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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第6章 陰謀
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第伍拾壱話 祈り ★

「方向は此方でいいのかい?」


節子達3人は鶴崎に会う為、門を探していた。

そんな時だった何処かから銃声が聞こえる。

しかも連続してだ、誰かが必要以上に狙われているのが分かる。


「この音、何処からかしら?亘さん、鏡で調べて頂ける?」


亘は直ぐ、調べたが異常な光景に目を疑った。

空中に自分より幼い少年が浮いており、凄まじい速さで攻撃を回避している。

しかし、次第に弾丸との距離を詰められる。

その先の光景を連想した亘は青ざめながら2人を誘導した。


「こっちだ!早く!」


「うぅ...パパ、ママ」


目的地の水行川へ向かった零央だったが、敵兵に見つかり攻撃を受けていた。今にも泣きそうになりながら、懸命に逃げ回っていた。


「子供だからと手加減するな!初嶺を倒した運び屋だ!黄泉幸慈と東出愛と同じく最重要ターゲットだ!逃すな!」


その光景を目撃した3人は今自分達の戦っている相手がどう言う存在なのか?

その攻撃に対し、懸命に対応している零央がどれだけ凄いのか思い知らされる事になった。


「節子嬢、剣で届かないか!?このままだとあの少年は撃ち落とされるぞ!」


「分かってるわ!でも、あの高さじゃどれだけ突風を吹かせても届かないのよ!」


焦りを募らせる3人、そんな時だった。

零央がパンッと両手で音を鳴らす。

余りにも小さく、軍人達は勿論、3人にも聞こえない程の小さな音だ。しかしそれを腕輪が聞き逃す事はなかった。


【コード:000 自動承認 風林火山を起動するね!】


鉄壁の守り、更なる加速、零央だけではない。

それを節子は同じく感じとった。

不思議と力が漲るのが分かる。


「凄いわ、自分の力だけではなく仲間にもそれを伝える事が出来るのね。これが比良坂町の英雄。次世代の運び屋の力なのね。今なら!」


節子は空中に目掛け剣を振う、それは零央の元へ届き弾丸を弾き飛ばした。

3人の存在に気づいた零央は安心したのか、泣きながら其方へと向かう。


「うぅ...おひめさま。れお、こわかったよ」


「もう大丈夫よ。小さな英雄さん。頑張ってくれてありがとう」


「うん」


節子は零央を抱き上げ、背中を優しく摩る。

どれだけ強大な力を持とうとも、零央は5歳児だ。

彼女の肩に顔を埋め、大泣きした後、体を震わせていた。


「何処か怪我はないかい?あるのなら直ぐにDr.黄泉を呼ぼう」


瑞稀が零央の頬を撫でた時、何かに気づいたのか彼女の腕をジッと見ていた。


「おうじさま、ケガしてるの?」


「このくらい、君の涙に比べたら造作もない事だよ」


「れおね、ケガなおせるんだ。おいのりするの」


「祈り?それは海鴎のように神様に祈りを捧げるのか?」


「れおはね、かみさまじゃなくて。えっとね...よみせんせいおしえてもらったんだけどわすれちゃった。ごめんね。れお、やってみるから

おぼっちゃまみててね」


そのあと零央は文字通り、両手を組み祈るようなポーズをする。


【コード:000 自動承認 盧舎那仏(るしゃなぶつ)を起動するね!】


そのあと、地面から蓮の花が現れる。


「成る程、神ではなく仏という事か」


「素晴らしいね、これは軍も目を掛ける訳だ。私の腕の傷もみるみる治っていく」


「ねぇ、英雄さん。私達はこれから秋津基地の偉い人に会いに行くの。貴方も一緒に来てくれたらとても心強いわ。力になってくれる?」


「パパにいわれたんだ「皆の力になってくれって」だかられおもいっしょにいくね」


その言葉通り、4人で鶴崎の所へと向かった。


「どうやってここに来た!」


自身の執務室の椅子から立ち上がり、杖を持ちながらゆっくりと此方へと近づいてくる。

驚くのも無理もない、鶴崎からしてみれば行方の分からない人質達が目の前にいるのだから。


しかし、突如鶴崎は胸を掴み崩れ落ちた。

それを側にいた星野が慌てて体を支える。

そのあと、薬を差し出すが鶴崎は拒否した。


「いい。老耄の命より、今この状況が大事だ。私は君達を探していた、一体これまで何処にいたんだ?」


「水行川の高級ホテルです。全斎准将が仕切っているようなのですが、彼処は隠れ家的存在なのですか?」


鶴崎は目を泳がせ、少し考えた後声を発した。


「軍人の中には比良坂町に隠れ家を持っている者がいる。全斎はホテル経営者として町に紛れ込んでいるようだ。各有私も同業者として、何度も富裕層に顔を出している。情報収集や全斎の釘を打つ為にな」


「鶴崎少将、以前音無伍長が自分達には弱点があると話していたのだが、貴方にも共通してそれがあるのだろうか?もし、検討がついているのなら僕達に教えて欲しい」


「私達は人魚の母親と人間の父親から生まれた落胤(らくいん)だ。人魚が火を恐れるのと反して、氷、雪を本能的に嫌がる。他にも鳥を異常に怖がり、敵視する。どれだけ軍で遺伝子検査をしようとも原因が掴めず対策も出来ていない」


その言葉に瑞稀は何かに気づいたのか、話を始めた。


「百地と初めて会った時、彼は圭太の偵察していた鴉を消滅させたんだ。成る程、暗闇にも関わらずどうして場所が分かったのかと思ったが本能的に最初から警戒していたからこその行動だったんだね」


「おじいちゃん、れおね。あかいのをこわさないといけないんだ。どうしたらいい?」


「この鳥居の事か。確かに、全斎の居場所もわかった。後は乗り込むだけだ。星野、ホテルを包囲出来るだけの部隊を派遣しろ。指揮は富士沢に任せる。用意が終われば破壊して構わない。私も直々に向かわねば。全斎と決着をつける」


「はっ!畏まりました!」

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