表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

天狗のパンツ

作者: 紀希



デカい天狗のパンツが干してあった。



けど。


それに気付くまでは、変な壁にしか見えなかった。



動く壁が。揺れている、、



「なんだ。これ??」



大きな青空に。


綺麗なみどりの芝生。



僕はそこに居た。



青空の雲が綺麗で。


ぼーっと眺め、気付いたらここへ来ていた。



「なんだろう、、」



大きな大きな壁。


いや。


下が空いていたから壁ではないのか、、



そんな事を考えていると。


上から声がした。



「そこで、何をしている?」


上を見上げると、でっかい天狗様が居た。 



怖さと言うよりも、凄さに感動していた。


迫力に。


オーラに。


圧巻されていた。



「これは、、何かな?って」


天狗様「そらあ、ワシのパンツじゃあ。



今日は天気がええからのお。」


「何だ。


パンツだったのかあ、、」



天狗様をまじまじと見つめる。



よく、絵本とかに描いてあるままの姿だった。



天狗様「人間を初めて見たが。



ちいさいのう、、」


「天狗様がデカ過ぎるだけですよ。」



天狗様の顔がゆっくりと近付いてくる。


天狗様「ワシの顔に。


何か付いてるかのう??」


「いや。



カッコいいなあって。」


僕は天狗様に見とれていた様だ。



天狗様「カッコいい。か、、



悪くは無いなあ。



それにしてもお主。



ここは人間の来る所ではない。



どうやって入った。」



どうやって、、



ここは居心地が良いし。


帰りたくなかった。



「居ちゃ。駄目ですか??



もっと、天狗様とお話したいです。」


天狗様「そう言われちゃあ、、


、、困ったのう。



でも。長居し過ぎると。



お主の身体に。


悪いからのう、、」


そう言うと、天狗様は大きな団扇を出した。



天狗様「ほれ。


これを持ちなさい。」


大きな棒が近付いて来る。



「うわあぁあ、、」



潰される。



そう思った。 



天狗様「何じゃ、、ビビりだのう。



ほれ。これに触れるが良い。」


向かれた棒の先端を触る。



すると、大きな団扇はみるみると小さくなり。


僕の手でも持てる、普通の団扇になった。



団扇には綺麗なアサガオの花が描いてあった。


天狗様「寝る前にそれを扇げば。


ワシがそなたの夢に現れよう。」


そう言うと、天狗様は、大きく羽ばたき。


大きな風を起こした。



天狗様「人間。僅かな時間だったが。


楽しかったぞ??



また、話をしよう。」



次の瞬間。


僕は風で吹き飛ばされた。



「あぁああ、、」



「はっ!!」


起きたらベッドの上だった。


、、保健。室??



シャー、、



「大丈夫??」



そこには綺麗な保健室の先生が居た。



保健室の先生「急に倒れちゃって、、



親御さんには、連絡しといたからね?」



額の汗を拭おうとしたら。


手には綺麗なアサガオの団扇があった。



保健室の先生「あら。綺麗な団扇ねえ??



、、そんな物。持ってたかしら?」



「夢じゃ。



無かったんだ、、」



話によると。


僕は授業中に熱中症で、倒れたらしい。



倒れたけど。


何処も、怪我はしてなかった。



あれから何回か天狗様とお話をした。



けれども。ある日を境に。


天狗様が僕の夢に出てくる事は無くなってしまった。



僕は少しだけショックだった。


「忙しいのかなあ、、?」



それから大きくなった今でも。


その団扇を大切に持っている。



今では結婚して。子供も居る。



毎日が幸せだ。



子供「パパ??



その団扇なあに?」


「これはねえ?


天狗様から貰った。


大切な大切な団扇なんだよ??」


「またあ、、」



妻はそうゆうのは信じない。


子供「そうなんだね?」


「扇いでみなさい??」



パタパタ。


心地好い風が吹く。



妻「アジサイが綺麗ね??」


パタパタパタ。


子供「こう??」



「そうだよ。」



その夜。


2人は、僕を夜中に叩き起こした。


「、、何だよ?」



妻「、て、、てん、、天狗、、」


妻の声は震えていた。


子供「おっきい鼻が長い人が。


お空を飛んでたよ??」


対称に、子供は嬉しそうにしていた。



「おぉ。


見れたのか。天狗様を。。」


妻「、、ビックリ。したあ!」


妻は水を飲み、落ち着こうとしていたが、


まだ震えている様子だった。



子供「天狗様??」


「そうだよ。


洗濯好きな天狗様。



何か、言ってた??」


子供「ん~、、」


子供は首を傾げた。


妻「、、よろしくだって。」



「そうか。。」



思い出したかの様に子供が言う。


子供「見てるって!」


「じゃあ、もう少し。


頑張らないとな??」


天狗様とは会えなかったが。


少し、嬉しかった。



パタパタ。



また団扇を扇いでみるも。


僕の所には現れてくれなかったが。



その団扇は、ずっと。


大切に大切に保管している。



「会いたいよ、天狗様。」



チリン、、



風鈴が反応するかの様に鳴り響く。



「きっと。洗濯に忙しいのだろうか。。」



今日も天気が良くて。


何よりも、、



清々しい。洗濯物日和だからな。



天狗様「ハッ。クション!!!



あやつ。


噂しよって、、



大丈夫。



ちゃんと。


見てるぞい?」















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ