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精霊と歩む少女【旧バージョン】  作者: アインス
エピソード Ⅱ

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鍛冶の町② ソファ

「ヤクモ、来て来て。

 この噴水ホントに温泉だよ」


 先に朝食を終えたオリバーたちと別れた私たち3人は広場中央の温泉噴水の前にいた。


 ここグロームハルでは精霊が自由にしてても問題ないみたいで

 ヤクモだけじゃなくトラヴァスもシェルティものんびり後ろをついて来てる。


 ヤクモは温泉噴水に足を付けて

 バシャバシャと水飛沫を上げてご機嫌。



「とりあえず何から揃えるの?」


「前使ってたやつは全部売ったからね。

 どうせならイチから揃えちゃおうよ」


「服と、食べ物、寝床からね」


 ホントに全部買い揃えるつもりみたい。


「じゃあ、服から?」

「服はまだいいかなぁ」

「服を買い揃える旅にするのはどう?」

「それもいいかもねぇ~。

 暖かくなるし、目的地は南に決定」


「ホントに何も決めてなかったんだ?」

「決めてないよ?

 アタシは新しくパーティー組んで、

 また色んな所へ旅したかったの」

「今のメンバーだと楽しめそうだわ。

 皆いいコたちだし、私も南は賛成」


 私も最初は本当に色々あったけど、

 今のメンバーは皆大好き。


「でもさ、ファニーさんどうするの?」

「そこが問題なんだよねぇ~」


 そう言って眉間に皺を寄せるノエル。


「やっぱりギルドにいないと駄目?

 でもそれだと、ピエールも…」

「あ、そこじゃないよ」


 どういうことだろ?


「寝床が問題ね」

「そう!それだよ!」

「あぁ~…それ?

 男女で分けちゃえば?」

「前も最初はそうしてたんだけどね。

 気付いたらペアが出来てて、

 ここ来る頃にはアタシ1人部屋…」

「わぁ~……」


 そう言えば前のスプライトクインテットって、ノエル以外それぞれ結婚して解散したんだった。


 少し気まずい空気だったので、

 噴水のヤクモたちに目を移した。


「ねぇ、なんで皆トラヴァスとシェルティに魔石上げてるの?」


 噴水前でまったりしている2柱の前を通りがかったハンターの内何人かが気付くと

 少し会話をした後に魔石を置いて行く。


「あれは昔精霊に助けられたコたちね」

「精霊に?」

「ルーキーの頃とか、

 私たちみたいな精霊使いとか、

 皆どこかで会うこともあるでしょ?


 その時直接お礼が言えなかったとか、

 何も持ってなかったとか。

 色んな事情のハンターがいて、

 ああして精霊を見かけた時に返すの」


「じゃあ皆で食べちゃっていいの?」

「住処に戻った時に還すみたいよ」


「へぇ~。いい人たちだね。

 直接トラヴァスが食べてるのは?」


「あれはトラヴァスが助けたか、

 余った魔石を貰ったかでしょうね」


 会話をしてから魔石を渡す人や、

 親しげに話すだけの人、

 何か祈ってる人もいるみたい。


「買い出しは2人にお願いしていい?」

「いいけどセレナどうするの?」

「ファニーの件もあるし、

 ギルドでアリアと話してくるわ。

 あと南側の依頼も受けとこうかしら。

 ノエルもそれでいいわよね?」


「オッケー。よろしくね。

 じゃ、ソファ、行こっか」


 そう言ってセレナと別れ、

 トラヴァスとシェルティに聞いたら

 ここに残るそうなので、私たち2人で買い出しに向かった。



 ◇◇◇◇



 着いたのは賑やかな通りを抜けて、岩がせり出した場所。

 明らかに人為的な裂け目の前で立ち止まるノエル。


「着いた着いた。入るよ~」


 入口をくぐると、魔導灯の灯りが

 山をくり抜いた空間を明るく照らす。


「えっ?眩しい――。」


 中は岩の洞窟だった。


 棚は全て壁を削り出して作られた岩棚。

 その上には鈍く輝く黒鉄の武器や

 加工前の鉱石、採取された素材など

 様々なものが無造作に並べられている。


「へい、らっしゃい!

 おぉノエルか、久しぶりだな。

 今日は旅支度か?」

「ん、久しぶり。そだよ~」


 ノエルに声を掛けたのは

 元気のいいお兄さんドワーフ?だった。


「こっちは新しいメンバーか?

 よろしく!俺はビアホフだ。

 欲しいものがあったら言ってくれ」


 そう言って笑顔で握手を求められて握った手は岩のように固かった。


「で、何が欲しいんだ?

 それとも全部見てくか?」

「順番に見て来るよ。

 収納籠だけくれない?」


 そう言ってビアホフさんから

 買物籠?を受け取るノエル。


「ソファこれ持って着いて来て~。

 渡してくから、次々入れてってね」

「ちょっと、ノエル!

 これに全部入れてくの?」


 渡された籠はどうやら魔道具のようで、彼女が持ってる収納袋の籠タイプらしいけど

 欲しい物を全部詰め込んで最後に支払えば自分の収納袋に移してくれる…らしい。


「待って、この収納袋だっけ?

 これも売ってるの?」


 欲しい?と聞かれたので、もちろん!と答えると、普通に売ってるみたいだから買う事にしよう。


「それにしても、この中凄い広いね」

「山一つくり抜いてあるからね。

 ドワーフは鉱山族とも言うし

 こういう所が落ち着くんじゃない?」


 そう言って移動しながらノエルは次々と籠の中に物を入れてくる。


 あ、入った物が籠の羊皮紙に記されてる



 魔道テント 大2、中2、小1

 【瞬時設営・温度調整・洗浄】


 魔道ベット 大6、中2、小1

 【温度調節・除菌消臭・洗浄】


 魔道携帯シャワー室 中2

 【瞬時設営・温水・暗幕・洗浄】


 魔道携帯トイレ 2

 【瞬時設営・暗幕・洗浄】


 調理セット 特大1

 【調理台・調理器具・食器・洗浄】


 解体セット 2

 【作業台・切れ味回復・洗浄】………



「ねぇこれ買い過ぎじゃないの?」

「なんでよ?全部必要じゃん」


「それはそうだけど、数多くない?」

「護衛だったり、場合によっては

 別々に動くこともあるでしょ。

 予備よ、予備!」


「ほとんど魔道具なんだけど…」

「だってその方が便利じゃん」

「高いんじゃ…」

「そうかな?でも十分足りるわよ」

「ならいいけど…

 全部に付いてる洗浄って?」

「洗うの面倒じゃん!

 ソファが洗ってくれるの?」

「―!全部必要だね!間違いない!」



「はい、ビアホフ。これで全部ね」

「買い込んだなぁ。全部新調か?」

「まぁね。新品のが気持ちいいじゃん」


「ありがたやありがたやっと。

 キリよく白金貨1枚でどうだ?」

「そんなとこ―「白金貨!?」」


 白金貨なんて見たことない。

 確か銅貨数枚でエール1杯

 銀貨1枚でお昼ご飯1食

 金貨1枚で豪華な宿1泊…

 白金貨は金貨100枚だったはず。


「そんな驚く?あ、ビアホフありがと。

 それでいいよ。こっち移しちゃって」


 ホントに白金貨で払ってるよ…


「ありがとな!また来いよ~」



 お店を出てもまだ信じられない。

 次は鍛冶屋さんに向かうみたいだけど、

 思い切って聞いてみよう。


「ね、手持ちってどれくらいあるの?」

「そういえば言ってなかったね

 白金貨であと10枚ちょっとかな」

「そんなにあるの?」


「こないだのワイバーンの素材だけで

 白金貨10枚分はあるからね。

 困ったらワイバーンで稼ぐの」

「あぁ、100体くらいいたもんね。

 そうすると1体金貨10枚ぐらい?」

「大体それくらいね。

 だからお金は心配しなくていいよ」


 知らなかった。

 ハンターってそんなに儲かるんだ。

 いや…ワイバーンをあんな狩り方できる人なんかそんなにいないか…


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