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21・偽勇者フェリス

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 乱世には勇者が必ず出てくるという。


 この時代にも、「自称」勇者が名乗りを上げた。名はフェリス。整った顔は男性か女性かどちらか見る者を戸惑わせる。闘技会で優勝し、中性的な声で

「我こそは王国を救う勇者なり!」

 と、宣言した。見た目麗しい者が勇者の名乗りを上げたとして国中で話題になり、好感を一気に上げた。


 そして、

「私は前の勇者の係累の者である」と。

 ラウルの家族は否定したが、フェリスは隠し子の家系であると嘯いた。


 そして、勇者の持つ伝説の魔剣を王に要求した。我こそが魔剣の正統な伝承者であるとして。

 王は調べたところフェリスは嘘をついていて実は貧しい農民出身だということを知り、拒否しようと思ったが、大公が「闘技会で優勝する実力があるのだから、信じたフリをして利用してはどうか?」と囁き、沈思した結果、国宝になっていた魔剣を与えることにした。


 ただし、その魔剣は魔王が入れ替えた二流品で、魔剣ガウスとは比較にもならないことは誰も知らなかった。

 国は魔剣を与えられたと聞いて大いに湧いた。東の大陸からの脅威が国中に不安を呼び寄せていたのだ。


 勇者誕生の話は、遅れて魔界と東の大陸に伝わった。

 魔王ミカは同盟国である王国に勇者が名乗りを上げたときいて、最初は興味を持ったが調べた結果、前の勇者からするとかなり見劣りする者と判断した。今のラウルの方が強いだろうと思った。魔剣も勇者にアリバイとして渡したポンコツ魔剣だ。勇者の持っていた魔剣ガウスはこちらにある。


 東の大陸では、ちょっと興味が湧いた風だったが、別に魔法が使えるとかいう噂もないし、飛行機を落としたり、機械化部隊に対抗できるほどでもないと判断した。ただ、人民に間で噂話程度にしかなってない。


 東の大陸が危惧していた戦力は魔界の住人達であり、いかに同盟を破棄させるか検討に入ったところである。


 つまり、フェリスという自称・勇者はピエロ同然との認識であった。

 彼/彼女にあるのは人気だけである。剣術は時代遅れになりつつあった。

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