覚醒3
その日の夜。
僕も母さんも眠れないでいた。
ベッドの中に入っているものの、全然眠気が襲ってこない。
「ねえ、母さん。」
母さんも自分と同じ状態だと悟って声を掛けた。
「なあに?早く寝なさい。」
「おしっこ行ってくる。」
最初、震えた声を出した母さんも、僕の発言にクスリと笑った。
「外は暗いから、気をつけるのよ。」
母さんは優しく僕の頭を撫でた。
外に出ると、母さんの言った通り真っ暗だった。
何歳だったか忘れたが、一人でトイレに行けると意気込んで行ったのにも関わらず、あまりの暗さに泣いて帰ってそのままお漏らしをした事がある。それから、夜にトイレに行くのが怖かったが、今日はなんだか恐怖心は感じない。でも心の中がざわざわとする。
この感覚はなんなのだろう?
僕は心が落ち着かないまま、要を足してトイレから出た。
その時だった。
遠くの方で何かが聞こえた。
動物の雄叫びのような、それでいて地面が震えているような…
「レオ!!」
母さんが勢いよく家から出てきた。
寝巻きのまま顔が真っ青で髪の毛は乱れている。
「どうしたの?なんだか動物の声も聞こえるし。」
「動物なんかじゃない!!逃げるのよ!!」
「え?」
母さんは僕の腕を掴むと、そのまま走って家の敷地内から飛び出した。
「母さん?!ど、どうしたの?」
引っ張られながら、必死に母さんの後を走っていた時、町の向こう側が真っ赤に燃え上がったのが見えた。
え?
母さんも立ち止まった。
僕も呆然としてその赤い炎を見た。
町の門が燃えている。
固く閉ざされている門は炎が燃え上がるのと同時に脆くなり、パキパキと音を立てている。
何がおこっているの?
そう思った時、
ドオオン!
門が揺れた。
ドオン!ドオン!
向こう側から叩かれている。
そう理解時には門がバキバキと音を立てて崩れる。
向こう側の景色が見えた。