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47・婚約腕輪

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 魔界の宰相テルゴウスは魔王ミカ様と騎士ラウルに壁が無くなっていくのをみて、微笑ましく思った。側女のネミラも「ラウル様は好ましきお方」と言っていたし、勇者ラウルスの再来かもしれない。

 執務室にて、魔王様に尋ねてみた。


「魔王様、ラウル殿はどうですかな?」

「どうですかとは? 太刀筋はかなり良くなったぞ。勇者の剣を教えているところじゃ」

「いや、そうじゃなくて勇者のように良い方ですか?」


 途端に魔王ミカは真っ赤になった。


「悪いわけ無かろう。妾が見込んだ男ぞ」

「それなら、悪い虫が付かないうちに婚約を」

「ちょっと早くないか。三国会談がまとまってからではどうか」


 否定しないところをみると、乗り気らしい。テルゴウスは微笑んだ。そして、真面目な顔に切り替えると、

「何を言われます。既成事実を作って先手を打っておかないと、前の勇者様のように捕虜にとられるかもしれませんよ」と諭した。


「うむ、それは困る。おそらくラウルは今、王国一の剣士になっておるだろう。誰かに取られるかもしれぬ」

 魔王ミカは憂い顔で答えた。


「これは私の情報源からなのですが、王女がラウルに恋慕しているという噂が流れております」

「何!」

「王女と婚姻を結んで王国の王となる可能性もあるということです」

「そ、それは困る……」


「前の勇者への想いを断ち切って、ラウル殿に妻としてほしいと言うのです」

「前の勇者は忘れるわけにはいかぬ……」

「過去は過去として置いておきなさい。今は今のことをするべきです。そうすれば未来への道が現れるでしょう」

「むう」


「ラウル殿のことが好きなんでしょう? 勇者の面影を追うのでは無く、ありのままの今のラウル殿を大事にしなさい」

「確かに」

「さあ、ここに婚約腕輪を準備しておきました。これをもってプロポーズしてくるのです、今から」

「今から? 心の準備というものが……」


「プロポーズは勢いでするものです。今の上位者は魔王様ですよ。ラウル様が思慕していても自分から言える立場ではありません」

「そうじゃな……」


 そして、宰相テルゴウスに説得された魔王ミカは腕輪を持ってラウルの部屋に向かったのであった。

全ての著作権は私、葉沢敬一にあり、勝手な書籍化、マンガ化、ドラマ化、映画化などは禁止します。

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