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6・会談その二

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

退屈していた魔王はちょっと嬉しそうに四天王に向かってまずどうするか訊いた。


「先制攻撃すべきであるのだ」四天王ガメールが躊躇いも無く言った。

「相手の戦力を見極めてからでいいのでは?」横に控えていた宰相テルゴウスがたしなめる。まあ、宰相であるだけあって慎重だ。


「妾もテルゴウスに賛成じゃ。千年前の大戦で、脊髄反射の戦は悪手と思い知ったわ」

 魔王は遠い目をして言った。勇んで勇者に向かっていった魔物はことごとく戦意喪失し、すいすいと魔王城まで入り込まれ負けてしまったのだ。


 四天王スオラが一呼吸置いて発言した。

「情報が、欲しい。大使、スパイは放ってないか? もし良かったら、イメージ球と転送門をお貸ししたほうが、良いかと」


「それはなんですかな?」大使は聞いた。

「イメージ球とは、球体の、映像記録装置。転送門は、テレポート装置」

「そんなものがあるのですか。恐ろしいですなぁ」大使は戦争で使われたときのことを考えて青くなった。


「まあ、数はそんなにないし、設置条件が必要なのでどこにでもおけるわけではないがな」

 魔王は説明した。


「スパイは放っております。東大陸出身の者を帰国させ探っております」大使は慌てて付け足した。

「その者は信用できるのか?」

「正直微妙だとは思ってますが、家族を押さえておりますので」


 大使はそう言った。魔族はそんなことしないので、魔王はちょっと驚く。そういえば、勇者が国に帰って行った理由も「疑われる」とかだったなと思い返す。人族は人質をとるのが常習なんだろうか?


「証言より、実際に見た方が信用できる」テルゴウスは呟いた。

「よし、イメージ球はスパイに渡せ。転送門は国境に設置してもらえば良い」

 魔王は決断した。大使に訊ねる。


「東大陸の侵攻はいつぐらいになるか分かっておるか?」

「1年」大使は苦しそうに言った。「我が国だけでは耐えられないでしょう」

「うむ、我らの協力が必要じゃな」


「ご協力感謝します」

 会談は終わった。魔王はあることを思い付いたが大使には何も言わなかった。


「そうじゃ、あの騎士、気に入った、妾にくれ」

「え? 家族がおりますのですぐにはどうかと」

「一度、帰国してから来て貰えればよい。本人には了解をもらっておる」

「さようで。では問題ないかと」


――勇者の末裔が簡単に譲り渡されるとはのう。

 扱いの軽さに魔王は不憫に思ったが、手元に来ること自体はちょっと嬉しかった。

実は今回の時点で30章まで書いているので当分は続きます。

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