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創作民話

狸和尚と狐小僧(創作民話 18)

作者: keikato
掲載日:2020/11/27

 人里近くの山に狸と狐が住んでおりました。

 ある日のこと。

 どちらが化け上手かということになり、そこで二匹は人間に化けて勝負をすることにしました。

 狸は和尚に、狐は小僧に化け、人の住む里へと向かいました。

 この勝負。

 先に正体を見破られた方が負けとなります。


 二匹はふもとまでやってきました。

 ところがそこで、本物の和尚と小僧にはち合わせをしてしまいます。

 二組の和尚と小僧は、見分けがつかぬほどそっくりでした。

 村人たちはこまってしまいました。

 双方とも自分らが本物だといってゆずらず、どちらが本物かわからないのです。

 庄屋はそこで一計を案じました。

「和尚様と小僧しか知らないことを、双方にたずねようと思う。本物は正しく答えようからな」

 村人らにそう言いおいてから、庄屋は二組の和尚と小僧の前に進み出ました。

「これから、それぞれに質問をいたします。答えていただけますかな」

「もちろんじゃ」

「いかようなことでも」

 それぞれの和尚がうなずきます。

「では、こちら様から」

 庄屋は、まず片方の和尚と小僧に問いかけました。

「和尚様は小僧さんのことを、いつもなんと呼んでおられますかな」

「ちんねんじゃ」

「では小僧さん。和尚様の顔には、ホクロがいくつありますかな?」

「ふたつです」

 小僧が答えます。

 庄屋はふむふむとうなずいてから、もう一方の和尚と小僧に向き直りました。

「和尚様、小僧さんの顔には、ホクロがいくつありますかな?」

「ひとつもない」

「では小僧さん。和尚様から、いつもなんと呼ばれておりますかな?」

「ちんねんです」

 小僧が答えます。

「みなさん、まちがいのない答えでありました。お茶でも飲みながら、しばしここでお待ちを」

 庄屋はこまり顔で屋敷に入りました。

「さすがだな」

「あんたこそ」

「これでは引き分けだな」

「そのようだ」

 狸和尚と狐小僧がこそこそ話していますと、そこへお茶と団子が運ばれてきます。

「団子まで食えるとはな」

「さっそくいただこう」

 二匹は団子を食べながらお茶をすすりました。

 するとたちまち。

 狸和尚は狸に、狐小僧は狐にもどってしまいました。

 二匹が一目散にその場を逃げ出します。

 逃げ去る二匹を見て、

「思ったとおりでありました」

 庄屋は満足そうにうなずきました。

「庄屋殿、いったいどういうことなんじゃ?」

 本物の和尚が首をかしげます。

「あちらのお茶には、たっぷり塩を入れておきましたもので」

「そうであったか。それでなぜ、あやつらがニセモノだとわかったのじゃな?」

「ホクロのことをたずねたとき、こちらの小僧さんは和尚様の顔を見て答えました。ですが、あちらの和尚様は相手の小僧さんの顔を見て答えました。それでわかったのです」

 庄屋は正体を見破ったからくりを教えました。


 そのころのこと。

「ワシら、どうして見破られたのかな?」

「まちがえた覚えはないのにな」

 狸と狐はしきりに首をひねっていました。

「なんでだろう?」

「どうしてなんだ?」

 どんなに考えてもわかりません。

 ただ……。

 ひとつだけわかったことがありました。

 人間は恐ろしいものだということが……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「本物ができることができる」よりも「本物がしないことをしない」方が、格段に難しいですね。私も思わず唸ってしまいました。 狸と狐が和尚と小僧にはち合わせたり、反省会をしたりする様子が、とても…
[一言] なるほど、( ゜Д゜)そうやって見分けたんだ。どうやってわかったのだろうと、しばし考えましたw
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