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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第1章 麗しの魔物
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第陸話 灯台下暮らし

「それで、当てはあるのか?Dr.黄泉の居所に」


「...児玉さん、どうしましょう。私、後先考えずに依頼を受けてしまいました」


「完璧主義の望海にしては珍しいよね。別に時間制限がある訳でもないし、ゆっくり探せばいいんじゃない?他の運び屋に聞いてみるっていう手もあるし」


いつもの喫茶店のカウンターに馴染みのないトランクが置いてある。

あれからというものどれだけ考えてもDr.黄泉の手がかりなど望海にあるはずもなく途方に暮れていた。


しかし、立ち止まっている訳にもいかない。

人が行き交う協会であれば何か手がかりが掴めるかもしれないとトランクを持ち、其方へと向かってみる事にした。


「あれ、望海じゃん!?何してるのそんな大きい荷物持って、旅行にでも行くつもり?」


協会の入り口でフラフラしていると希輝が声をかけてきた。


「希輝さん、実は人探しをしていまして。Dr.黄泉をご存知ありませんか?依頼を受けまして彼に荷物を届けたいんです」


そう言いながら望海は持っていたトランクを彼女に見せた。

それに反して希輝は驚いた顔をする。


「え!?Dr.黄泉って第弐区に研究所を構えてるって噂で聞いた事あるけど。そっちにいるんじゃないの?」


「えっ、そうなんですか?そんな話、児玉さんからも聞いた事ないんですが...」


どうやら話が交錯しているようだ。

希輝から詳しい話を聞くとどうやら浅間が協会で敷島会長と黄泉が会話をしているのを聞いていたらしい。

彼が名刺を渡しながら「困った事があればこちらにお願いします」と住所を読み上げていたという、その場所が第弐区だったそうだ。


「Dr.黄泉の存在って都市伝説か何かだと思っていました。普通に人の前に出てお仕事されているんですね。じゃあ、第弐区に出戻った方がいいのかも」


「923」


(しゅん)待つの!小町を置いていかないで欲しいの!」


望海が去ろうとした時、それを引き止めるように青年が一言つぶやいた。彼は確か、壱区の北部を担当する松浪(まつなみ)(しゅん)だ。

そのあと、息を荒げながら小町が彼の腕を掴む。


無造作な黒髪に、緑の上着に白いシャツ。

良く目立つのは比良坂町では見慣れないピンクと紫のヘッドホンだろうか?


望海にとって彼は宿敵とまでは行かないが、良い商売相手でもある。

仕事の速さでいけば、他メンバーより頭一つ抜けており壱区のエースとして存在している。

ただ、彼のプライベートは謎に包まれている事も多く。

クールなのか?秘密主義なのか?基本的に無口の無表情である。

ただ、気分次第でピアノの演奏をしてくれる事もあるので悪い人でない事は望海にも分かっている。


「Dr.黄泉と会いたいんでしょう?彼を呼び出す番号がそれ」


「番号?」


「望海も彼の作った道具を使用する時、コードを入力するよね?「コード:700」って。Dr.黄泉は道具が故障したのかを確認する為に自分用のコードを持っているのと同時に呼び出しにも応じてくれるんだ。知らない?」


「...いいえ、ご存知ありませんでした」


どう考えを巡らせても望海にはそんな情報を持っていなかった。

しかし、希輝もそれは同じだったらしい。


「そんな話、アタシも聞いた事ないけど誰から聞いた?」


隼に近づく希輝の間を遮るように小町が前に出た。

小柄ながらも、隼を守ろうとしているように見える。


「貴女が知らないなんて可笑しいの!Dr.黄泉には東出(ひがしで)(あい)っていう弟子がいて、壱区は彼女が運び屋の治療や支給品の修理を担当しているの。愛のコードは「926」疑うなら試してみれば?」


望海はDr.黄泉を呼び出す為、腰にある拳銃を取り出し「923」と入力してみる。

運び屋の支給品は武器類は全て悪用や暴発を防ぐために、専用コードいわゆる暗証番号入力が義務づけられている。


「コード:923 承認 Dr.黄泉を呼び出します」


「えっ、すご!やばい!やばい!サイン色紙用意しないと!」


興奮する希輝とは反対に望海は意外と冷静だったが内緒ではドキドキしていた。

幸運を呼ぶという彼はどんな人物なのか?

好奇心冷めやらぬ状況だった。


次の瞬間、自分達の目の前に白衣を着た男性が現れた。

その下には青いシャツと黄色のカーディガンを羽織っている。

丸眼鏡にボサボサの髪、正に研究員だと分かる容姿だ。


「何だい?僕に何か用かな?今、コード増設のアップデートをしている所なんだ。用がないなら帰らせてもらうよ」


「Dr.黄泉!お会い出来て光栄です。サインください!」


「サイン?いいだろう。僕と出会えた事は何よりの幸運だからね」


さっきまで不機嫌だったのに嬉しそうにサインに応じている。

思ったよりDr.黄泉は目立ちたがりなのかもしれない。


「あ、あの!Dr.黄泉、はじめまして!実は依頼人である七星亘様から貴方にお渡ししたい物があるそうで、代理に私がお呼び出ししました」


この機を逃さず、望海はトランクを彼に渡した。


「中の物を鑑定して欲しいと伝言を預かっています。検査結果が出次第、私に書類を届けて欲しいと。調査結果を第肆区の依頼人まで私がお運び致します」


「成る程、肆区からの依頼か。彼処は僕の管轄外でね。中心街まではいけるがそれ以降は行動不可能だ、武器を送ろうにも電波が悪い影響で呼び出しに応じる事が出来ないし管理不足で事故があっては本末転倒だ。医療器具と携帯食料ぐらいしか支給出来ない。彼らは自衛の為に武器を持っていなかったかい?」


確かに咲羅は腰に刀を刺していた。

第肆区はサポートを受ける事が不可能な為にあの様な武闘派な人物が生まれるのかもしれない。


無事に依頼品を受け取ってもらえ、安堵していた望海だったが隼がDr.黄泉に質問を投げかけた。


「Dr.黄泉。先程言っていたコード増設というのはどう言う事?新しい運び屋が増えるの?」


「先日、電報があってね。新規というより移植と言った方がいいかもしれない。コード:800の使用許可が欲しいと知らせが来たんだ。僕としては別に運び屋が増えるのは構わないし、使用者もいないからすぐさま了承の返事を返したよ。まぁ、でも一つ疑問点があってね」


「疑問点ですか?」


「その電報先が異国の地、つまり海外から届いたって事さ。しかも、元祖運び屋の国からだ。可笑しいとは思わないかい?異邦人がわざわざ比良坂町で運び屋をしたいと言い出すんだ。これほど面白い事はないさ」


その言葉に望海はある人物の顔が直ぐに思い浮かんだ。


「その方は本当に異邦人なのですか?異国の地に赴いただけの比良坂町の人間では?」


「鋭いね。君は。どうしてそんな事が分かるんだい?」


「簡単な話です。私の双子の弟だから」





一言:個人的に新幹線同士の連結はもの珍しいのではやぶさとこまちが連結してるのを見るとジッと見てしまうんですよね。

緑と赤の反対色というのも映えるんですよね。

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