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8・晴れる退屈

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

「退屈じゃのう……」


 魔王は側女のネミラに言った。ミラは魔王の身の回りの世話のしているだが、ミノタウロスなので、とにかくゴツい。デカくて筋肉隆々である。人間からみるとアレだが、魔族には人気があって、時々言い寄られていたりする。


 もっとも魔王みたいに美と力の両方を備えた魔族などそうそういないが。

「魔王さまの稽古着を確認したら虫食ってましたので、新調することにしました。午後から採寸を」

 ネミラは言った。千年の平和の内に鍛錬することもまれになって、たまに身体を動かすときも普段着でやるので稽古着は着なくなってしまったのである。


「ん。相手ができたから良い感じの衣で鍛錬したいの」

「お相手はあの騎士さまで?」

「そうじゃ。半年以内に荷物まとめてこっちへ来ることになっておる」

――ワクワクするわ

 魔王はそう、内心付け加えた。


「私は勇者さまのお姿は存じ上げませんが、そんなに似ておられますか?」

「妾が最初見たとき、見間違えたくらいじゃ。生きておったのかと」

「勇者さまの再来ですね。父より勇者さまの力は聞き及んでおります」

「なに、あの騎士は見た目が同じだけで、力はまだまだじゃ。妾が鍛えてやろう」


――できれば、子も欲しい

 ふと、魔王はそう思って頬を赤く染めた。勇者の時は子ができなかったのだ。今度こそはと思った。


 その姿をみて、ネミラは察したのか、

「あらあら、魔王さま。応援しますよ」

 と、朗らかに言った。魔王はまるで恋する乙女の初々しさで頷いた。


「さて、午後の執務を始めるか。ああ、稽古着の採寸があるんだったな。準備ができたら呼ぶが良い」


 ネミラが引き下がり魔王が執務室に入ると、宰相テルゴウスが書類に目を通しながら会釈した。

 内容の吟味はテルゴウスがし、魔王はただ承認のサインをするだけになっている。


 今日もいつもと同じルーチンワーク。魔王は退屈していたが、近々魔界にくる騎士のことや、東大陸との戦争が始まるかもしれないというので、期待に満ちあふれていたのだった。


 退屈が千年ぶりに破られようとしていた。

今、32章書いてますが裏テーマが「文明の衝突」です。そして、魔王ミカの出自書いていたらSFになってきました。乞うご期待。

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