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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
最終章
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最終話 日の出ずる処

「ほら、行くぞ」


富士沢に連れられ、捕獲された全斎は軍車へと入れられた。

壱区の関所まで赴き望海達もその結末を見届ける。

鶴崎は望海や黄泉に対して深々と頭を下げた。


「後日、研究所へ足を運ばせてもらう。約束通り、薬が出来たら知らせてくれ。音無と百地の事もよろしく頼む」


2人は現在意識がなく、基地へ連れて帰るという事も不可能な為、意識が戻るまで風間家と七星家が受け入れてくれる事となった。


「僕を誰だと思っているんだい?Dr.黄泉だよ。直ぐに完成させてみせるさ」


鶴崎は静かに笑った後、安心したように一言呟いた。


「私も変わらねばならないな。まだ、姉の所には行けそうにない。組織のあり方を一から考え直さなければ」


そのあと、望海は彼に対して一つの名刺を渡す。

それは日向葵のものだった。


「以前、協会でお話を伺った時。葵さんが貴方のお姉さんの子孫であると教えて頂きました。もしかしたら、お話を聞けるかもしれません」


「...そうか。では、私はこれで」


側にいた光莉と児玉は鶴崎の乗った軍車が見えなくなるとホッと胸を撫でおろした。


「これで良かったのかな?いや、良い方向進んだだけ儲け物だよね」


「課題は山積みだろうが、あれだけ俺達を苦しめたんだ。これからは心強いパートナーとして接してくれるさ」


その翌日早朝、黄泉の召集の元。壱区から肆区の運び屋達が協会の屋上庭園へと集められた。

そこには何故か無線機を持った圭太もおり、黄泉と連絡を取り合っているようだ。


「圭太、これから何をするつもりなんですか?」


「帰国した後、研究所に行った時。僕が言った事覚えてる?」


「えっと...この町を平穏な状態にする事でしたっけ?凄く、曖昧な表現をしていましたよね?」


「そうかな?平穏にしないと見れない景色があるって言えば良かったのかもね。...姉貴にこの景色を見せる事が僕の目的だったんだよ。Dr.黄泉、零央。皆んな、集まってるよ!始めて!」


そのあとの事だった、目の前に立ち塞がる壱区と肆区を跨ぐ壁が外側へとゆっくり倒れ込む。

その光景に圭太や事情を知る愛や初嶺意外の全員が一箇所に集まり、パニックを起こす程仰天するが、その美しい水平線と朝日をみた途端に目を奪われ、数分動けずにいた。


「ねぇ、瑞穂。彼処って琉球じゃない?」


燕の指差す先には鏡が映し出した物と同じ島々があった。


「本当ね。まだまだ、私達の知らない場所があるんだわ」


「旭、良かったな。ずっと、この景色が見たいって言ってたもんな。俺も嬉しいよ。皆んな揃ってこの景色を見れたんだ。これ以上に幸せな事はない」


旭を中心に3人で肩を寄せ合い、揃ってその目には涙を浮かべていた。

そのあと、光莉が何度も手を叩きながら其方へ気を逸らすように仕向ける。


「はい、感傷に浸るのはもう終わり!運び屋の朝は早いんだから。昨日、皆んな動けなくて大量に仕事が溜まってるでしょ?旭も青葉も手伝ってよね。人手が足りないんだから」


「やべっ、俺も朝の仕事があるんだった。おい、隼。行くぞ!」


「颯先輩、その前に体温測ってもらわないと。倒れられても困りますよ」


慌ただしいがいつもの日常へと戻っていく姿に望海は、安心感を抱いていた。その時、幼い頃の思い出を思い出す。

自分の名前の由来。その意味を。


「お父さんは知ってたんだ。比良坂町が海に囲まれていた事を」


「そうだよ。父さんは東屋っていう伝統ある家に生まれたからね。勿論、僕らもだけど。昔の比良坂町の事に詳しかった。「君が大きくなった時に、海を見る事が出来る程平和な町になっていたらどれだけ幸せか。海を望むから、望海だよ。その時には私はもういないかもしれないけど」って父さんは言ってた」


「本当に良く覚えていますね。流石、歌舞伎俳優。...今日、お母さんの見舞いに行こうかな。もう、会わないって勝手に決めてたけど。会いたくなっちゃった」


その又、数ヶ月。圭太はもう一度以前舞台を行ったアングル王国へと行く事になった。その出発当時、喫茶店へと訪れ別れの挨拶をする。


「けいた、グスッ。ほんとうにいっちゃうの?」


「ほら、零央。笑顔でお見送りしようって言っただろう?済まないな、零央は圭太に良く懐いてたから遊び相手が居なくなって悲しいんだろう」


「ごめんね、零央。今度はもう少し、滞在が長くなりそうなんだ。いつ帰って来られるか分からない。僕の代わりに姉貴の力になってあげて」


「うん!れお、やくそくはぜったいまもるから」


「体調には気をつけてね。連絡ならいつでもして良いから、私も手紙出すよ。ちゃんと返事書いてよね。望海は見送りするんだっけ?」


「はい、実は姫乃さんも異国への留学が決まって葵さんと一緒にお見送りを。圭太とは違う国へ向かわれるそうですね。たしか、ホーネットでしたっけ?色々なルーツを持つ方が集まる国とお聞きしています。50の小国が集まっているとか」


そのあと、以前弐区の関所だった所に一台の車が止まっており側には姫乃と葵がいた。


「お2人とも、此方ですよ!」


「遅い。そんなんで運び屋なんて出来るのかしら?音無さんも待ってるわよ」


運転席をチラリとみると、姫乃の言う通り音無の姿があった。


「荷物は後ろに入れてください。どうせ、自分で勝手にやっちゃうでしょ?俺はここで待ってますから」


全員で車に乗り込んだ後、望海は口を開いた。


「あの、あれから体調の方は如何ですか?」


「あの薬、とんでもないですね。効果的面でしたよ。黄泉先生でしたっけ?世紀の天才ですよ、あの人は。うちにも同じ存在が居てくれたらありがたいんですが、しばらくは其方にご厄介になりそうですね」


「良いんじゃない、それで?お互い支え合う事が本来の目的なんだからさ。僕達も琉球もそうだし、海外に行く時は音無さん達に力を貸してもらってるし。凄く好評なんだっけ?色んな所に行けるって」


「比良坂町でも門を持たれてますよね。弐区と肆区、あと琉球もですよね?これは良いライバルになりそうです。湊に行けば、門も選び放題とか」


あれから鶴崎は勿論秋津基地関係者は軍を抜け。

新たな組織を作り上げた。

門の技術を民間人に利用してもらおうと、運び屋達の助言も得ながら基地を改造し、外へと繋がる「湊」を作り上げたのだ。


施設へ赴くと無数の鳥居がある事が分かる。

それぞれ行き先が分かれており、門を管理する担当者も異なるようだ。


「圭太、彼方の皆さんにも宜しくとお伝えください。貴方は私達の誇りです。その誇りに恥じぬ活躍を期待してます」


「僕は比良坂町で生まれた事を誇りに思うよ。姉貴と、沢山の仲間に出会えた事とても楽しかったし、嬉しかった。ティムにも土産話として持っていくよ。もう、時間だ。行かなくちゃ。ありがとう、この思い出は絶対に忘れない」


圭太との別れの後、姫乃とも最後の挨拶をした。


「望海さん貴女に助けてもらった後、施設でね私の事を慕ってくれる女の子に出会ったのよ。きっと、姉の生まれ変わりだわ。私はそう信じてる。...しんみりした話をしてしまったわね。以前から私の事を気にかけてくれた方がいるの。今回の留学もその方が支援していただいて、葵さんにも身元を調べていただいたけど安心して良いわ。あの男の二の舞にはしたくないもの」


「姫乃さんならきっと、優秀な成績を残せるでしょうね。人魚のルーツもホーネットだったら受け止めてもらえると考えられたんでしょう?」


「そうよ。留学先は自由に決めて良いと話を頂いていたし、正直アングル王国も視野に入れてたけど挑戦してみたかったの。実力社会と聞いているし、厳しいとは思うけど自分がどこまで出来るのか試してみたい。将来的には支援して頂いた方の会社に勤務するという約束でいるから、貴女達とは道を違える事になるかもしれないけど。もし帰ってきたら歓迎してよね」


「勿論です。ではお互い良い旅を」


「えぇ、望海も素敵な旅をね」



「鉄壁の運び屋」終

一言:これにて本編は終了となります。

最後まで読んで頂いた読者の皆様、本当にありがとうございました。


これからについてですが、9/27〜10/5まで毎日番外編の方を投稿させて頂きます。

注意点としてキャラクター紹介や解説編については量が多く、未完成な物もありますですので制作終了次第、投稿となりますのでご了承下さい。


特に鉄道関係は人数が多く、「登場人物紹介①」だけで約3万字となっております。クソ長いので覚悟しておいてください。

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