24・東の大陸
さて、東の大陸の話である。この国では魔術は発達しなかったが科学技術が発展していた。車、船、飛行機、武器が機械化されて、いつの間にやら東の大陸は一つの国に統一されていた。
この文明レベルを維持するには資源が要る。そして、国の指導者たちは資源が限りがあることに早々に気づいた。さらなる発展を目指すには、貴金属だけでは足りない。
そうなると、手つかずのとなりの大陸が魅力的に見えてきたのである。
王国、魔界どれもフロンティアに見える。欲に駆られた経済界から侵攻すべしとの圧力が日々高まってきた。旧来の国々に文明をもたらしてやるのだ。
しかし、それが上から目線の侵略であって、千年来平和に暮らしている王国と魔界に混乱と破壊をもたらす物という意識は全く無かったのである。
東の大陸の国からすれば王国など赤子の手を捻るような軍事力に見えた。王国・魔界連合軍を甘く見ていたのだ。
まずは、沿海地を侵略し、植民地とする。名目上は交易のための租界地というもので。 そこに港湾と工場を建て、軍艦と車が入れるようにした。飛行場を整備し、偵察機を発着させた。
少しずつ侵略は始まっていく。
租界地は領主と交渉して得た。地方の貧乏領主にちょっと金を積めば向こうから頭を下げて使ってくれと土地を差しだしてきた。
租界地の総督は母国に準備ができたことを告げる。
王国は銃という物を知らない。火縄銃だが、十分勝てると踏んだ。
そして、東の大陸の国は、大量の兵と武器を送り込み、戦争の火蓋は切られた。
魔王ミカのもとに大使が送られてきた半年後の話である。




