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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー  作者: きつねうどん
第2章 最恐と最強の運び屋
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第弐拾肆話 新たな道

「済まない浅間、状況は?壱区の皆は無事か?」


「児玉さん、ご無事で良かったです。山岸さん達の担当区域は壁から離れているので火災を確認出来なかったそうで到着が遅れるそうです。希輝ちゃん達が消火活動に協力してくれて壱区から参区はなんとかなりそうなんですが、望海ちゃん達は大丈夫ですか?」


「あぁ、仕事の一件が片付いて連携が取りづらい肆区側を担当してくれてる。緊急事態だからな黄泉もこき使って弐区側を頼んである。これで何とか人は回りそうだな」


児玉が壱区の協会まで向かう迄の間、殆ど消火活動が終わり黒い雲が夜空に充満するという状態となっていた。

今まで比良坂町でこんな大規模な火災が起こった事は勿論ない。

こんな大混乱に落ち入りそうな場面でも冷静に対処し、消火活動に尽力してくれた仲間達には感謝しかなかった。


そんな中、希輝達三人が浅間の所に駆け足でこちらへ来て話かけてきた。


「浅間先輩!壱区と参区の民家の損傷具合も調査して来ました。やっぱり壁付近の民家は火種の影響で木造系の損傷は激しいです。でも、避難誘導は迅速に出来たので死傷者は少ないです。ただ...」


「ただ?」


「参区側の水路に男性の死体を見つけた。今、愛さんに検死の依頼をしている。この火災で巻き込まれたのかもしれない。他にも水路に細工をしてあるのを見つけた。火災当時、断水状態だった。油の匂いも酷かったし、誰かが水を止めて、大量の灯油かガソリンの類いを流して放火した可能がある」


「そう、ありがとう剣城君。三人ともありがとう、お疲れ様。もう、夜も暗いし親御さん達も心配するわ。児玉さんもきてくれたし、後は大人達で対処するから」


「...いや。...あの。僕たち、気づいた事があって。この壁って今なら壊せるんじゃないかって三人で話してたんだ。そうだよね?希輝、剣城?」


もうそこまで先を読んでいる事に児玉は驚愕すると同時に関心していた。

浅間は常々、賢い後輩に恵まれたなと嬉しい気持ちになる。


「その話、俺にも聞かせてくれないか?何故、そう思った?賢い三人の事だ、何か企みがあるんだろう?」


「えぇ。アタシ達、元々参区の中心街まで行動範囲を広げられないかな?ってずっと考えていたんです。人魚がいなくなった今、運び屋達に天敵はいない。もっと言うと、比良坂町の壁を全部無くす事が出来たら可能性も無限にあるって思って」


「なるほど、確かにこの厄介な壁を退けさえすれば運び屋達も安全に業務につけるな。だが、問題がある。壁と民家の距離が近すぎる。上から少しずつ壊すにしても、落石が民家や人に落ちればこれ以上ない被害を被る。それに残骸の撤去場所も必要だ。それ以上にもっと根本的な問題がある」


「誰がこの壁を破壊して、それを運搬出来るだけの怪力持ちがどこにいるのかという事か。壁の高さ15m、横10km、厚さ80cm。それが8枚。どれだけ探してもこの街にそんな偉業を成し遂げられる人物がいるかどうか」


頭の良い三人だからこそ、この作戦が不可能かつ無謀な事に気づいてしまったのだろう。

しかし、希輝は諦める事が出来なかった。

腰につけていた拳銃を手に取り、コードを入力する「923」と。


「Dr.黄泉!お願いです、何とかなりませんか!?」


「何とかと言われてもね。面白い提案だが、今の運び屋にそんな事出来る人物はいないよ」


「じゃあ、逆に考えてどんな人だったら可能だと思いますか?」


Dr.黄泉は少し考えたあと口を開いた。


「まず、運び屋というのは大小念力という物がある。この中で念力のコントロールに優れ、大量に所持しているのは児玉君だけだな。それ以上にどうしても壁を動かしたいのなら怪力は勿論、それを持ち上げる浮力も必要だ。ここまで来ると、体格や身体能力よりも能力への適性と自身の念力の多さ、容量の良さが求められる。そんな人物がいるなら私も会ってみたいね。いるのなら、間違いなく最強の運び屋と呼んでも良いんじゃないかな?」


「そんなー、児玉さん。何とかなりませんか?」


「こればかりはどうにもならないだろ。俺も担当地区があるし、削って余力を回した所で失敗するのは目に見えてる。若い頃の俺だったら話は別だったかもしれないがな」


これ以上話が進まないと考えた浅間は話を切り上げ、今後について話し合う事にした。


「では、二日後。火災の被害状況をそれぞれ報告する緊急会議を開きましょう。今日、仕事で出払っている人も何人かいるし、珍しく朱鷺田(ときた)さんや谷川(たにがわ)さんも来てくれるって言うから全員集まれるかもしれないわね」


その言葉に浅間と黄泉以外、全員驚いている。


「えっ!?比良坂町長の息子で家の事情で一回運び屋を引退した朱鷺田さんと労働力皆無の無気力美女谷川さん!?大丈夫なのかな?絶対的なリーダーの(あさひ)さんが居なくなって、外の事より内部の方が問題が山積みな気もするんだけど」


「珍しいな。あの地域は担当がコロコロ変わるし、協会側も遠慮して定例会議も任意参加で基本来ないのに。それだけこの火災は恐ろしいって事なのかもしれないな」


一言:これで一応、現役の新幹線メンバーは全員名前が出ましたね。1人だけまだ出てない名前がありますけど、新幹線メンバーは引退組も含めて全員登場させる予定です。

最後に上越新幹線の名前が出るのは別に速度が新幹線の中で遅いから、登場が遅いみたいな理由ではありません。偶然です。

それ以上にダイヤ改正してますからね。


ここからクソみたいに長くなってしまうのですが、各幹線のイメージというか印象を作者なりにまとめましたのでご紹介します。


東海道新幹線


日本初の高速鉄道として生まれた東海道新幹線、作者も1番お世話になっている幹線です。希輝も言っていましたがベテラン勢ですね。

望海、光莉、児玉には信頼、安心、連帯感を大切にしてもらっています。

それを踏まえてた上で圭太や零央加えて、伝統と革命の共存を目指しました。


北海道・東北・山形・秋田新幹線


この中で1番メンバーが多く、新幹線同士の連結もある特殊な幹線です。

今作で連結は一緒に任務に向かうバディという形で描写しています。

リーダーは山岸、エースは隼とそれぞれポジションがハッキリしているように思えます。

ただ、山岸は児玉以上に巫山戯(ふざけ)るタイプのリーダーでよくバディの翼を(いじ)り倒しています。

それを那須野などが、フォローするのが彼らの日常です。


上越新幹線


個人的にこの幹線はイレギュラーな幹線だと思っています。

メンバーが2人しかいないのと、新幹線の愛称って個人的に3文字が普通だと思っていた自分にとって「とき」や「たにがわ」は特徴的だと思っていました。

他にもシーズン限定のガーラ湯沢駅があったりと特徴的ですよね。

中々、定期集会に参加しないのは上越新幹線に閉鎖的というか、周囲を寄せ付けないイメージがありメンバーも「あさひ」「とき」「たにがわ」のローテーション制になっているので他の幹線との連携が出来ないというデメリットがある為です。

ですが、元ネタ同様。上越・東北新幹線は同じ年開業なので朱鷺田は山岸と同期になります。キャラクター年齢は異なりますがね。

なので、今後は山岸達との連携をお願いしたいと思います。

それと同様に意外な人物のと絡みもお見せ出来たらいいなと思います。


北陸新幹線


以前は長野新幹線として存在しており、その延長線上というイメージが強いですね。ですので浅間と希輝、白鷹、剣城の年齢差を敢えて離しています。後者の3人は同期で、以前から長野新幹線として存在していた「あさま」を3人は先輩と呼んでいます。

浅間は児玉の様に保護者枠というよりかは、自身は自分の仕事をして会議の時や、緊急時に協力を依頼する同盟関係みたいな特殊な関係ですね。

希輝達は元ネタ通り、開業が数年前の新参者なので比良坂町全体を見た時に集会などで発言権が他より無い事を危惧していました。

だからこそ、後ろ盾として浅間の力を借りたいと思ったみたいですね。

浅間も他の様にグループで組んでいるならまだしも、自身はソロで行動しているのでどうするかは自分に決定権があるので付かず離れずの関係を維持している様です。

それを希輝達は居心地の良い関係だと思っている様ですね。

3人は若いけど、頭脳派集団なので成長率は1番高いです。

お互いの個性を大切にしており、現代っ子なので他とは違う考えを持っています。そして、それを理解して欲しいとも思っているのですが周りが聞き入れてくれるかは分からない様です。

だからといって、長い物に巻かれるという事もしたくないですし自由に行動したいと考えています。

そんな中で最初に理解者になってくれた浅間の事をありがたい存在だと思っている様です。

それと同じく、今後は東海道新幹線の3人とも交流してもらいます。

個人的に結構相性が良いと思っていて、望海達3人の難点というのは組織として既に完成してしまっているという事なんですよね。

今回、児玉達が希輝達と会話していましたが彼は新しいアイデアを欲しながらもそれを考える余裕も暇もありません。

というより、思考停止していてもベテランという地位は揺るがないので望海も光莉もその発想がないのです。

新しい風として希輝達のアイデアが3人を救うという事もあるかもしれません。


九州・西九州新幹線


グループの中で1番の武闘派集団であり、肉体的にも精神的にも強い集団です。

関係性についてこれから書いていけたらいいなと考えていますが、結構な色物揃いだと思います。

彼らをまとめている亘の心労が(うかが)えます。

「みずほ」と「さくら」は元ネタ的に山陽・九州新幹線直通は初期だと「さくら」のみの予定で、そのあと「みずほ」の名が加わりました。しかし、名前を公募ではなくJR九州の方で決めた事や「みずほ」の名は相応しくないと周囲からの反応があったその背景を自分なりに落とし込めたらいいなと思っています。

「つばめ」の名も歴史があり、伝統的な名前です。

新幹線の名前として、望まれていました。

燕はわざと、子供らしく振る舞っています。

子供らしくいた方が、甘えられるし相手を油断させられるからです。

彼女の素が見られるのはいつになるのやら。

名前だけ出ている海鴎は「かもめ」の通る長崎の影響を強く受けています。圭太が言っていた場所の中に彼に関する手がかりがあるかもしれません。


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