天狗のパンツ
デカい天狗のパンツが干してあった。
けど。
それに気付くまでは、変な壁にしか見えなかった。
動く壁が。揺れている、、
「なんだ。これ??」
大きな青空に。
綺麗なみどりの芝生。
僕はそこに居た。
青空の雲が綺麗で。
ぼーっと眺め、気付いたらここへ来ていた。
「なんだろう、、」
大きな大きな壁。
いや。
下が空いていたから壁ではないのか、、
そんな事を考えていると。
上から声がした。
「そこで、何をしている?」
上を見上げると、でっかい天狗様が居た。
怖さと言うよりも、凄さに感動していた。
迫力に。
オーラに。
圧巻されていた。
「これは、、何かな?って」
天狗様「そらあ、ワシのパンツじゃあ。
今日は天気がええからのお。」
「何だ。
パンツだったのかあ、、」
天狗様をまじまじと見つめる。
よく、絵本とかに描いてあるままの姿だった。
天狗様「人間を初めて見たが。
ちいさいのう、、」
「天狗様がデカ過ぎるだけですよ。」
天狗様の顔がゆっくりと近付いてくる。
天狗様「ワシの顔に。
何か付いてるかのう??」
「いや。
カッコいいなあって。」
僕は天狗様に見とれていた様だ。
天狗様「カッコいい。か、、
悪くは無いなあ。
それにしてもお主。
ここは人間の来る所ではない。
どうやって入った。」
どうやって、、
ここは居心地が良いし。
帰りたくなかった。
「居ちゃ。駄目ですか??
もっと、天狗様とお話したいです。」
天狗様「そう言われちゃあ、、
、、困ったのう。
でも。長居し過ぎると。
お主の身体に。
悪いからのう、、」
そう言うと、天狗様は大きな団扇を出した。
天狗様「ほれ。
これを持ちなさい。」
大きな棒が近付いて来る。
「うわあぁあ、、」
潰される。
そう思った。
天狗様「何じゃ、、ビビりだのう。
ほれ。これに触れるが良い。」
向かれた棒の先端を触る。
すると、大きな団扇はみるみると小さくなり。
僕の手でも持てる、普通の団扇になった。
団扇には綺麗なアサガオの花が描いてあった。
天狗様「寝る前にそれを扇げば。
ワシがそなたの夢に現れよう。」
そう言うと、天狗様は、大きく羽ばたき。
大きな風を起こした。
天狗様「人間。僅かな時間だったが。
楽しかったぞ??
また、話をしよう。」
次の瞬間。
僕は風で吹き飛ばされた。
「あぁああ、、」
「はっ!!」
起きたらベッドの上だった。
、、保健。室??
シャー、、
「大丈夫??」
そこには綺麗な保健室の先生が居た。
保健室の先生「急に倒れちゃって、、
親御さんには、連絡しといたからね?」
額の汗を拭おうとしたら。
手には綺麗なアサガオの団扇があった。
保健室の先生「あら。綺麗な団扇ねえ??
、、そんな物。持ってたかしら?」
「夢じゃ。
無かったんだ、、」
話によると。
僕は授業中に熱中症で、倒れたらしい。
倒れたけど。
何処も、怪我はしてなかった。
あれから何回か天狗様とお話をした。
けれども。ある日を境に。
天狗様が僕の夢に出てくる事は無くなってしまった。
僕は少しだけショックだった。
「忙しいのかなあ、、?」
それから大きくなった今でも。
その団扇を大切に持っている。
今では結婚して。子供も居る。
毎日が幸せだ。
子供「パパ??
その団扇なあに?」
「これはねえ?
天狗様から貰った。
大切な大切な団扇なんだよ??」
「またあ、、」
妻はそうゆうのは信じない。
子供「そうなんだね?」
「扇いでみなさい??」
パタパタ。
心地好い風が吹く。
妻「アジサイが綺麗ね??」
パタパタパタ。
子供「こう??」
「そうだよ。」
その夜。
2人は、僕を夜中に叩き起こした。
「、、何だよ?」
妻「、て、、てん、、天狗、、」
妻の声は震えていた。
子供「おっきい鼻が長い人が。
お空を飛んでたよ??」
対称に、子供は嬉しそうにしていた。
「おぉ。
見れたのか。天狗様を。。」
妻「、、ビックリ。したあ!」
妻は水を飲み、落ち着こうとしていたが、
まだ震えている様子だった。
子供「天狗様??」
「そうだよ。
洗濯好きな天狗様。
何か、言ってた??」
子供「ん~、、」
子供は首を傾げた。
妻「、、よろしくだって。」
「そうか。。」
思い出したかの様に子供が言う。
子供「見てるって!」
「じゃあ、もう少し。
頑張らないとな??」
天狗様とは会えなかったが。
少し、嬉しかった。
パタパタ。
また団扇を扇いでみるも。
僕の所には現れてくれなかったが。
その団扇は、ずっと。
大切に大切に保管している。
「会いたいよ、天狗様。」
チリン、、
風鈴が反応するかの様に鳴り響く。
「きっと。洗濯に忙しいのだろうか。。」
今日も天気が良くて。
何よりも、、
清々しい。洗濯物日和だからな。
天狗様「ハッ。クション!!!
あやつ。
噂しよって、、
大丈夫。
ちゃんと。
見てるぞい?」