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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第7章 合流
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第伍拾陸話 対面 ○

瑞穂と亘は合流の後、屋敷へと戻る事にした。

彼が捕えられた地下倉庫では啜り泣く声が聞こえる。

その声の主を亘は良く知っている、しかし祖父が泣いている所をみるのは新鮮で自分がどれだけ愛されているのか再確認する事が出来た。


「じっちゃん、心配かけてごめん。僕も大丈夫だし、花紋鏡も無事だ。それより、敷島家の令嬢と風間家の当主とも会ったんだ。3人で力を合わせて脱出出来たんだ。やはり、三種の神器の力は凄いな」


「鏡など、気にせんでよか。それより、亘が無事ならそれでよかたい。息子と嫁さんの忘形見をこんな所で失う訳にはいかん。しかし、亘。皆と一緒に行くんじゃろ?もっと危険な所へ」


「勿論、戦いはまだ終わってない。七星家は肆区と共にある。まずは皆んなと合流しなければ」


「坊ちゃん!!」 「亘君!!」 「七星様!!」


咲羅、燕、海鴎とも合流し3人とも亘の姿を見て安堵していた。

亘も彼らに怪我がない事を確認し、今後の行動について指揮をとる。


「皆、音無伍長を見かけなかったか?今、肆区に派遣されている軍人達は彼の指揮下の可能性が高い。彼は元肆区出身だ。そう入った因縁もあって僕の誘拐にも関わったのだろう。彼を捕える事が出来れば軍の動きも止められるかもしれない」


しかし、その言葉に対して海鴎は首を横に振った。


「私達も同じ事を考えたのです。お屋敷に駆けつけた後、お祖父様の目撃証言を元に捜査を開始したのですが私の行動範囲は勿論、咲羅さん達の範囲でも見つける事が出来ませんでした」


「すまねぇ、坊ちゃん。俺達が不慣れなばかりに」


「いいや、この状況で皆良くやってる。4人が見つけられなかったとなると、その範囲で見逃しているか。それともその目を掻い潜って違う場所にいるかのどちらかだ」


「でも、燕達。亘君が戻ってくる間に結構探したよ?さっきまでずっと。そうなるともう、肆区の西側にはいないんじゃないかな?」


「亘君なら、肆区の全範囲移動出来るし。花紋鏡で音無の居場所がわかるんじゃないかしら」


「そうだな、東側を調べてみよう」


鏡が写し出したのは、今の比良坂町ではあり得ない光景だった。

音無が海の向こうを見つめ、その先には島々が見える。


「亘君、これどうなってるの?音無って人、町から出ちゃったの!?燕、こんな景色見た事ないよ?」


「いいや、場所的には日向(ひゅうが)の方向だ。この比良坂は壱区と肆区が地理的に隣接している。参区ともとなると、方向は限られる。

おそらく、関所の付近だ。花紋鏡は真実を映し出す。壁の向こう側もそれは同じ事。皆、僕に捕まって。急ぐぞ」


「久堂、此方音無。応答せよ!くそっ、何で通じないんだ」


「ごめんなさいね、肆区は電波が届かないのよ。軍人さんでもそれは同じ事、残念だったわね。やっと会えたわね、音無伍長」


瑞穂は構える準備をし、咲羅も他3人を後ろに下がらせ抜刀する。

完全に臨戦体制のようだ。


「別に俺は構わないよ。基地の中でも身辺警護をさせてもらっている身としては武術の心得はあるつもりだ」


音無もまた無線機をしまった後、構えの姿勢を取る。

その瑞穂以上に無駄のない洗礼された動きに、5人は眉唾を飲んだ。


「3人とも逃げて!!」


瑞穂の警告を無視して、燕は音無に向け発砲する。

彼女は小柄な体躯に似合わない二丁拳銃を取り出し、音無の動きのタイミングを出来るだけずらそうとするが、もう既に瑞穂へと足は伸びていた。


「刀を恐れねぇなんて、随分と余裕あるな。軍人さんよ」


咲羅が音無の死界に入り込み、瑞穂との距離を遠ざけようと下から切り掛かる。

しかし、それも音無は織り込み済みだったようでニヤリと笑みを浮かべていた。


「俺は死にやしないから大丈夫だ。4人でも5人でも好きなだけかかってこれば良い」


切り上げた先にいた咲羅の手腕を捻り、刀を落とさせる。

このままでは不味いと思った海鴎は懐から十字架、釘、ハンマーを出し、十字架が交差する中央部分に素早く打ちつける。


「がっ!?」


「早く彼を捕えて下さい!私の念力が保つ前に!」


海鴎は藁人形を十字架に見立て、念力を込めた釘を対象箇所に打ち込む事により相手の動きを封じる能力を保つ。

この場合、喉、呼吸を止められ音無は両手を首へと持っていき抵抗する。


その隙を逃さず、亘も手を貸し4人がかりで拘束。

屋敷の地下倉庫へと連れていった。


「音無伍長、済まないが事が終わるまでここで拘束させてもらう。貴方がここまで恐ろしい存在だとは思わなかった。5人がかりでやっととは恐れいった」


両手、両足を壁に設置された枷に嵌める。

音無は5人を睨んでいるが、仕方がない事だと皆受け止めていた。


「順番に見張りを立てましょう。私が最初にするわ。それにあまり屋敷から出ない方が良さそうね。また同じ事があったら、対応出来る気がしないもの」


「申し訳ありません。私も念力切れで立ちくらみが、少し休息を下さい」


皆、これまでの軍人達への対応により疲労困憊しているようだった。

それに亘も疲れていないといえば嘘になる。

4人は瑞穂に見張りを任せ、屋敷のリビングで休息を取る事にした。



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