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七月の話 ~男の子? 女の子? 人魚の王子とハートの盗賊~ その13

 結局花子は、ポン子たち以外のクラスメイトたちにも声をかけていたようで、放課後の教室はいつになくにぎやかでした。花子が残ったメンバーを数えていきます。


「えーっと、愛子ちゃん、ポン子ちゃん、クシナちゃん、ソフィーちゃんのいつものメンバーに、魅入(みいる)ちゃん、凪沙(なぎさ)ちゃんも。あと、愛瑠(あいる)ちゃんと(とおる)君と……なんでか知らないけど、まりあちゃんまで残ったわね」

「なんでか知らないけどって、どういうことよ! あんたが声かけてきたんでしょ。それに、こんな面白そうなことしてるんだもん、残らないはずないじゃない。女の子もいっぱい残ってるし」


 くひひと不気味に笑うまりあから、みんな一歩距離を取ります。ソフィーが悲しそうにまりあにたずねました。


「そうですか、まりあさん、もうわたしには興味なくなっちゃったんですね。他の女の子なら誰だっていいんですね」

「えっ、いやっ、違うわよソフィーちゃん! わたしはもちろんソフィーちゃんが一番よ、そんなの当たり前じゃない!」

「じゃあ他の女の子たちには変なことしないですか?」

「もちろんよ、もちろん。でも、それならソフィーちゃんには」

「わたしにも変なことしないでくださいね。まりあさんとは、もっと仲良くなりたいけど、変なことされるならきらいになっちゃうかもしれないですから。だから、じょじょに仲良くなっていきましょうね」


 意味深なソフィーのいいかたに、まりあは目をらんらんに輝かせています。ソフィーに抱きつこうとして、あわててブレーキをかけました。


「ホントに? ホントに仲良くなってくれるの? その、じょじょにって、どれくらいのペースなの? 手をつないだり、ハグしたりは?」

「まりあさんがみんなに変なことしないなら、考えておきますね」


 にこりと笑うソフィーに、まりあはブンブンッと首をたてにふりまくりました。ポン子と花子がぷぷぷと笑いをこらえています。


「あれ、完全にソフィーちゃんの手のひらの上じゃんか。ソフィーちゃん、やるわね」

「ホント、人間になりたてのころはすごい心配だったけど、最近じゃしっかりしすぎて逆にあたしたちが心配されてるもんね」


 ソフィーの成長を、まるで姉のような気持ちで喜びあうポン子と花子に、魅入が小声でたずねました。


「それで、いったいなにをするつもりなんだ? ずいぶん女子が多いみたいだけど、これでどうやって修行するんだよ。男子は透だけって、バランスが悪すぎるぞ」

「凪沙ちゃんも男子よ」


 花子にツッコまれて、魅入は肩をすくめました。


「そりゃそうだけど、でも、修行するなら、特に花子がいってた、男子に慣れさせるってことなら、男子が多いほうがよかったんじゃないのか? そりゃもちろん、太陽とかにチャームかけろっていわれたらこっちから願い下げだけどさ」

「わたしだってあんな変態を修行の会に加えたくないわよ。ま、そういう意味では透君もどうしようか迷ったんだけどね」


 花子が透に視線を移します。透は愛瑠にじっとにらみつけられて、ますます猫背になっていました。


「うぅ、こんなにいっぱい女子に囲まれると、ぼく照れるっていうか、緊張するっていうか……」

「お兄ちゃん、わかってるとは思うけど、もし少しでも変なそぶり見せたら、もう絶対許さないからね。金輪際口をきいてあげないし、家に入れてあげないから!」

「そんな、むちゃくちゃだよぉ……」


 がっくりとうなだれる透を見て、花子も魅入もはぁっとため息をつきました。


「ま、あんまり期待はできない感じっぽいけど、それでもいないよりはましだわ」

「花子ちゃん、なんか最近ずいぶん毒舌よね……。まぁいっか。で、どうするつもりなの? 魅入ちゃんの修行をするんだよね?」


 ポン子に聞かれて、花子はへへっと笑いました。


「もちろんそうよ、魅入ちゃんの修行をするんだけど、そのためにまりあちゃんや愛子ちゃんに声をかけたのよ」


 目をぱちくりさせるポン子に、花子が得意そうに説明を続けました。


「こないだ魅入ちゃんがチャームをかけたとき、まりあちゃんと愛子ちゃん、それにクシナちゃんに、わたしとソフィーちゃんはハートを盗まれなかったでしょ。愛瑠ちゃんはよそ見してたし、ポン子ちゃんは……ぷぷぷ」

「あんた、この間からホントに生意気ね! もう許さないんだから!」

「わっ、ちょ、やめてよ、ほっぺつねらないでってば。とにかく落ち着いてよ!」


 ポン子につかみかかられて、花子はじたばたと身をよじります。魅入があきれ顔でその様子を見ています。


「とりあえずどうするか説明してくれよ。みんな待ってるぜ」


 魅入のいう通り、凪沙や愛瑠、透、まりあも、花子をじっと見つめています。花子はコホンッとせきばらいしてから、説明を再開しました。


「とにかく今いったように、わたしたちには魅入ちゃんのハートを盗む力が効かなかった。てことは、今の魅入ちゃんじゃ、男の子のハートも盗めないってことだわ」

「う、それはそうだけど……」


 苦い顔をする魅入に、花子がえへんっと再びせきばらいしました。


「でも、わたしたちのハートを盗む練習して、そのあと女の子っぽいけど男の子の凪沙ちゃん、そして最後に透君のハートを盗む練習をすればいいのよ。ちょっとずつ段階を踏んで練習すれば、魅入ちゃんも自信をつけられるだろうし、力を磨くこともできるわ」


 花子の言葉に、魅入はもちろん、他のみんなも目を丸くしました。


いつもお読みくださいましてありがとうございます。

明日は2話投稿する予定です。

お昼ごろに1話と、だいたいいつもの時間あたりにもう1話投稿予定です。

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