幽ノ助、仕事を初めて辞めます
俺の名前は天ノ川 幽ノ助、何の変哲もない社会人である。…そう何の変哲もない社会人だ。
幼少期の頃から孤児院で育ち、中学の頃に進学か就職かを迫られた時、俺は迷わず就職を選んだ。
何故ならば、進学する金など何処にも無いからである。今思えば、せめて通信制高校か定時制高校には進学しておくべきだったと後悔している。
そんな俺は今、フルサービスのガソリンスタンドで働いている。中学卒業後、間もなくして就職した俺の年齢は15歳。完全に未成年だ。
しかし、中卒で就職のあてのない俺に待ってるのは当然ブラック企業だけなのだ。朝7時から夜22時までフルタイムの残業込みで働いている。
今日もそんなごくごく当たり前のバイト日常のはずだった…。
時間は夜の21時、そろそろ終業時間近くというのも相まって大半の先輩は帰っており、俺と先輩の山田さん、上司の門倉さんの3人で店を回していた。
暫くすると、こんな夜更けにも関わらず来車があり、お客様から「おう!、兄ちゃん達!。まだやってるぅ〜??」と陽気な洗車依頼が入り対応する事となった。
山田先輩は門倉店長のとこに向かい伝票やらの手続きをしているので忙しいようだ。俺は洗車機の作動準備を終えて暇になったので、ほんの気遣いでお客様の車を洗車機に移動する事にした。
「えっと…、確か私有地であれば免許持ってなくても車を運転しても良いんだっけ〜っ…と」と俺は独り言を呟きながら思考するが、どうにも車が動かない。
暫くすると何かを踏んだのか少し動き出し、「こいつ…、ちよっと動いたぞ!!」と驚くも束の間、アクセルを思いっきり踏み込んでしまい、ブレーキが分からずそのまま洗車機を抜けて壁に「ガシャーン!!!!!」と激突する。
お客様はすっ飛んできて怒鳴り、門倉店長は天井を仰ぎ、山田先輩は真っ青になる。俺は即日退職となった。




