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幼馴染みが居るのです。  作者: MOZUKU
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前編

私は小日向(こひなた) (あおい)と申します。

性別は一応女で、花の女子高生ではありますが、あまり期待なさらず。

スラッとした長身ではありますが、胸は膨らむどころか、へこんでいると錯覚する程の貧乳。肝心の顔も、細目でソバカスまみれ、ほっぺには大きなニキビもございます。髪も機能性重視のオカッパ頭ですから、殿方受けは悪いと重々承知しております。

今は、幼馴染みを起こしに、自分の家の隣の家に来ております。

「葵ちゃんごめんね。翔太の奴また起きなくて。」

「いえ、おば様。いつものことですから。」

申し訳程度の挨拶を済まし、私はそのまま幼馴染みの部屋に。

幼馴染みは男ですから、多少の恥じらいは持って・・・なんて微塵も思っておりません。

バーンと扉を開け放つと、そこにはベッドでブタ、もとい幼馴染みの今和泉(いまいずみ) 翔太(しょうた)が毛布を放り投げて、腹を出してパンツ一丁でガァーガァーとアヒルの群れの鳴き声の様なイビキをかいて寝ていました。

全く、この風船男が、幼馴染みとはいえ見るに耐えない。ですが、毛布は放り投げていて助かりました。前に毛布を引っ剥がした時に、パンツの中に手を突っ込んだまま寝ていたので、私はキャラに似合わぬ大きな悲鳴を上げてしまいました・・・全く忌々しい。

ちなみに翔太こと翔ちゃんは、風船と間違えるほど、いや風船を翔ちゃんに見間違える程の太った男子高校生であり、運動音痴の勉強嫌いなので、青春をドブ漬けにした男であります。

「翔ちゃん!!起きなさい!!」

「ガァーガァー!!」

とりあえず怒鳴り付けてみましたが、ピクリともしません。まぁ、今日はとっておきの手を用意してありますから大丈夫です。

「ポチ丸来なさい。」

「ワンワン。」

トコトコと愛らしい姿で、私の愛犬こと豆しばのポチ丸が部屋に入って来ました。

尻尾を振りながら一目散に私に駆け寄ってくる姿が大変愛らしいですね。

誤解されない為に言っておきますが、別にこの為に犬を飼ったわけではありません。昔から犬を飼いたい派の人間ですし、そんな私が親戚の叔父さんが「子犬が産まれたから一匹どう?」と言われては、右手でガッツポーズして「よっしゃ!!貰います!!」と二つ返事しました。

さて、この豆柴ことポチ丸に何をさせようしているか?それは聡明な読者様に掛かれば、お分かりでしょう。

「ポチ丸、あの風船を噛みなさい。」

「ワン!!」

ポチ丸は歯切れの良い返事をして、翔ちゃんに飛び掛かり、そしてガブリ!!

「ギャアアアアア!!」

ポチ丸がお腹を甘噛みすると、悲鳴をあげて飛び起きる翔ちゃん。ふふっ♪良い様ですねぇ♪・・・えっ?私、性格悪く無いですよ。

「ガブ!!ガブ!!・・・」

「ちょっ!!何コレ!!痛い!!痛い!!・・・助けてアオちゃん!!」

あれっ?ちゃんと甘噛みする様に仕込んだのに、ポチ丸はあまりに噛むのが楽しいのか、いつの間にか本噛みになっています。これは止めなくてはなりません。ポチ丸が変な物を食べてお腹を壊すといけません。

「ポチ丸、やめなさい。」

「ワンッ!!」

また歯切れの良い一声でピタリと噛むのを止め、ポチ丸は尻尾を振りながら私にすり寄ってきた。よしよしジャーキーをあげましょう。

「ア、アオちゃん、おはよう。」

小さな歯形の付いた大きなお腹を擦りながら、涙目の翔ちゃんは朝の挨拶。

挨拶するのは良いことです。

「あっ、はい、おはようございます。」

まぁ、これが我々の定常運転でございます。お見苦しくて申し訳ありません。



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