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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第4章 決戦の狼煙
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第参拾玖話 誘拐

「ふふっ、今日はどんなお手紙を書こうかしら?…そうね。新しく開催した美術展の感想とか?」


そんな独り言を節子は敷島邸の自室で机に座り、呟いていた。

亘と会ったその日以降も節子は変わりなく、文通相手である2人と連絡を取り合っている。


「…そういえば、もう1人の方とお会いした事がないのよね。いつか、会えるかしら?」


部屋の窓越しに映る月を見ながら、相手の事を考えているその時だった。

窓の真下、玄関方面が真っ赤に照らされている。

その異常な光景に節子はある可能性が思い浮かんだ。


「…まさか、侵入者!!お母様!!」


節子が自室の扉を開け、廊下に出ると窓ガラスが割れる音がする。

しかも、色んな方向からだ。

それと同時に鳴り止まない警報音が聞こえる。

節子は足が竦みそうになるのを堪え、母親の行方を探す。


「これは何?ゲホッ、ゲホッ。まさか催眠ガス?どうして?門前には警備員も配置してあるはずなのに!」


節子はハンカチで口を押さえるが、それだけでは十分な対策にはならなかった。

しかし、不幸中の幸いか廊下を進んだ先。おそらく、節子の事を思い二階まで上がってきたのだろう、彼女の母親が階段近くで倒れているのを節子は見つけた。

しかし、そのあと視界が暗転する。節子も同じように倒れ伏してしまった。



「どうなっているんだ、これは!!」


その同時刻、瑞稀もまた何者かに追われていた。

彼女は運良く屋敷にはおらず、奇襲を受けなかったが町中で逃さないとばかりにしつこい追跡を受けていた。


「(こんな事をするなんて、アイツらしかいない!私を捕まえてどうするつもりだ。人質にでもするつもりなのか!?)」


【コード:087 承認完了 神隠しを発動します】


「だから、以前言うたであろう。遅すぎると」


「なっ!?」


瑞稀の肩を苦無が掠める。瑞稀は腕を押さえ、出血を抑えながら再び走り出そうとするが首を羽交締めにされ目先に苦無を突き立てられる。


「大人しく来てもらおう。なに、其方だけではない。3人仲良く、拙者達の所に来れば良い」


「百地、貴様!」


その言葉も虚しく、拘束は更にキツくなり瑞稀は気絶してしまった。



「亘、儂は此処まででよか。おまえだけでも逃げなさい」


「ダメだ!じいちゃんを残して自分だけ逃げるなんて出来ないよ!一体、どうなっているんだ!」


亘は花紋鏡を見ながら屋敷の隠し通路に身を潜めていた。


「隈なく探せ!絶対に此処にいるはずだ!」


花紋鏡に映る言葉と外の発言が次第に近くなる。

それ以上に亘は危機感を覚えていた。


「これは音無が指揮しているのか!軍の目的はなんだ!」


その言葉に亘の祖父はある事を思い出した。


「亘、三種の神器じゃ。御三家に伝わる三種の神器、それを軍は狙っておるのやもしれん。亘、花紋鏡を絶対に奴らに渡してはならん!」


「...そんな」


「音無伍長!隠し通路を見つけました!」


その言葉に亘は一種の絶望を感じた。


「この先は俺が行く。他の者は別の部屋もあたれ、それと一緒に出入り口を封鎖しろ!」


「了解しました!」


音無の指示の元、部隊は散開していくが事態は一向に好転していなかった。

亘と祖父は隠し通路の先にある地下倉庫へ向かったが、それは行き止まりを意味し、身を潜める事しか出来なかった。

次第に足音が近くなる。亘と祖父はお互いを庇いながら、小さく身を寄せ合っていた。


「...七星家の当主及び、その孫である亘様に伝えたい事があります。我々は全斎秀一准将の指示の元、この作戦の立案及び、行動を開始しました」


突然の丁寧な言葉に亘は混乱するものの、まずは黙って最後まで聞く事にした。


「我々の目的は御三家の親族を誘拐し、それを知った運び屋達を混乱させ、人々が散りじりになった所を括弧撃破する。その言葉が意味する事はただ一つ」


「亘!辞めなさい!此処に隠れておれ!」


亘はその言葉に大丈夫とでも言いたげな顔で祖父を安心させる為、優しく肩に触れた後、音無の前へと出た。


「軍人たちは運び屋達の結束力を恐れている。個別ならまだしも1対多数で責められたら勝機が遠くなる。そう言いたいんだな。音無伍長」


「...やっと会えた。貴方の言う通り、私達人魚の子息は不老長寿の身体を持っていても所詮はただの人間だ。鶴崎少将と全斎准将のみが専用の門を持ち、いつでも比良坂町に侵入出来る。それともう一つ、私達には弱点がある」


「弱点?なんだそれは?」


音無が何か言いかけた時、誰かが近づいてくる足音がした。


「思ったより早い、時間稼ぎしたつもりだったんだかな。済まないが私と一緒に来てもらう。そうしないと全斎が煩いんだ」


亘の手首を慌てて拘束した後、亘は大人しく連行される事になる。


「じっちゃん。今の話を瑞穂達に伝えてくれ!あの4人なら絶対にこの町を守ってくれる。僕はそう信じているんだ」


祖父は躊躇いながらも頷き、亘は音無と共にその場から消えていった。

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