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六月の話 ~ヘンタイヨウとレズまりあ、狙われたソフィー~ その16

 逃れようともがくソフィーでしたが、まりあがつぶさんばかりに抱きしめていたので、どうにもなりません。まりあとともに吹きとばされたポン子が起きあがったときには、すでにソフィーはまりあのものとなっていました。


「うそでしょ、ソフィーちゃん!」


 ポン子の悲痛なさけびを聞いて、まりあが満足そうにほほえみました。


「うふふふ、残念でした。あぁ、とってもおいしかったわぁ。ぷるっぷるで、ふにふにで、それにはちみつとレモンのように甘酸っぱくて……。でも、それよりなにより、ソフィーちゃんがわたしのことをかばってくれたのが、すっごくうれしかったわ。わたしが頭ぶつけそうだったから、守ってくれて、さらにキスまでしてくれるなんて……」

「あんた、なんてことを! ソフィーちゃん、あんたのことをかばったのよ、それなのにひどいことするなんて!」


 ポン子のどなり声も、まりあは軽く受け流します。


「あら、ひどいことなんてしてないわ。むしろソフィーちゃんのほうからぶつかってきたんじゃないの。ううん、ぶつかってきたってより、わたしの胸に飛びこんできたって感じだったわね。だからわたしも、いっぱいの愛でこたえてあげた、それだけよ」

「ひぇぇ、もう完全に変態だわ!」


 花子がそばにいた愛子にしがみつきます。愛子も、それに他のクラスメイトたちも、ドン引きの表情でまりあを見ています。しかし、当のまりあはまったくこたえた様子がなく、ふふんと鼻で笑うだけでした。


「なんとでもいいなさいよ。愛は障害が多いほどより燃え上がるものなのよ。でも、どっちにしてもわたしたちはゴールインしたんだし、これから最高のハネムーンが待っているのよ」

「なにがハネムーンよ! 無理やりソフィーちゃんにキスしたくせに!」


 くやしそうにポン子がののしりますが、まりあは余裕の表情です。いえ、余裕というより、完全に自分の世界に入ってうっとりしています。


「あぁ、でも本当にうれしかったわ。わたしのことを助けてくれて。ソフィーちゃんありがとう。こんなことされちゃったら、わたし、本気で好きになっちゃうわ。うふふ、これならきっと、丸一日、ううん、きっと一週間はお人形のままになってるわね。もちろんわたしの家に持って帰るから。ポン子ちゃんたちも文句はいわせないわよ」


 しかし、ポン子たちはなにもいいませんでした。口を押さえて、まりあがしがみついているソフィーへと視線を向けています。


「あれ、どうして? どうしてお人形さんになっていないの?」


 まりあが初めて、動揺したようにソフィーを見ました。愛瑠(あいる)のときは、まりあがキスして離れたらすぐに人形になっていましたが、ソフィーはいまだ人間のすがたのままです。


「なんでなの? おかしいわ、わたしの力が発動しないなんて。ソフィーちゃんのこと、こんなに好きなのに、どうして……」


 あわてるまりあとは対照的に、ソフィーはボーッとして、目をぱちくりさせています。ゆっくりとまりあにキスされたくちびるを押さえ、そしてまりあをまるであわれむような目で見ていたのです。


「あ、そうか、わかった」


 花子がポンっと手をたたきました。まりあがぐりんっと首をひねって、花子をにらみつけました。


「いったいどういうことよ! ソフィーちゃんになにをしたのよ!」

「いや、わたしはなんにもしてないわよ! そんな怖い目で見ないでってば。わたしじゃなくて、リンコ先生がしたんだって」

「リンコ先生?」


 いぶかしげにたずねるまりあでしたが、かわりにポン子も、まさかとつぶやき花子を見つめました。


「ソフィーちゃんはもともとお人形さんだったけど、リンコ先生の封魂薬(ふうこんやく)の効果で、肉体にたましいをとどめているわ。たましいが定着するまでは時間かかるっていってたけど、今はたましいが薬の力で安定してる。ってことは、そのたましいを変えようとするまりあちゃんの力は……」

「そうか、安定したたましいをまた人形に戻そうとしても、戻らないんだ」


 花子とポン子の会話を、まりあはよくわからないといった顔で聞いていました。それを見たポン子が、にやりと笑って結論づけます。


「どうやらわかってないみたいだから、教えてあげるわ。つまり、あんたの力はソフィーちゃんに全く通用しないってことよ!」


 勝ち誇るポン子でしたが、まりあはなおも首をふります。


「そんなことないわ! わたしの力が通用しないなんて、そんなことありえないもの! そんな変な薬なんかに、わたしの力が負けるはずないわ!」


 そういって、まりあは再びソフィーの肩をつかみました。しかしそのまりあの手を、治実とチェルシーががっしりつかみました。


「そこまでだぜ、それ以上ソフィーに変なことするのは、あたしたちが許さないよ」

「それにどうやってもソフィーには通用しないネ。あきらめるヨ」


 じたばた暴れて、治実とチェルシーにもキスしようとするまりあでしたが、顔を押さえつけられているのでどうにもなりません。そのままポン子たちもまりあをつかんで取り押さえます。


「ううっ、離しなさいよ! 卑怯よ、寄ってたかってか弱い女の子をいじめるなんて」

「なにがか弱い女の子よ。それに卑怯なのはあんたじゃない! あたしたちの弱みを握って、ソフィーちゃんを無理やり従わせようとするなんて。でも、こうやって押さえつけたらもうどうにもできないでしょ。さぁ、お仕置きの時間よ! あたしたち三バカトリオの出番よ!」

「いや、なんで自分で三バカトリオなんていってるのよ。まぁ、出番なのはわかったけど」

「クシナもはりきっちゃうですよぉ!」


 ポン子の言葉に、花子とクシナがまりあに近寄ってきます。二人とも手をワキワキさせて、にやにや笑いをうかべています。


「ひっ、いったい、いったいなにをするつもりなのよ!」

「あんたが反省するまで、たっぷりこちょこちょさせてもらうわよ! いっとくけどあたしたちのくすぐりは、とんでもない破壊力を持ってるんだからね。さぁ、しっかり悔い改めるのよ!」


 ノリノリのポン子たちが、まりあをくすぐろうとしたそのときでした。


いつもお読みくださいましてありがとうございます。

本日19時台にあと1話投稿予定です。

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