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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第2章 最恐と最強の運び屋
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第弐拾仇話 門

「悔しい!悔しい!悔しい!誰なの!?あんな壁を一瞬にして無くしちゃうなんて!」


「いや、小町ちゃん。正確には一週間ちょっとっすから」


「本当に隼じゃないの?比良坂町で一番強い運び屋は隼しかいないの!」


壱区の北部を担当する運び屋の拠点に隼、小町、翼はいた。

隼は小町の話を無視して楽譜を書き続けている。


「俺じゃない。どれだけカムイが強力な存在でもあんな大きな壁動かせる筈がない。しかも、その間騒音も聞こえなかった。数度の地震があっただけ、まるで壁そのものを真上に引き上げたようにも思える」


その言葉に翼は目を丸くした。


「はぁ!?あんなクソデカい壁を粉砕もせず、そのまま動かしたって言いたいんすか!?ありえないでしょ!?なんすかそれ、悪魔かなにかっすか?」


小町は機嫌が悪そうにしながらも何か考え込んでいる。


「またあの秋津基地の奴らがやったんじゃないの!あの火災もそう。これ以上、比良坂町をメチャクチャにされたら溜まったもんじゃない。あのお嬢様の言ってた初嶺って奴も気になるし、小町行ってくる!」


「いやいや、小町ちゃん待つっすよ。タンマタンマ。隼も、説得して!やめろって」


「はぁ」


隼は溜息を吐きながら、2人に近寄る。

その反応を見て小町は落胆されたと思ったのか謝罪の言葉を口にした。


「隼、翼ごめんなさいなの。小町、頭がカッとなってつい」


「小町が怒るのはいつもの事だし、仲間を思って言ってくれてるのは俺達が良く知ってる。...そうだな、これじゃあいつまで経っても埒が明かないし行ってみるか。気は進まないけど」


「えっ、隼何処へ?」


「そんなの秋津基地に決まってるの!」


小町と翼は隼に促されるがまま、壱区の中心街まで移動した。


「いや、不味いでしょ。このまま行ったら望海達の担当地域に入る事になって、一回拠点に戻って山岸さんに相談した方が...」


「もう入ってるよ。普通、秋津基地っていうのは特別な理由がない限り利用する事も出来ない。それを全斎は知った上で俺達、運び屋が侵入出来るように経路を制作してる」


「ふふん、小町なんだか悪い事をしてる気分なの!ここ、お嬢様が好きそう。金持ちがウジャウジャいるの!」


壱区の中心街でも更に発展した地域に来た3人は煌びやかな街並みを離れ、薄暗い路地に進む。


「あった。ここだ」


不気味にもレンガ造りの建物に埋め込まれた状態の鳥居を見つけた。


【現在、こちらのゲートは案内を開始しております。利用される方は3桁の暗証番号をお伝えください】


「ぎゃあああ!!喋った!何すかこれ!?」


「205」


「隼、冷静に言わないで欲しいっす」


次の瞬間、鳥居の向こう側の空間が歪み、霧に包まれる。

3人は意を決し、その中へ飛び込んだ。


鳥居の先にあったのは誰かの執務室のようだった。

しかし、部屋の主は不在のようで3人以外誰もいない。

隼は近くの立派は机の上に基地の地図を広げ、2人に説明する。


「もし、ここが全斎の執務室だと仮定するならここは4階、最上階だ。初嶺が常時待機してる場所は外にある演習場だ行こう」


そこまでの途中で隼達は何度か人に出くわす事があった。

最初は隠れていた3人だったが、そもそも軍人達に警戒心も殺気も感じる事はなく逆に自分達だけが警戒し、気疲れてしまう程だった。


そして、建物から出て演習場へ向かう頃には隠れる事もないまま軍人達の訓練を見ながら移動すると言う異常事態に陥った。


「可笑しくないっすか?確かに望海の弟みたいに民間人が利用する事もあるだろうけど、それでも少数。警戒心がないというか、自分達の事しか考えていないと言うか」


「完全に舐め腐ってる。俺達の事を警戒する必要も無いって事だ。仮にも異能力者がいるっていうのに」


その光景を建物の窓から見ていた久堂は初嶺に無線を入れる。


「聞こえるか?朧、今運び屋達3人がお前の所に向かってる。余り怖がらせるなよ。お前の仲間になるかもしれないんだ。中には腕の良い運び屋もいるようだ。Lv6でまずは対応しろ」


「了解」


【コード:956 承認完了 設定をLv.6に変更します】



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