表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第4章 決戦の狼煙
43/78

第肆拾参話 弱点 ◉

「2人ともごめん。あれだけやったら、流石に部隊を壊滅とまではいかなくとも半壊には出来ると思ったのに」


「いいえ、光莉を責めるのはこの状況でする事ではないと思います。逆に火器が効かないと分かった事は大事な情報です。...だとしても、この状況どう打破すれば」


その言葉に児玉は希輝に無線を繋ぎ、連絡をとる。

浅間も含めて、4人は戦略に長け、頭の切れる頭脳派集団だ。

自分達で考えるより、彼女らの意見を聞く方が効率がいいと思ったのだろう。


「希輝、俺だ。分かるか?」


「児玉さん!?良かった、助かりました。さっきの銃声って光莉の物ですよね?剣城にも退避の援護をお願いしたんですが全員無事ですか?」


「こっちは何ら問題ない。それ以上に厄介な事になった。相手に火器が効かないんだ。部隊の状況を見るに1/3程の被害しか与えられていない」


「はい、それはこちらからも見えています。この状況からして人魚と同じような対策をとっても、逆に相手につけ込まれるだけです。そもそも、アタシ達は対人魚用にカスタマイズされた武器をDr.黄泉や愛さんに作ってもらっています。今までの戦法で戦っても意味はありません」


「それだけ分かっているなら、上等だ。だからこそ、3人に聞きたい。俺達はどうすればいい?今は希輝達が軍師だ。俺達は3人の指示に従う。この際、ベテランとかキャリアとか気にするな」


その会話に児玉の持っていた無線機を光莉が手の平を差し出し、渡して欲しいと言ったジェスチャーをする。

児玉は直ぐに無線機を彼女に渡した。


「私からもお願い。正直言って、あの攻撃で念力を大量に使っちゃってるの。Dr.黄泉や零央君が控えているとはいえ、実質3人で対応しないといけない。これからは効率が求められるの、貴女達の力を貸して」


そのあと、数秒間無線機から何も声が聞こえないと思ったら3人の嬉しそうにはしゃいでいる声が聞こえてくるのだ。

この状況で、1番劣勢になっている状況でだ。

どれだけ図太い神経を持っているのだと児玉は関心していた。


「何だ、何だ?現代っ子って言うのはこう言う感じなのか?おじさん、ついて行けるか心配だな」


「ごめんなさい。児玉さん達に頼られるのが嬉しくてつい。アタシ達の憧れはいつだって貴方達3人だから。では、まず。話を聞きたい人がいるんです。圭太と変わってもらえますか?」


児玉は指示通り、圭太に無線機を渡すが首を傾げていた。


「僕の情報が欲しいならお角違いだと思うけど。もう、殆ど姉貴や他の人にも音無さんの事話してるし」


「いいや、根本的な話をさせて欲しいの。何で、君は運び屋になったの?良いや、言い方を変えた方がいいかも。“なれたの”」


「何でって、それは舞台の合間を縫って運び屋の仕事を手伝ってたから。何もおかしな事は行ってないと思うけど?何が言いたいの?」


「でもさ、過程と結果が矛盾してるのを君は気づかない?君は運び屋なった、でも今。軍は運び屋を潰そうとしている。だったら最初から君を運び屋にするのは可笑しな事じゃない?音無って人は意地でも君が運び屋になるのを阻止すると思うけど。だから護衛をつけて君の自由を奪ったんでしょ?君が運び屋になるのを阻止する為に。特に君の行った場所は運び屋の本場。運び屋も身近にいただろうし、接触させたくなかったんじゃないかな?」


希輝の話を聞いた望海は圭太が異国の地に行った時の事を思い出すよう誘導する。


「圭太、貴方の行動の中に音無さんが阻止出来なかった物があるんです。だから結果的に貴方は運び屋になれた。運び屋関連で異国に行った時、貴方がした事は何ですか?順番に思い出してみてください」


「...えっと、舞台の後2人に会ってスカウトされたんだ。そのあと、夜護衛の目を掻い潜って首都の大きなギルドに行ったらティムに会ってそのあと3日間、休演だったから研修とか行って雪山に」


「それだ!!」


希輝の叫びに圭太は耳が痛くなり機械から身を離した。

無線の向こう側からは3人が何か話し合っているのが分かる。


「えっ、どこ?僕としては別に可笑しな事は言ったつもりないんだけど?」


「アタシ達の考えが正しければ、その雪山に音無って人は来てないよね?」


「いや、当たり前でしょ?あんな危険な雪山、行くわけないじゃん。音無さんだって、馬鹿じゃないでしょ?...あ」


圭太は目を見開き、何かに気づいたようだ。

そうだ、圭太からしてみればティムと一緒に行った大寒波の雪山は命に関わる程の環境だ。

普通の人なら絶対に足を踏み入れない、その普通を何の違和感もなく圭太は受け止めていたのだろう。

だからこそ、その異常性に気づく事が出来なかったのだ。


「音無さんは君の護衛だった、なら尚更。雪山に行かないのは可笑しな話だよね。君の命がかかっているんだから、でもそれを野晒しにした。そこまでしなきゃいけない理由が彼にあったとしたら」


「...自分の命に関わる事だから。おじさん!!皆に伝えて、軍人達の弱点は雪だ!雪のある場所には本能的に近づく事は出来ない。人工的にでも雪を降らせれば相手の機動力を削げるかも。致命的にではないにしても、足止めは出来るかもしれない」


「了解。その条件なら、運び屋達にも勝機はある。だが、雪が得意なのは特に朱鷺田と谷川のいる壱区のメンバーだ。情報は其方に持っていこう。俺達は余り得意とは言えない。別の作戦を考えよう」


「圭太、お見事です。少ない情報で良く相手の弱点を見つけましたね」


「お礼は僕じゃなくてティムに言ってよ。...良いや、僕が彼に直接会いに行って伝えないと意味ないか。ありがとう、ティム。君はやっぱり畜生を通り越してクレイジーだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ