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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第4章 決戦の狼煙
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第肆拾壱話 見えない壁

「皆さん、おはようございます。...あれ?」


いつものように喫茶店に向かった望海は何故か異様に店が狭く感じた。

それは店が縮んだ訳でもなければ小さくなった訳でもない。

人がいつもより多くいるせいであった。


「望海!!」


自身が入って来た扉を光莉に慌てて閉められ、焦ったような表情で両肩を掴まれる。


「此処に来るまでに変な奴見なかった!?軍人でもいい、普段見かけない奴」


「いいえ、私の知る限りではいなかったように思えますが何かあったんですか?」


その言葉に光莉は安心したように胸を撫で下ろした。

望海は訳が分からず首を傾げていると奥のテーブル席から声が聞こえた。

聞き慣れない声、しかし望海は一度聞いた事のあるものだった。


「だから言っただろう。単身で此処まで来たと、従者も連れて来ておらぬわ」


「富士沢軍曹!?どうして此処に!?」


彼は立ち上がり、望海の目の前に現れる。

児玉はカウンターから苦笑いしながら2人の会話を見守っていた。


「鶴崎少将の命により比良坂町に参った。現場、壱、参、肆区は全斎派の人間により包囲されている。こうして無事なのは弐区のみだ」


「嘘ですよね?だって、私は何の奇襲も受けませんでしたし道も普通に歩いて...」


「残念だが、それが真実だよ。望海君」


カウンター席からは黄泉の声が聞こえる。

彼が此処に来る事など一度だってなかった。

彼の姿を見た望海は本当に緊急事態なのだと実感した。


「もうすぐ、零央と圭太が戻ってくる。偵察も粗方終わっている筈だ。望海、皆を助けられるのは俺達だけだ。まずは情報が得られるまで待機しておけ」


児玉の指示で望海は光莉と共にカウンター席に座る。

カウンターテーブルでは黄泉が何かの作業をしていた。


「Dr.黄泉、何をされているのですか?」


「零央君の腕輪のアップデートをしているんだ。愛君も壱区で包囲されてしまったからね。私だけでは皆をサポート出来るか不安なんだ。これだけ大人数が動く事はないからね、今回彼には戦いではなくサポートに徹してもらうよ。ただ、この混乱の中だといけても壱区の水行川から参区の小坂までだ」


「それだけ行けるなら十分だよ。私だって運び屋になった時は協会から小坂までしか行けなかったもん。零央君は良く頑張ってくれてるって」


そんな会話の後、圭太と零央は戻って来た。


「圭太、ごめんなさい。何も気付かず、貴方に任せてしまって」


「本当だよ。逆に関心するけどね、こんな状態でもいつも通り過ごせるんだから。大物だよ、流石は僕の姉貴だね」


「うっ...面目無いです」


そのあと、圭太が零央に指示を出しテーブルに比良坂町の地図を投影させる。その様子に富士沢も関心していた。


「零央のナビゲートと僕の鴉で何とか全区の様子を探る事が出来た。

まずは壱区、北部に大きな部隊を見つけた。此処は関所も近いし人が逃げ出さないように封鎖している可能性が高い。

それと中心街の側に大きな屋敷を見つけたんだけどあれは会長さんの家であってる?」


「はい、忍岡の敷島家の屋敷です。彼処は北部を担当する運び屋の中継地点でもあります。ですが、私達が侵入するのは不可能です。印もありませんし」


「此処に、運び屋が数人集まってた。姉貴達がいけないなら彼らで壱区を攻略してもらうしかないね。それと協会は完全に軍に包囲されてた。援護するにしても姉貴達が向かうのは無謀すぎる。誰かいない?姉貴達と連絡が取れて忍岡まで行ける運び屋」


その言葉に光莉が思い出したかのように大声で言った。


「希輝ちゃん達は!?あの3人なら参区を経由して壱区に向かえるよね!?」


その言葉に圭太は苦虫を噛み潰したような顔した。


「なら、1番危険な参区を先に説明しておけば良かったね。彼処も中心街を包囲するように部隊が配置されている。あの部隊を食い破るのはかなり苦しいよ。でも逆に考えれば」


「希輝さん達が中心街に取り残されている可能性があります。何もなければ警戒する必要もありませんし、出てきた所を襲撃しようとしているのかも」


「それを考えれば良く3人でここまで粘っている。直接褒めてやりたいぐらいにな。俺達の方針は決まったな。まずは参区へ向かい3人を救出する。そして壱区の現状を伝え、3人を其方へ送る。そのまま俺達は肆区へ向かう」


「じゃあ、最後に肆区だね。ここも中心街に運び屋が数人いた。ほら、僕にスイカをくれた咲羅って人。なんか彼処だけ、地獄絵図だったって鴉が怯えてたけど大丈夫?「鬼だ」って四方八方から声が聞こえたんだけど」


その言葉に望海達3人は目を逸らした。

だから、おっかないと言ったのだ。

どれだけ穏やかな4人でも危機、特に七星家に何かあれば鬼神と化すのは目に見えている。


「肆区は思ったより大丈夫そうですね。壱区に向かった方が良いかも」


「まぁまぁ、望海。そう言わずに助けに...いや、確か肆区ってDr.黄泉の発明品が使えないんだった。フィジカルエリートだけが肆区で生き残れるんだよね。本当に恐ろしい」


その言葉に黄泉は少し付け加えをした。


「武器類はコードが必要だから使用不可能だが医療機器であれば使用可能だよ。もし、彼らが心配なら後方支援というやり方もある。では作戦開始だ、参区へ急ごう」


注意:次回以降、複数のグループが同時進行で動きます。

その為、視点や時系列が目紛しく変わるので工夫としてどのグループが動いているのか分かり易いように各話のタイトルの横にマークを付けさせていただきたいと思います。


東海道&北陸→◉

北海道・東北・山形・秋田→◆

上越&長野→▲

九州&西九州→○

クルーズトレイン→★


作者もこう言った取り組みは初めてなので拙い所もあると思いますがよろしくお願いします。

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