですか?」
「そ、そういう……。いえ、そう。こういう不気味なところ苦手なの」
少し建物の中に入るだけで日の光が入らなくなり、入り口が閉じて、閉じ込められる。
そして暗闇で何も見えない中、奥から不気味な声が聞こえてきて……。
大丈夫ですよ。何があっても私が守りますので。
こういう時茶化すことが多いのに、ユリアスは本当に私の事を大切に思ってくれている。それがまた胸をキュって締め付けてくる。
見栄とかじゃなく本心で言ってくれてるのがなお嬉しい。
私はますますユリアスのことが好きになってしまう。
でも忠誠命の彼を困らせたくない。
私の小さい頭は今、とても複雑だ。




