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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第2章 最恐と最強の運び屋
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第参拾話 暴走

隼達、3人が演習場へ赴くとだだっ広い草原に1人の青年がいた。

待機のポーズをし、真っ直ぐに3人を見つめている。

機械のような姿に3人は背筋が凍り、本能的に危機を察知した。


「隼、俺ならいつでも準備出来てるっすよ。愛さんに新しいコード使わせてもらえるようになったんで、足手纏いにはならない筈っす」


「隼、いつものフォーメーションで大丈夫?アイツ、人魚とは違う。人の形をしてるのにヤバイ匂いがするの」


「こんな所で悪あがきをしても仕方ない。いつも通りやるしか無いだろ。...3...2...1...GO!」


【コード:008 承認完了 雪女を起動します】


翼の雪女により、草原が(たちま)ち雪原へと変わる。

隼や小町達にとって雪の降る環境は得意だ。

これで初嶺の足を鈍らせる事が出来るなら優位に持ち込めるだろう。


「成る程、地形を変える事が出来るですか。大変、勉強になります。では、私も参りましょう」


【コード:956 承認完了 亡霊火を起動します】


「「「!?」」」


初嶺が動き出したのを見て、3人が驚いたというのではない。

問題は亡霊火を起動させた事が問題だった。

隼はやはりかと、苛ついていた。


「それは、山岸先輩がいつも人魚に対して使ってたやつ。やっぱり、お前は俺達の紛い物だ」


「...私が、貴方達の紛い物」


雪原は忽ち、炎で溶け水面へと変わる。

隼が資料を見た時、ある事に気づいた。

自分は勿論、山岸や那須野、颯が使用する道具を初嶺は使用している。

おそらく、育成のモデルにしたのだろうと隼は考察していた。


そのあとだった、さっきまで無表情だった初嶺が突然笑みを浮かべたのだ。その様子に隼はゾッとした。


「いつも、久堂から聞いていました。私の使用する道具は誰かを参考にして作られたと、その誰かを私は知る事は叶いませんでした。やっと、出会う事が出来ました。貴方だったのですね」


【コード:006 承認完了 赤鬼青鬼を起動します】


「油断するんじゃないの!隼だけじゃない小町もいる。小さいからって舐めてかかったら痛い目に遭うの!」


鬼の化身が鎌や鍬を持ち、初嶺に襲いかかる。

しかし、彼の笑みが消える事はなかった。


【コード:956 承認完了 Lv.7に変更します】


「素晴らしい。これが、オリジナル。これが本物の運び屋。私はもっと貴方達と戦いたい!」


初嶺の様子を心配した久堂は隠れて様子を見ていたが一番最悪の事態に陥ってしまった。


「あぁぁぁぁぁ!!アイツ、勝手に調整を(いじ)りやがった!不味い、手加減しろって言っただろうが!」


【コード:005 承認完了 カムイを起動します】


「早く初嶺を止めろ!これ以上レベルを上げられたら俺達が対応出来なくなる!」


日熊の化身も追い討ちをかけるように初嶺へ向かう。

彼は相手に合わせて、対応を変える事が出来る。

使用出来る武器もその度に変わるのだ。


しかしそうなれば、自分達が使える手段がドンドン減っていく。

隼は長期戦になれば成る程不利だと考えた。


【コード:956 承認完了 無銘太刀を起動します】


多量の念力を込めた太刀により、小町と隼の化身達は真っ二つに切り捨てられる。

そのあと、1番近くにいた隼が初嶺に距離を詰められた。


「動きが...早すぎる」


「「隼!!」」


小町と翼が叫びそちらに駆け寄ろうするが、逆にそれが仇となってしまった。


「私の邪魔をしないでください。もっと、もっと戦いたい!次は何をしてくれるんですか?心拍数が上がっているのが分かります。今までに無い感情を私は感じているのです」


その言葉を口にしながら、近づいて来た2人の首を攻撃し気絶させる。

残された隼は同じく目の前の眉間に刀を(かざ)せられ、ショックの余り後ろに倒れてしまった。


3人が倒れた事を確認した久堂はシャーベット状になった雪原を苦い表情をしながら足を進めた。


「朧、良くもやりやがったな。勝手にリミッター外しやがって。いいか俺達は殺人鬼じゃないんだ、軍人なんだよ。戦闘のプロが自分を制御出来ないでどうする?」


「それについてはお詫びします。ですが、このような事は一度もありませんでした。感情が昂る事も、自分の判断で戦闘を行いたいと思った事もです」


「後でみっちり反省文だ。その前に、この運び屋達を比良坂町に送り返さないといけない。手伝え、朧」



「零央、ナビゲート使える?」


「うん!チョキ!」


【コード:000 自動承認 ナビゲートを使用するね!】


圭太と零央は夜になっても帰って来ない3人の行方を探す為、望海達と共に手分けし捜査を行なっていた。

ナビゲートを使い、目の前に投影された周辺の地図と生体反応を確認する。


「ここ、怪しいな。路地裏なのに人が固まってる。姉貴、こっち!路地裏だ!」


望海達3人も合流し、5人で路地裏に向かうと鳥居の前で傷だらけになりながら倒れている3人を見つけた。


「...酷い、誰がこんな事を。ねぇ、翼しっかりして!ねぇ、ってば!」


望海が慌てて翼の身体を揺するも中々、返答が来ない。


「玉ちゃん!Dr.黄泉と愛さんを呼んで!この傷じゃ私達でも治せないよ」


「分かった!圭太、零央良く見つけてくれたな。お手柄だ」


「愛君、小町君の様子は?」


脳震盪(のうしんとう)を起こしていたようです。他に大きな傷はないようですが暫くは安静にしてもらわないと」


「こちらの2人も似たようなものだな。望海君、3人は何処にいたんだ?」


「協会から少し離れた所にある路地裏です。本来、私達の担当地域なのですがどうしてあんな所に」


協会の医務室でベットに寝かせられた3人を望海は心配そうに見ていた。隼に至っては(うな)されているように見えるから尚更心配になったのだ。


心配そうにする望海に零央は小さな手で彼女の手を握りしめた。


「のぞみおねえちゃん、だいじょうぶだよ。れおがみつけたとき、おにいちゃんたちのこころうごいてたもん。れお、みえたよ」


「こころ?心臓って事?零央くん、心臓が見えたの?どうやって?」


疑問を投げかけたにも関わらず、零央は心臓という言葉が理解出来ないのか首を傾げていた。

そのあと、児玉が医務室へと入ってきた。


「もう深夜だ。2人とも帰るぞ。後は黄泉達2人に任せよう」


「そうですね。零央くん、帰りましょうか?色々気になる事はありますが、3人が回復してからまた詳しい話を聞きましょう」


「うん!」

一言:さりげなく、翼にE8系があてがわれていますね。

E8系は2024年に山形新幹線に導入予定の新規車両ですが、試運転が所々で行われています。

作者も新函館北斗駅に向かう為に郡山駅や福島駅を通過してる最中にこのE8系を見ました。

顔が中心に寄っててずんぐりしてますし可愛いんですよね。

E5系とE8系が連結しているのを見るとキュウリとナスでお盆を連想させるのは何故なんでしょうね?

「はやぶさ」「こまち」はクリスマスカラーなのでその対比なんですかね?

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