こどもの日短歌
茜空
ゆらゆら揺れる
鯉のぼり
今年はなぜか
ひとつ少ない
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公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。
▼小説家になろう 公式企画サイト
https://syosetu.com/event/haikutanka2023/
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近所を散歩していると、ある家の鯉のぼりが目に入った。毎年豪華な鯉のぼりを出している家のものだった。
夕焼けを泳ぐ数匹の鯉を見て、オッピンピン少年は違和感を覚えた。
「は? 去年より1匹少なくね? は?」
オッピンピン少年は近所で1番目立っているその鯉のぼりをよく覚えていた。
「は? なんで? 鯉のぼりって家族を表してるんだよな? ここ数年誰かが亡くなったなんて回覧板来てないぞ? は? は?」
どれだけ考えても、オッピンピン少年には分からなかった。
なんとなく感じた不安を胸にしまい、彼は足早におウチへ向かって歩き始めた。異常な速度で落下する太陽に負けないように、この間テレビで見た競歩を真似ながら。
☆☆☆☆☆解説☆☆☆☆☆
鯉のぼりが1つ減るというなんとなく気持ちの悪いものを目撃したことで、その家で何があったのか、なぜ減っているのか、いろんな想像をしてしまいます。
そして、それを見たのは夕暮れ時です。
夏は日が暮れる時は一瞬です。そんな時間に1人であんなものを見てしまった彼はなんだか怖くなり、早く家に帰ろうとしているわけです。