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彼岸花。








厚く厚く太陽から真実を隠そうとするかのごとく空を覆う暗雲。












かつてあらゆるものが繁栄しそのすべてが無に帰した大地。















そこにたたずむ終焉。














そして、そこに至った始焉。















もう何年も雲に覆われて日のささない大地に、一陣の風が吹いた。










そう、それはまるで、終焉と始焉の会合を…再開を祝福するかのように。














「…こんなとこにいたのか。やっと見つけたよ。」











そうこぼしたのは、まだ少年ぽさの抜けない少し高めの声。しかし、その声はもうしばらく喋ってなかったせいか、それとも水を飲んでなかったせいか、だいぶ擦れている。












「あぁ、やっと見つけられたよ。ずいぶんかかったな。」










そう答えたのもまた、少年ぽさの抜けない少し高めの声。けれど、その声にはいまだにつやが残っている。











「世界中探して回ったからな。まさか、ここにいるとは思わなくて…けど、見つけてみれば、ここしかなかった気がするよ。」










と、最初の少年が答えると空を雷が走り少しだけ姿が浮かびあがる。



もう随分と長いこと旅をしてきたのか、裾が擦り切れてぼろぼろになった外套、返り血を浴びて染まった真紅の服に、もはや輝きを失ったひと振りの剣。そして一番目を引くのが、この世界でも珍しい、クリスタルのような銀髪に真紅よりも紅くアカイ深紅の瞳。











「ふん…俺達の最後にここほどふさわしい場所もあるまい。」







もういちど轟く雷鳴。


少年の紅い瞳がとらえるのは、少年と瓜二つの姿に闇よりも深く深く黒い髪と空よりも海よりも蒼くアオイ深蒼の瞳。










「あぁ…そうだな。ここだったな…俺たちが始まったのは。」










かつてこの地にあった、小さな小さな村。そこから、始まった物語。



だから、この地で終えねばならない物語。











「あぁ、だからもう始まりを終わりにしよう。」



「あぁ、そうだなもう終わりを始めよう。」











二人の少年はどちらともなく、鞘から剣を引き抜き相手に向かって正眼にかまえた。


次第に集中して浅くなっていく息、三度目の雷鳴とともに二人は動き出した。



まるで鏡であるかのように、まったく同じ動きをする二人。暗みの中で、何もない世界に赤と青の軌跡だけが残っていく。





時に強く、時に弱く響く剣戟《けんげき》の音。それに呼応するかのように轟く雷鳴。閃く剣閃。








二人の戦いはまるで戦神の経ずる演武。









震える世界の上で描く二人の軌跡は奇跡。




















幾百度目かの剣を交えたとき、二人はこぼす。







「「あぁ、そうだ…」」








「「俺はお前だ。」」








「「お前は俺だ!!」」












二人は気づく、次で終わりであることに。









「「始定終離」」








だから、始める。








「「終迎始会」」







終わりの先を求めて。







「「始まりをもって終わりとし、終わりをもって始まりとす!」」















声のあらん限りに叫んでやる。














「「――――!!」」


















お前の名前を。














































終焉の始まりをまた世界は迎えた。























え〜と、初短編です。


もし感想とかもらえたら、すっごくうれしいです!!


一応、連載(あんま進んでないけど…)もやってるので、アドバイスとかどんどん取り入れて反映させていけたらと思います。


これからもがんばるんでよろしくです。

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― 新着の感想 ―
[一言] なかなかよい雰囲気でした。ただ、同じアイデアをおれも使ったことのあるぐらいよくある話です。
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