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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
【番外編】東・異国冒険譚
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後編

【コード:395 承認完了 塔の守り神を起動します】


「ほら、東。お前もやってみろ」


「君もなかなか肝が据わってるね。この僕を雪山に連れてくるなんて」


翌日、ティムに連れられ圭太が赴いたのは海を跨いだ隣国メトロポリテーヌだった。

その美しい白い山、魔の山を2人は見上げていた。


「雪山を舐めてかかると下手したら死ぬからな。いや、油断しなくても死ぬのが雪山だ。此処で3日間、サバイバル生活をしてもらう。事前にテントや無線機は勿論、最低限の食料は装備として整えてある。勿論、本命の運び屋としての仕事道具もな。赤と白の登山ウェアも良く似合ってるぞ」


「どうも。と言うか君がいるとはいえ、本当にこの山を登るの?無謀過ぎない?」


その言葉に彼は自身の人差し指を左右に振った。


「東、それを考えた上でのサバイバル生活だ。俺達の目的はこの山で3日間生き残る事。それを踏まえたら、この山に一歩入った時点で目的は達成される。緩やかなピクニックをするか、ハードな登山をするかはお前次第だ。俺はそれに従う」


「成る程ね。君は僕を教えつつ、力量を見たい訳だ。どれだけ出来るのかをね。君も良い趣味してるね。じゃあ、やってみよう」


そのあと、三日間のサバイバル生活を行った訳だが自分達のギルトに戻った時は両者ともクタクタで圭太に至っては倒れ伏していた。


「本当に君って飛んだ畜生だね。僕、明日の朝から舞台のリハーサルがあるんだけど。こんな状態で重い鬘と着物着ろっていうの?彼岸が見えそうなんだけど」


「何度でも言え、まさか3000mまで行くとは思わなかったんだよ。飛んだ根性有りだな」


そんな時だった、自分達の目の前に美女が現れる。


「ちょっと、この私に迂回しろっていうの。なにこのバカコンビ。って、ティムじゃない!?ちょっと、貴方何やってるのよ!」


「やぁ、ステラ。ちょっと山登りしてきたんだ。新入りの東と一緒にな」


「うわっ、可哀想。でも、貴方について行けるって事は相当丈夫な体してるわね。中々居ないわよ、貴方優秀な逸材ね。まぁ、私に適う存在なんていないでしょうけど」


その言葉に圭太は対抗心を燃やした。

ムクリと起き上がり、ステラと口論になる。


「いや、いるね。君より素敵な女性が」


「おい、やめろ東。済まなかったステラ、すぐ退けるから」


「別に良いわ、私は寛大だもの。それで?この地域の象徴であるこの私より優れた女性って誰?」


「僕の姉だよ。望海って言うんだ、僕にとっての理想の女性。君と同じ運び屋だよ。普段、優等生で優しいけど僕以上に容赦ないよ。腹黒いって言ったら良いのかな?そう言う所も好きなんだけどね」


その言葉にステラは静かに笑い出した。


「東洋には面白い運び屋がいるのね。ティム、良かったじゃない。同じ仲間が増えて。私、凄く勿体無いなって思ってたのよ。この前、私の事を助けてくれたでしょう?もっと周りから評価されても良いのになって思ってた。貴方って全然自分でアピールしないし、謙虚でしょ?何で言いふらさないのよ」


「昔、ばあちゃんから言われたんだよ。謙虚なのは美しい事だって。最初は変だなと思ったけど、今になってしてみればそれが正解だったんだろうな。こうして東に出会えた訳だし」


「僕、君がそんなナルシストみたいに言いふらしてたら絶対寄り付かなかったと思う。舌打ちして、性格悪いなって言ってたと思うよ」


「そうだろ?だから、これで良かったんだよ」


そのあと、後日圭太は依頼を受ける事になった。


「初めての依頼で雨とか最悪なんだけど」


いつも霧雨が降るのは承知の上だが、初依頼という事もあり依頼人を待つため。ギルドで待機していた。

しかし、どうしたものか?いつも以上にギルド内が騒がしい。


「ご機嫌よう、女主人(マジェスティー)


「ご機嫌よう、今日も頑張ってくださいね。貴方達は私の誇りです」


「きゃあ!あの方に話しかけちゃった!しかも、お褒めの言葉を頂けるなんて!」


「マジェスティー、彼方にチョコレートをご用意してますが如何ですか?」


「ありがとう。でも、今日は依頼をしに来たの。公務で移動が必要になったから。ほら、彼方にいらっしゃるでしょう?」


その視線の先にいるのは勿論圭太だった。


「誰?あのおばあちゃん」


何処から聞きつけたのか、ティムが彼女のお辞儀をした後、圭太をど突く。


「馬鹿野郎!!この王国でおばあちゃんなんて言うやつはお前しかいないんだよ!マジェスティーは色んな所に訪問されてて、比良坂町の事も知ってるんだ。町長とも競馬の話で盛り上がって、運び屋も利用した事があるんだよ。お前のせいで、印象が悪くなったらどうするつもりだ!」


「あらあら、お2人は仲良しなのね。ご機嫌、貴方が新入りさん?私を目的地まで連れて行って頂けるかしら?」


「はい、喜んで」


圭太は彼女の手を取り、エスコートをする。

その様子を見て、ティムは大丈夫そうだなと安心した。


「足元、雨で濡れてますので気をつけてください」


そのあと、彼女がビニール傘を差すのを見て圭太は首を傾げた。


「あの、どうしてビニール傘を?頑丈で貴女にお似合いの華やかな傘は幾らでもあると思うのですが」


「この傘だと、貴方のお顔が良く見えるでしょう?」


その言葉に圭太は彼女には敵わないなと感じとった。

数ヶ月後、彼は比良坂町へ戻る事になる。


「東、本当に帰るのかよ。良いんだぞ、ずっとこっちにいても」


「元々、舞台で来てるからね。次、訪問する時はもっと日程を取れるようにしておくよ。その前に、彼に一報を入れないと」


舞台は海の向こうの比良坂町へと移る。


「Dr.黄泉。少し、お時間宜しいかしら?貴方宛の電報が届いたの。アングル王国からなのだけど、ご存知かしら?」


協会で節子から電報の内容の書いた紙を渡された彼は首を傾げていた。


「いや、運び屋の本場というぐらいしか分からないな。ふうん、これは中々面白い事になりそうだね」




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